トリノオリンピックが終わりました。日本勢の成績は女子フィギュアの荒川静香選手の金メダル以外、さんざんな成績に終わってしまいました。女子カーリングで複数の上位チームに勝利する底力を見せてくれたものの、トータルの印象ではやはり大変物足りない結果でした。
特にスノーボードのハーフパイプ競技ではメダルがおおいに期待されたのに、アメリカの選手に大差をつけられて惨敗に終わってしまいました。日本勢は世界選手権で上位を占めてきた実績からオリンピックでも同じように上位がねらえるとふんでいたようですが、その世界選手権にアメリカの選手がほとんど参加していなかったということなので、これでは井の中の蛙と言われても仕方がありません。
アメリカのプロ選手は国内の賞金がかかった試合を最優先で、普段は国際的な試合に出てくることがなかったということですが、日本がその情報を知っていながら勘違いをしていたのかどうか、その点について私は一番知りたいと思っています。
もう少し別な言い方をすると大会関係者が情報収集をきちんとして、それを選手に伝えていたかどうか、また選手自らが自分たちでもそのような情報収集や状況分析の努力をきちんとしていたのか、大きな疑問があります。
限られた世界で自分たちが一番と思いこんでいたのでしたら、それは大変愚かな話で、これだけ情報収集を簡単に行える時代に、アメリカ選手の本当の実力をきちんと把握していなかったとしたら、オリンピック選手としての自覚にあまりにも欠けていたと言われても仕方がないと思います。
通信手段も発達せず、ヨーロッパに行くのに飛行機ではなく船で行かなければならなかった40年前、50年前ではないのです。情報はTVやインターネットで瞬時に入手できます。もちろん、その分野の専門誌もあるはずです。自分の目で確かめたければ、ちょっとアルバイトすればアメリカなど簡単に誰でも行くことができます。
こんな良い時代に、オリンピックに出てみるまで本当に自分たちが真剣に立ち向かわねばならない相手が誰かがわかっていなかったというのはあまりにもお粗末な話としか言いようがありません。
情報セキュリティ対策においても、自分がどういう状況に置かれているのか知ることが一番大切です。目に見えているようで見えていないものがたくさんあるはずです。そして、以前にも書きましたが根拠のない思いこみ。これが、一番の内なる敵です。
スノーボードの選手たちはアメリカ選手が強いことは知っていたはずです。しかし、それを甘くみていたのではないでしょうか。それが根拠のない思いこみです。
四年に一度のスポーツの大会であるオリンピックに挑戦するには、一種独特の調整が要求されるはずです。自分自身のわざを磨くことも大切ですが、四年間という長期間において、自分の目標をどこに持っていけばいいのか、そのための情報収集が勝つためには大変重要になります。
四年後に再び同じ間違いを繰り返さないことを祈りつつ、出場した選手たちにお疲れ様と心の中で声をかけたいと思っています。
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