沖縄在住、31歳が見た北朝鮮 米朝首脳会談の10日前
07.14 10:44沖縄タイムス
「丁寧でシャイな人たちだった」
2018年6月12日、米国と北朝鮮の歴史的な首脳会談が開かれた。その10日前、沖縄在住の長濱良起さん(31)は北朝鮮に居た。北京から国際列車に乗り、国境を越え、丸1日かけて平壌に到着。車窓からは農業に励む市民の姿が見え、平壌では伝統衣装に身を包んで笑う子どもたちがいた。北朝鮮の人たちの姿を撮影した写真展を14日から浦添市内で開く。(デジタル部・與那覇里子)
長濱さんは琉球大学卒業後、旅に出た。沖縄の伝統楽器、三線を片手に1年9カ月かけて世界各地を回った。
「30カ国ほど行って分かったのは、日本で考えていた国のイメージと実際が違うことだった。国家の問題は複雑かもしれないけれど、世界中どこの人もご飯を食べる時はみんなおいしいと思って食べるし、うれしい顔をする。例えば、中東はテロなどで危険なイメージがあるかもしれないが、局地的なものではあるしそればかりの毎日ではない。お茶を飲み、ケバブを食べる、普通の市民の日常の営みに触れることができた」
「経験を通して、国際化というのは、違いを知ることよりも、同じ共通点を見つけることだと思う。共感できることがあれば、人と人は壁がなくなるし、協力することができる」
北朝鮮にはいつか行きたいと思っていた。政治体制は反対だが、普通の、市民の素顔は報道されない。これまで世界を旅して改めて実感したのは、私たちのような一般市民が日常で感じる喜怒哀楽は、世界のどこに行っても変わらないということだった。
「例えば、大日本帝国から日本国に国家体制が変わったからといって、人々の性格が変わるわけではない。日本と北朝鮮も国家の体制は全く違うが、市民とは共感できることもあるだろうし、僕たちと変わらない人たちかもしれない。それを確認したかった」
今年の3月から、沖縄から近い国の言葉を学びたくて、北京に短期で語学留学した。時々、北朝鮮の人に会うし、留学生もいた。「案外、北朝鮮は近いかも」と思っていた矢先、北朝鮮向けツアーを企画する会社で働くイギリス人女性と知り合った。彼女は月に2~3回北朝鮮に行っていた。
知り合って3日後、1週間分の旅費、約13万円分を払った。5月30日、12人のツアーで平壌に向かった。北朝鮮のガイドは計2人付いた。
「車窓から外をずっと眺めていた。国境から、平壌に着くまで、農村が続いた。農作業をしている人たちは疲れているのか、農道に座ったり、寝たりしている人の姿もあった」
「平壌に入ると、ビルは建ち並んでいるのに、自家用車はほとんど走っていない。その代わり、社会主義国家らしく公共交通はみんな安く、バスや地下鉄は5ウォン(日本円で1円以下)ほど。人々にカメラを向けるとシャイで恥ずかしがった。市民と話してみるととても丁寧で、『~です』でもなく『~でございます』のレベルの言葉遣いだった」
ツアー中の6月1日は北朝鮮のこどもの日。子どもが王様で、親は子どもを喜ばせようと大忙し。大きな公園の広場で競技をしたりお遊戯をしたりする行事が開催されていた。
「日本の製品もよく目にした。国際列車の中ではキリンビールが売られていた。ワンカップ大関も、ポッカの缶コーヒーもあった。レストランのトイレに入れば(便器は)TOTOだった。洗剤も生理用品も、日本製のものがあった」
「常々監視されるのかと思ったが、特にそういうこともなく、店の人ときさくに話もしたし、楽器屋で民族楽器を試奏した時には弾き方も教えてもらった。もちろん、行く前は北朝鮮に不気味なイメージが多少僕にもあったが、道を歩いているのはいたって普通の人々だった」
ガイドには、こんなことを聞いてみた。
「核開発は終わると言っているが、どう思っているのか」
「核を持っている大国に挟まれて、自分たちだけ持つなというのは不公平。でも、核がなくなるのは平和のためにいいと思っている」
しかし、北朝鮮のガイドが案内する場所は、北朝鮮が見せたいところしか見せてないという指摘もある。
「そもそも北朝鮮に『観光で見る所』が少ないから、旅行者も案内する側もみんな基本的に同じ所しか行っていないという印象を僕は持った。もし、子どもや親が和やかに楽しんでいる姿や笑顔がフェイクで、こんなものを本当に作れる国だったら、北朝鮮の国力はとっくにアメリカを抜いているのではないか。一方で、街で一番高い『主体思想塔』というタワーからはスラムのような場所も見える。貧困の北朝鮮も簡単に見えてしまう。隠したいだろうと思われる場所は全然隠れていなかった」
「『北朝鮮は軍事力でつぶしてしまえ』みたいな声を聞くことがある。でもその意見は、北朝鮮にも普通に人が住んでいるという視点がごっそり抜け落ちている。『太平洋戦争を終結させられたから原爆投下は正しかった』という意見と同じだと考えている」
「行かないと普通の市民に会うことはできない。行かないと分からないこともある。住んでいる人たちが居る。今回は厳選した70枚を展示する。私たちと同じ日常を送る市民の姿を見てもらいたい」
今回、長濱さんは、ツアーを通して北朝鮮に渡ったが、日本政府は北朝鮮への渡航自粛を、こう呼び掛けている。
「北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を繰り返している。こうした状況も踏まえ,拉致,核,ミサイルといった諸懸案の包括的な解決のために我が国がとるべき最も有効な手段は何か,という観点から,一連の我が国独自の対北朝鮮措置を実施している」
「その一環として,人的往来の規制措置,具体的には我が国から北朝鮮への渡航自粛要請が含まれている」
「目的のいかんを問わず,北朝鮮への渡航は自粛してください」
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やはり、思った通りだ。
日本のマスコミがいかに偏向的な報道をしてるかがわかる。
沖縄の問題で沖縄に対する誤解や偏見を露骨に垂れ流しにしているのがわかった時から、マスコミの報道は半分聴くだけにとどめている。
同じ日本の中ですら、沖縄と本土の報道に大きな違いがある事に違和感を感じていたので、国外に関してはなおさら疑わしい。
この時代が来てよかった。
海外のことは、海外のメディアで確認することが可能だし、国内の事に関しても、海外からの反応を見ることによって客観的に判断出来る。
いまだに、鎖国でもしてるかのような偏狭的なものの考え方では、やはり『置いてけぼり』の存在から抜け出すことは不可能だろう。