韓国ドラマは哲学的感性を刺激する

韓国ドラマ、IT・デジタルなこと、AIなどと並んで哲学に関する事柄や、よろずこの世界の出来事について書き綴ります

国民の声を聞くということ~韓国時代劇に学ぶ

2020-12-13 21:48:49 | エッセイ
 現在コロナウイルスが猛威をふるい、感染者数が抑えられない状況になりつつあるようです。医療現場の過酷さが連日報道されているのを、これからどうなるんだろうかと見守っている方は多いのではないでしょうか。

 こんな中、政府の分科会の尾身会長がGoTo政策を一時的に停止すべきだと提言しても、政府が聞き入れないという報道がなされています。

 たしかに、今の感染者の大幅な増加の原因が100%GoTo政策であるとは言い切れないとしても、コロナウイルスの性質からして、人が広域的に移動することによって感染が広まるのは自明のことだとわかってきているわけですから。政府ももう少し耳を傾けたほうがいいのではないかと思われる方も多いかと思います。

 韓国時代劇では、王様がお忍びで街へ出かけて行き民の生の声を聞くというシーンが必ずと言っていいほど出てきます。このようにお忍び、隠密で行動することを「暗行(あめん)」といい、王様が地方の情勢を探るために遣わす密使のことを「暗行御史(あめんおさ)」ということを、韓国時代劇ファンの方ならご存じのことと思います。

 韓国時代劇はあくまでフィクションであって、ドラマで描かれているようなお忍び行動が実際にどのくらい行われたのかはわかりませんが、暗行に出かける王様は実に生き生きとして、酒場に出向いて一般の民と酒を酌み交わして楽しいひと時を過ごすシーンが特に印象的です。

 目の前にいるのが王様だと知らずに(知る由もないですが…)、王様の悪口を言う人物がお約束のように登場し、後に自分が酔っ払って絡んだり、小突き回した人物が王様だと知り大騒ぎになるというシーンがありますが、これは典型的な韓国時代劇あるあると言えると思います。

 実際の李氏朝鮮は両班(ヤンバン)階級や王族のやりたい放題の結果、衰退し滅びてしまうわけですが、ドラマの中の暗行のシーンは、ドラマ制作者の願望、王様はこうあってほしいと気持ちの表れなのではないでしょうか。

 翻って、現在の日本の為政者たちの行動はどうでしょうか。せめてドラマの中の王様のように街へお忍びで繰り出して、民の声を聞くだけでも聞いてほしいと思うのは私だけでしょうか。

 生の民の声を聞かないどころか、自らの利権を維持するために、あるいは特定の支援者の意向に逆らえないがために有効な政策を打ち出せずにいるとすれば、何のため、誰のための政治だと言えるのでしょうか。さっさと顔でも洗って出直してこいと言いたくなるのは私だけでしょうか。

 政治家は大義のためなら少数の犠牲は仕方がないとか、清濁併せ呑むことこそ政治家の理想だといいたがりますが、それは、本人たちの日頃の行いが正しいものであるかということにかかっていると思います。

 自分たちだけの大義や、濁ったものしか呑み込まないような人物に政治家の資格はないと思います。今の世相をもっと敏感に感じ取って、正しい道に国民を導いてほしいものです。


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