韓国ドラマは哲学的感性を刺激する

韓国ドラマ、IT・デジタルなこと、AIなどと並んで哲学に関する事柄や、よろずこの世界の出来事について書き綴ります

擬装建築と確認検査

2005-12-22 09:53:37 | 情報セキュリティ
 「早い、安い、ザル」 これが、今話題になっている民間検査機関に対する業界内の評判だそうです。

 これでは、建築側に都合がいいだけで、購入する側であるわれわれ一般消費者には信じられない話です。

 検査では、通常設計の数値の検算をしないということがとにかく一番驚いたことです。それをチェックしないで、何をチェックするというのでしょうか。認定ソフトで計算して正常という判定であれば、全く疑うことなく検査を通ってしまう、これが実態だそうです。

 また、計算結果はコンピュータで打ち出した物だから、それを再度人間が計算するのは不可能だという言い分もありましたが、それは一面正しく、一面は間違っています。

 計算された膨大な建築データを紙に印刷して、提出物としてそれを受け取っているのでは、たしかに、それをもう一度人間が手計算で再計算したり、コンピュータを使って再計算するにしても膨大なデータをコンピュータに再入力しなくてはなりません。それでは、たしかにやっていられないでしょう。

 素人考えでは、構造計算の結果をデジタルデータで提出して、それをそのままチェック用のソフトウエアでチェックすれば、少なくとも今回のようなやり方での擬装は一瞬でわかったのではないでしょうか。業界でやりとりするジタルデータのフォーマットさえ決めれば、簡単にできてしまうと思うのは、素人の浅はかさでしょうか。

 もちろん、建築設計にはいろいろな要素があるため、単純にコンピュータで計算するだけではダメな部分もあることは理解できます。資料全体を人間が俯瞰的に眺めてみてわかることもあるでしょう。

 それにしても、今回擬装を見抜けなかったことについて、民間の検査機関や行政の検査担当者が異口同音に、手続きにしたがってやっただけで、われわれには非がないと堂々とTVの前で述べることは、私の常識をはるかに超えています。

 自分たちの仕事の本質を理解しているのでしょうか。私が彼らの立場なら、あまりにも恥ずかしくてそんな言葉は吐けません。

 今回の事件は、個人の悪事ではなく、組織的な悪意を感じますし、またそれを検査する側の構造的な問題が徐々にあぶりだされようとしています。

 情報セキュリティの世界に立ち戻って考えてみると、このような擬装はありとあらゆる形で行われるという前提があります。手を変え品を変え、ありとあらゆるごまかし、だましのオンパレードというのがこの世界での常識です。

 そういう意味では性善説の立場にはとても立てないのが、セキュリティの世界です。しかし、こんなことを言ってしまうと私が先日からこのブログで主張していることと矛盾することになっていまいます。最終的にどこかで人間を信じる部分がないと救いようがないということです。

 いずれにせよ、このような事件のおかげでまた一つ、われわれの社会への信頼というものが失われた気がします。残念なことですが、堕ちてしまったこの立場からもう一度やり直すしかないというのが唯一の方法です。

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