新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

神の葡萄

2011-12-26 23:18:19 | ポエム


この世に生まれたのは
なんのため?
風を感じるため よ
朝一番に鳴く
雀の歌を聞くため よ

わかっていたわ
それだけでいいってこと
朝が始まるたびに
新しいスクリーンが
降りてくる

この世に生まれたのは
なんのため?
夜のとばりを見るため よ
つつましい場所に
優しい明かりをつけるため

一日の終わりに
神の葡萄を味わうため
悲哀のカーテンをそっと閉じて

そしてもう一度
眩しい光のなかに
生まれるため よ






あなたは・・・

2011-12-21 23:28:39 | ポエム


今袖口を通り抜けた風
今朝咲いたひまわり
かすかに聞こえる潮騒
重なり落ちる森の葉

雑踏のなかを流れる歌声
ある日ポストに届く手紙
夜道を静かに照らす星
魚を自由に泳がせる水

一本のろうそくのように
一本のペンのように
一本の杖のように
一本の樹のように

ひとよ
あなたは
そこにいる










冬の娘

2011-12-11 22:54:38 | ポエム


冬は赤い頬の娘
長い風のスカートを履いている

手には木蔦で編んだ籠
黄金色の木の実を入れて

冬はどこかですれ違った娘
暖炉で燃える薪の匂いがする

遠いむかしの思い出が
ふと甦るのは冬のこと

運んでくるのは冬の娘
白い雪の侍女達を従えて











































詩の一行

2011-12-10 21:37:36 | 今日の気になることば
久しぶりにダスキン・ホフマン先生のことばです。先生は哲学者ですが、詩人でもあり、次のような示唆に富むことばを書いておられます。

散文においては、前の一行が次の一行を支える。
ただ、詩においては、一行を支えるのは自分であり、
その一行が、翻って自分を支えてくれる。