Comic: 働きマン

2005-12-04 | book & comic


広告学校にいたとき、あるコピーライターのかたがこう言った。

「最後は、自分一人の戦いです。」


コピーをひねり出す作業のうえでは確かに、ただしいことなのだけど
わたしはすこしだけ胸がいたんで


純粋でまっすぐにクリエーターの言葉を吸収する学生の前で
ほんとはそれを、言ってほしくはなかった。





わたしが初めて”制作”というものを経験したとき
「ああ、」って思ったこと。


ひとりでつくれるものなんてないということ。



自分で描いた絵を、自分で街に売り出しに歩くようなアーティストの作品以外は
かならず、
誰かの手が加わって完成する。



クリエイティブな作業をするポジションは憧れが向きやすいけれど
でもね

そもそも、営業のひとがシゴトをとってこないと、そのプロジェクトって、無かった。

わたしのきらいな「セッタイ」を
わたしや誰かの代わりに営業のひとがやるから、お得意がつながってる。

メディアのひとが媒体枠を買ってきてくれるから
そのCMはテレビに流れる。
ヤフーにバナーを出してくれるから、そのWEBサイトに、やっと、人がくる。

バイク便のひとが雨のなか走ってくれるから
企画書かいて、電話をうける時間ができる。


当たりまえのことなのだけど




それまで関係者しか見ていなかったサイトが
バナーを打ったとたん
CMが始まったとたん
嘘みたいにアクセス数がはね上がって

メディアのチカラというものを目の当たりにしたし
すごく
うれしくて


渋い顔のクライアントの前で
ぶあついメディアプランをひっさげて熱弁していたメディア担当のかたに
はやく、アクセスレポート見せなきゃって








あの感情

忘れたくない。









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- 営業の千葉って人間が 会議ですごい頑張ってくれて

 あの人達が売ってくれないと

 本

 書店さんに並びませんから







営業のしごと
ライターのしごと
張り込みカメラマンのしごと
編集のしごと
セラピストのしごと
女というしごと
男というしごと


すべての
それぞれの成果があって、ひとつのものを生み出してゆく。







そんな当たりまえのことを

当たりまえのように語ってくれる、花形クリエーターがいてもいいんじゃないかと







発信力のあるひとたちが、してあげられることがある。






多少説教くさいとこもあるけど

安野モヨコはそれを、この作品で成し遂げたのだとおもう。









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