深海生物研究者の日常

思いついたときに思いついたことを書きます

公式ギボシムシの採り方

2010-01-14 15:45:59 | 日常,つぶやき
午後から潜ってきましたよ.
体が温まるまで,日本ギボシムシ協会公認,ギボシムシの採集の仕方を公開いたします.

1. 前日の夜,天気を確認する.東風が強いとあきらめる.それ以外の場合は準備.

2. 準備の際にドライスーツを手に取ったそこのあなた.あなたにはギボシムシを採集する資格はございません.ギボシムシの採集には5mm以下のウェットスーツを着用することが決められています.公式に.決してドライスーツを持っている人を僻んでいるわけではありませんよ.ウェットの方が機動力があるからなのですよ.機動力重視ですから,ギボシムシ採集は.

3. 寒さに強い体に産んでくれた両親に感謝する.そう産んでもらえなかった人はあきらめてホヤでも貝でもやったらいいと思います.

4. 当日はてきぱきと支度をして,海に向かう.海に入ると頭が「キーン」としてくる.水温は12-13℃程度.しばらくすると体が慣れて,それがなくなる.その後しばらくすると指先の感覚がなくなる.こうなるともうこっちのものです.どんどん捕まえましょう.もう感覚がなくなって寒くありませんから.

5. 十分量採ったら(採り過ぎはだめよ),丘に上がる.ここからが本当の地獄.歩いて車まで行き,ウェットを脱ぎ,ポリタンクに用意しておいたお湯をかぶり,体が冷えないように急いで服をきる.でもそれは不可能で絶対にこのときが一番寒い.だって水温は13℃じゃけど気温は8℃くらいで風とか吹いてるからね.

ようは風速10mでも西風なら採集できるけど,丘に上がった後が地獄なんですよ,というお話です.ようやく指先が動くようになってきました.