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C'est la vie.

人生ままならぬもの。成り行き任せか、C’est la vieか。電子のカオスの中で思いが遂げられたらと思う今日この頃。

栗原小巻「忍ぶ川」の衝撃

2018-03-22 23:48:32 | Weblog

 地方都市に住む高校生にとって、時にほとんど衝撃としかいえない映画にぶつかることがあった。その一つが1972年公開の栗原小巻主演の「忍ぶ川」だった。それよりさかのぼること5年前。NHKの大河ドラマ「三姉妹」で美人女優としてすでに地位を固めていた岡田茉莉子、藤村志保を上回る圧倒的な美しさと清純さでアイドル的な存在だった彼女がいきなり脱いだのだ。当時の劇場用ポスターを現在も持っている。共演の加藤剛と裸で抱き合い、バストトップも見せている。このポスターが映画館の入口などに貼られていた。驚き以外の何物でもなかった。

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社会派監督の恋愛映画

 三浦哲郎原作のこの映画は、帝銀事件、地の群れなどの作品で社会派といわれた熊井啓初の恋愛映画。姉2人が自殺兄1人が失踪というどこか不幸の影を持つ加藤剛と料亭の看板娘栗原小巻の恋物語で、あえてモノクロフィルムを使うことで、しっとりした味わいのある作品に仕上がっていた。ストーリーは特段大きな波乱もなく進んでいく。

生々しい初夜シーン

 クライマックスはラスト。結婚から初夜に至るシーンだろう。初夜では全裸となった栗原小巻の美しい姿が結構長めに描かれる。18禁のピンク映画や日活ロマンポルノよりも描写自体はエロチックに感じた(なぜかすでに見ていた)。作品の全体を通して可憐ではかなげな雰囲気を演じていたが、初夜シーンでは薄化粧で素顔に近い状態を見せ、妙に生々しい姿は本当のセックスの感じさせ、高校生をドキドキさせた。
 加藤剛と栗原小巻が、鈴の音に気付いて立ち上がり、毛布にくるまって外を走る馬ソリを眺めるシーン。ほとんど恋愛映画の伝説のようになっている。

見終わってすぐにベスト1を確信
 
 この年、キネマ旬報ではベスト1に選ばれた。なぜだか知らないが、見た直後にたぶんベスト1になるだろうなと予感がし、その通りになった。それほど受けた理由は何だろうと思う。もちろん恋に焦がれる高校生にとって、どんな生い立ちがあったにせよ、栗原小巻のような美しい彼女ができたらいいなという願望を持っている。でも、そんな恋愛映画なら掃いて捨てるほどある。とすれば、違いと言えばあの生々しい初夜シーンの衝撃ではなかったのか。今のように、タレントの大半がデビュー直後にビキニやセミヌードとなり、売れていくにつれて露出が減るといった現象は当時はほとんどなかった。脱ぐ女優と脱がない女優がはっきり区別されていたように思う。
 その境目を壊したのが社会派かつドキュメンタリータッチが得意の熊井啓監督だったとすれば、さらに面白さが増す。

栗原小巻だからこその「忍ぶ川」

 ところで、忍ぶ川のことをネットで調べると、熊井監督は当初、吉永小百合主演で制作を進めていたそうだ。親族などの反対でおじゃんになったとされており、その手記なども残っているという。高校生だったのでそうしたスキャンダル報道にはあまり接していないが、そんな報道に全く記憶がない。主演女優を決めていく際の、ちょっとした交渉の行き違い。そんな些細なできごとが45年以上すぎて言いつのられているような気がしてならない。
 忍ぶ川はあの時の栗原小巻あってのベスト1であり、ほかの女優であれば、それは別の作品。ローマの休日はオードリー・ヘップバーンだったこそ、サウンドオブミュージックはもちろんジュリーアンドリュース、と思うのだ。


 

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