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箱根ラリック美術館 "
2005年にできたばかり。
こないだ箱根に行ったとき訪れたのだけど
たましいをぬかれた。
この美術館で扱うルネ・ラリックは、1920年代から1930年代にかけてフランスで活躍したデザイナー。
前半はアール・ヌーヴォー様式(「
ミュシャ」的な自由曲線)のジュエリーを、
後半はアール・デコ調(「
フランク・ロイド・ライト」的な幾何学性)のガラス工芸を手がけた彼。
アール・ヌーヴォーとアール・デコの両時代にいた彼の、両感覚の料理のしかたが素晴らしいのだけど
もうヌーヴォーだかデコだかはどうでもよくって。
とにかく、あの香水瓶たち。
瞳孔、開きっぱなし。
香水には興味ないのだけど、「こびん」というものにうっとりしてしょうがなくて
ファンタジーな世界の道具屋さんでホコリをかぶるちいさなビンたちとか
貴婦人のドレッサーにかちゃかちゃ並ぶフタが開きっぱなしの化粧瓶たちとか
精度の高くない古ガラスの、すりがかって褐色した「道具」感が、もうたまらなくすきで。
ラリックの小瓶たちは、ド真ん中に、ツボでした。
ジャポニズムを受けたディティールは、実物で見たらもう口半開き。(
こんなのです。実物はもっと味ある。)
わたしがすごく気に入ったのは、すりガラスであたたかいのにモダン!なこれ。
それまで香水は味気ない薬品ビンに入れられていたらしく
フランスの「コティ」社がラリックにデザインを依頼して初めて、女性が楽しんで使える商品になったそう。
ジュエリーデザインをしていた彼は、きらきらする女性のキモチを引き出すのに長けてたんだろうなあ。
ほかにも、女性の喫煙が進んだ時代に女性用の灰皿をデザインしたり
それもまた、うっとりする質感。
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とにかく、箱根に行った際にはぜひ。
ただし、
下記のコトバにひとつでもクラクラするひとは、すぐにでも行ってください。
きょう、ロマンスカーで。
・「アール・ヌーヴォー」
・「アール・デコ」
・「山名文夫」
・「里見宗次」
・「アンティーク」
・「乳白色」
・「東京都庭園美術館」
・「資生堂シノアドア」
・「資生堂椿マーク」
・「あんなのポーションなんかじゃねえ!!」
「うつくしい」ということばを一生ぶん水にとかして
ほたほたと注ぎたい、あの美術館のうえからしたから