新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

どうやって

2024-05-02 05:16:24 | ポエム
「どうやって」

どうやって
あなたの不在を乗り越えればいいのか
遠い約束のみを頼りに

ふたたびの朝
みたびの朝
朝は果てしなく繰り返すが

いくにちが過ぎれば
あなたに会えるのだろう
あなたの胸に飛び込めるのだろう

愛してしまったひとの
面影とことばを
ただ頼りに

生きる




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約束

2024-04-30 05:27:54 | ポエム
「約束」

また必ず戻るからと
そう言ってあなたは立ち去った
一枚の紙に書かれた約束を残して

はげしい愛の痕跡の残る場所に
わたしを置き去りにしたまま
まるで修行僧のように行ったひとよ

それは神の試練だっただろうか
あなたはただ待つことのみを
わたしに与えたもうた

いや、あなたこそが神であったかもしれない
信じるという美しい約束を
わたしのもとに置いていかれたのだから








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生まれたての朝

2024-04-28 21:18:20 | ポエム
「生まれたての朝」

暖かい春の朝
庭の野菜を摘む
あなたと二人こんな朝を迎えることは
決してないだろうと思いながら

届けたい
あなたのもとへ
シャキシャキとしたベビーリーフの緑
光で世界が濡れたような朝を

寝ぼけまなこのわたしが
テエブルに並べるオムレツ
二人でこんな朝を迎えることは
ついぞないだろうと思いながら

それでも届けたい
あなたのもとへ
ふわふわのオムレツの匂いと
かがやく生まれたての朝を
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いまはそれしか

2024-04-28 05:34:04 | ポエム
「いまはそれしか」

ひとりはひたすら原稿を書き
ひとりはひたすら詩を綴った

もっとたやすく愛にひたる
あまやかな道があろうものを

けれどそこは魑魅魍魎の闇に通じると
だから決してなくすまいと

じゅうぶんおとなの男と女が
学生のようにひたむきに文字を綴る

ただ、いまはそれしかできなかったのです
たがいのために
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抱える

2024-04-26 20:57:01 | ポエム
「抱える」    詩集『最後の愛・dernier amour』4



ほんのひと吹きの風にさえ
破れてしまいそうな
風船を
たいせつにたいせつに
抱える

はなれた場所で
別々に

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ただひとたびの 

2024-04-26 15:13:44 | ポエム
 「ただびとたびの」         詩集『終わりの愛に』3

幸福とはなにか
たくさんのかなしみの上に
ひとときかかった虹
ただひとたびの

その輝きの
つかのまの美しさ
そのように
君とわたしも

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雨の散歩道

2024-04-25 11:48:43 | ポエム
雨の散歩道


うっすら雨の降る道を
あなたと歩いた
若者のように
手をつないで

川のほとりを歩きながら
いったい何を話したのだろう
わたしはあなたの
手の感触しか覚えていない

ひとを恋するとは
こんなにも簡単なことだった
ただそのひとに触れたい
ただ並んで歩きたいと願うだけ

黒板消しみたいに雨は
街も並木も消していった
あらゆるものが消えたあとに
あなたの手の優しい温もりだけが残る
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白木蓮

2024-04-10 22:01:02 | ポエム
「白木蓮」

春が来たと告げるように
街路樹の白木蓮が咲いた
その白い花を見て思う
あなたに会いたい と

まるで
ハンバーグやいちごが好きだと言うみたいに
さりげなく
あなたに恋しています と言ったひとよ
ワインの酔いのままに

そのとき
わたしはやわらかな
白木蓮のはなびらのようなものに
包まれたのでした
まだほとんど知らないひとの

少女でもないわたしが
少女のように頬を赤らめたことに
あなたはお気づきになったでしょうか
それとも
ほどよい酔いのせいだと
見過ごされたでしょうか

その夜の思い出のために
書いておきたいのです
白木蓮のような甘い香りが
いつまでもわたしを包んでいるのですから
あなたに
会いたい と。


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明日雨が上がったら 

2024-03-29 21:01:47 | ポエム
明日雨が上がったら            


明日雨が上がったら
コーヒーを飲みませんか
あの店で
明日雨が上がったら
レインコートを脱いで
あの席に座りましょう

この星の四十五億年の物語のなかで
私たちはつかの間
街灯のまわりを群れ飛んでいる
ウスバカゲロウのようなものだと
だからいっそう一日が愛おしいと
そんな話をしたことがありましたね
ずいぶん歳をとってしまったある日
ふふ 冗談みたいに笑いながら

明日雨が上がったら
コーヒーを飲みませんか
あの店で
そして
明るい春の陽射しのある窓辺で
二匹のウスバカゲロウの
小さな小さな物語を語りましょう
誰もしらないどんな本にも載っていない
ささやかな物語を
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メモラビリア

2024-03-28 06:04:55 | ポエム
メモラビリア(*)

月の海にうかぶ
椰子の実ひとつ
茉莉(まつり)花(か)の花香り
びろう樹ゆれる島

ふるさとは海のかなた
オレンジ実る南のくに
はだしの足をぬらす波
夕陽にきらめく波の面(おも)

ああ いつの日か
訪ねみん
君とともに

波が忘れていったのは
欠けた小さなさくら貝
ふるさとは時のかなた
はるかなる夢のかなた

椰子の実 椰子の実
あれからどこへ
行方もしれず波のまにまに
               *ラテン語 追想録
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舞踏会に行けないシンデレラ

2024-03-17 06:17:20 | ポエム
舞踏会に行けないシンデレラ

カボチャの馬車にのって
シンデレラは舞踏会へ行くものよ
どんな絵本にも
そう書いてある
そして
すてきな王子さまに出会うの

そんな物語を夢見ていたわ
けれどわたしは
舞踏会に行けないシンデレラ
今日も残業
カボチャの馬車じゃなくて
通勤ラッシュの満員電車

でもいつか
ガラスの靴をもって
探しに来てくれるかしら
美人じゃないけどわたしは
こころやさしいシンデレラ
灰のなかから
夢をみつけられる

カボチャの馬車にのって
シンデレラは舞踏会に行くものよ
そしていつかきっと
すてきな王子さまに出会うの


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物語詩「青い花」

2024-03-17 06:15:23 | ポエム
物語詩「青い花」

目次 手紙
   迷える羊
   青い花
   魔王の影
   道しるべ
   はるかなるポルトガル
   月の浜辺
   泉のほとり
   魔法のランプ
   愛は
   



手紙

ある日わたしに
届いた手紙
文字のない
真っ白な手紙

ひらくと
風の音がした
波の音がした
遠いくにの香りがした

ひらくと
誰かがわたしを
呼ぶ声がした
それはあのひとの声

すべてがわたしを
旅へとさそう
すべてがわたしに
旅立てという



迷える羊

わたしはストレイ・シープ
迷える羊
群れから離れて
野をさまよう
菩提樹のそばで憩い
せせらぎの水を飲み
星空の下で眠る

わたしはストレイ・シープ
迷える羊
きっとどこかで待っている
探し求めるひとは
どんなに遠くとも
いつかたどり着こう

わたしはストレイ・シープ
迷える羊
群れから離れて
野をさすらう



青い花

どこかに
はるかな荒野(あれの)に
咲くという
まだ誰も見たことのない
青い花

月のしずくをあびて
一夜(ひとよ)だけ
野に咲くという
青い花をさがして
旅だったひと
いまはどこに?

どこかに
はるかな荒野に
咲くという
まぼろしの青い花
それはどこに?


 魔王の影
 

暗い森をおおう
大きな影
あれは魔王
魔王の影
白いフクロウをお伴に
旅人を襲う
愛を憎む王は
愛し合うものたちを
引き離す
闇のなかを歩むわたしに
襲いかかる大きな影
黄泉の国へと
わたしを突き落とす
おそろしい魔王の影



道しるべ

人生は
道しるべのない旅
一通の手紙を胸に歩く
いまはただ
風と星を頼りに



はるかなるポルトガル

ゆっくりと
坂道をのぼれば
ひろがる美しい海

街には
ファドの歌声
オレンジの香り

はるかなる西の果て
ひとを訪ねて
ここまでたどり着いた

岬に佇めば
荒々しい風が
すべて忘れよという

ああ
ポルトガルの海よ
あのひとはどこに



月の浜辺

月の浜辺あるけば
潮風が頬をなでる
空にはまたたく
サザンクロス

月の浜辺あるけば
足元によせる細波(さざなみ)
寄せてはかえす
銀のレエス

眸とじれば
椰子の葉のざわめき
熱くよみがえる
ひとの面影




泉のほとり

泉のほとり
疲れたからだ休めて
冷たい水を飲む

水よ 水よ
空を映しているように
置いてきた
あの街を映してほしい

水よ 水よ
映してほしい
あのひとの姿を
これから歩む道のりを

この美しい水の鏡に
水よ 水よ
こころあらば


魔法のランプ

どこかにあるという
どんな願いもかなえる
魔法のランプ
暗い森の奥深く
ナイチンゲールの鳴く
樹の枝に
あるいはそれは
小川のほとりの蛍(ほたる)草(ぐさ)

どこかにあるという
どんな願いもかなえる
魔法のランプ
あるいはそれは
窓辺にともるちいさな灯り
あるいはそれは
時の扉のむこうに
ひっそりと咲く青い花

愛は

愛は駆けてゆくだろう
どこへでも
愛は超えてゆくだろう
時の扉さえ

愛は一通の手紙
愛は道しるべ
愛は心を映す泉
愛は魔法のランプ

そしていつかきっと
愛は見つけるだろう
さがし続けるひとにだけ
その姿をみせる
まぼろしの青い花を




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降り始めた雪に

2024-03-17 06:08:25 | ポエム
降り始めた雪に

ひらら ひらら
てのひらに
ひらら ひらら
並木の木々に
ひらら ひらら
家々の屋根に
ひらら ひらら
町いちめんに

いつのまにか雪が
真っ白に
世界を変えてゆくなら
いつのまにか雪が
町中を眠らせてゆくなら

この思いも
雪の中に埋もれて
ちいさな結晶になるだろうか
いつか
凍れる花のように
雪のなかに咲くだろうか
ひらら ひらら
ひとひらの
うつくしいことばになって
あのかたの胸に届くだろうか
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あなたに

2023-09-06 05:18:50 | ポエム
あなたに

せめて一篇でも
どこにもないうつくしい詩を
とどけたいとおもうのに

せめて一篇でも
だれよりもやさしい詩を
おくりたいとおもうのに

書ききれない
書いては消し消しては書く
思いを告げきれない恋文のように

きっとどこかに
置きわすれてきたのだろう
言葉のつまったたいせつな箱を

夕べの山畑でキジが鳴いた
夕陽のかがやくなか
声をかぎりに

そんなふうに伝えられたら
たった一行でいい
そんなふうに綴ることができたなら

あなたに贈るだろうに
この地上で偶然にも
おなじ時を生きているあなたに
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一本のコスモスのように

2023-03-26 17:10:58 | フォト・ポエム
一本のコスモスのように


一本のコスモスのように
風にゆられる茎でありたい
風にゆられる茎であっても
決しておれない茎でありたい

一本のコスモスのように
ちいさな花をつけたい
よごれた泥のなかでも
よろこんで咲いていたい

一本のコスモスのように
まあるい少女の手につまれたい
一人ぼっちの少年の口笛を
だまってきいていたい

一本のコスモスのように
町いっぱいをかざりたい
冷たい風のなかでも
灯りのように咲いていたい
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