「アディ」
そのとき男の声で
アディ と誰かが叫んだ
夜更けのメトロで
そして
どこからかジャスミンの甘い香りがして
赤いヒジャブで顔を覆った娘が
ホームを急ぎ足で駆けて行った
声の主を振りきるように
それは
旅の日のこと
異国の町での思いがけない出会い
わたしの目の前で
草原を自由に飛ぶ艶やかな蝶のように
娘は去って行ったのだった
それから随分経ったけれど
映画のワンシーンのように
そんなちいさな出来事を今でもよく思い出す
アディと呼んだ男は
あれからヒジャブの娘に会えただろうか と
ときにひとはそうやって
夢中で誰かの名前を呼ぶのだろう
わたしにもそんな日があったような気がする
蝶のように飛び去ってしまうものに向かって
声を限りに呼びかけたことが
そのとき男の声で
アディ と誰かが叫んだ
夜更けのメトロで
そして
どこからかジャスミンの甘い香りがして
赤いヒジャブで顔を覆った娘が
ホームを急ぎ足で駆けて行った
声の主を振りきるように
それは
旅の日のこと
異国の町での思いがけない出会い
わたしの目の前で
草原を自由に飛ぶ艶やかな蝶のように
娘は去って行ったのだった
それから随分経ったけれど
映画のワンシーンのように
そんなちいさな出来事を今でもよく思い出す
アディと呼んだ男は
あれからヒジャブの娘に会えただろうか と
ときにひとはそうやって
夢中で誰かの名前を呼ぶのだろう
わたしにもそんな日があったような気がする
蝶のように飛び去ってしまうものに向かって
声を限りに呼びかけたことが
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