ライフスタイルをデザインする建築家の・・・ライフスタイル

ライフスタイルをテーマに建築家の日常を綴っています。
最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■SE工法のメリット・デメリット~その2・メリット

2009-10-14 08:27:43 | ■建築話
前回の記事(SE工法の産まれた背景)から少し間が開きましたが、今回はSE工法のメリット について説明したいと思います。

SE工法のメリットを列挙させていただくと、

1:裏付のある構造強度
2:自由度の高い間取りが可能
3:特殊な形状への対応が可能
4:品質が高い・保証体勢が磐石

といったところでしょうか。
それでは、それぞれ掘り下げて説明させて頂きます。

---

1.木造軸組み構造の弱点である仕口の強化


基礎に直接柱を取り付けるのでSE工法は金物に置き換えて木造の弱点を補完しています。
木造の通し柱は何方向からも梁が入り込み、接合部分の柱はほとんど残っていません。
しかし、SE工法の場合はその金物が取り付く部分が少し削られるだけで、柱はほぼ無傷のまま残っています。
また、ドリフトピンとよばれる専用の金物を使うことで、梁とも強固に接合されるので半剛接という鉄骨造やRC造と木造の両方の性能を兼ね添えた構造体を実現しています。

2.注脚部の見直し


SE工法は柱脚部(柱と土台の緊結部分)も強化を行っています。
仕口の性能を高めた為、高強度の建物を作れるようになり、今まで以上に柱脚に負担がかかるようになりました。
実際、木造家屋のウィークポイントは仕口の次に柱脚の強度不足が指摘されています。
通常、柱は土台を介して基礎に緊結されているのですが、柱からズレタ位置でのみしか留める事が出来ない為弱点となるのです。(柱芯からズレると、てこの原理で負担が多くなる)
その為、SE工法では柱の直下で金物により接合し、直接基礎に留め付ける工法としています

3:基礎の鉄筋の錆防止、強度強化


これはSE工法に限る事ではありませんが、基礎巾を170mmを標準とし、基礎の強化を計っています。
一般的な150mm程度の基礎では、アンカーボルトの被り厚がキチンと確保できないことがほとんどです。
被り厚とは、鉄筋が部位によって3cmとか4cmとかコンクリートに覆われていなければならないという規定です。(基準法の基礎巾の最適準は120mm・ベタ基礎の場合)
コレは酸性の鉄がアルカリ性のコンクリートに覆われている事で酸化を防ぎ錆びるのを防止する為に必要最低限の数値を示したもので、150mm程度では少しのズレでアンカーボルトだけでなく、基礎の鉄筋も被り厚がキチンと確保できなくなることがあります。

また、被り厚が少ないと、その部分が強度的に不足し、クラック(ヒビ)が入り、そこから水がしみこみコンクリートを劣化させます。

4:材料強度の確保・構造用集成材の利用


SE工法では、一般流通の木材ではなく、構造用集成材を利用する事になっています。
一般の木材では、木の節や曲がった木から製材したものか?などその木それぞれに性能のバラツキがあり、強度の表示がないものがほとんどです。
その為、実験により強度が確認された構造用集成材を使うことで、キチンとした数値での構造計算が可能となり、信頼性を向上しています。

5:全棟構造計算で検証


通常の木造建築では、壁量計算という簡易計算で構造のチェックが行われます。
地震や台風などの強風に対して、床面積や立面に応じて必要な体力壁の量を算定するやり方です。
しかしながら、建物の形態は一様ではなく、大きな吹き抜けや、スキップフロア、オーバーハングなどのイレギュラーな設計の場合はその基準が曖昧な為に、建築基準法ではカバーしきれていない部分が多くあります。
その為、法に適合しても危険と思われる建物も多く、実際震災により崩壊したという話を聞いています。

SE工法では、材料強度の確認から、実物大実験での検証結果を元に解析されたデータを使い、全棟構造計算を行って、安全性を確認しています。

---

と、構造的なメリットを列挙させていただきました。
それ以外のメリット(プランの自由度や特別な構造への対応)はHPの方に記載させて戴いております。

■HPではSE工法の詳しい解説を図解入りでしております。

※次回はSE工法のデメリットについて触れさせていただきます。

最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。