深海生物研究者の日常

思いついたときに思いついたことを書きます

2010その2

2010-01-03 20:47:47 | 日常,つぶやき
とりあえず今年どんな感じになりそうかを書いておきます.
まず,去年はいろいろなことがありました.
EMBOのサマーコースに参加して,今のEvoDevo界をリードする研究者と2週間も一緒に過ごしたのはとても貴重な経験でした.そして,そのあとイギリスでのミニミーティングで恐竜少年だった僕がもっとディープな無脊椎の世界に興味を持つきっかけとなった2人のうちの一人,Simon Conway Morrisと隣の席でディナーを食べ,バーで話を出来たのも感動的でした.
気がつけば去年は英語の発表しかしていなかったり,世界を意識する上では非常に進展のあった年でした.

そして今年はかなりのターニングポイントになるのは間違いありません.

ポスドクで何をやるのかを決めなくてはなりませんし,そもそも自分のやりたいことが出来るかどうかもわかりません.来年の春には,ただの歯車になっている可能性もあるわけです.そうならないためにも今年の春や夏に申請するグラントをなにかしらでもいいから取らないといけません.そのために今年は年末も寝ずに実験をしていたわけです.つまりは悪あがきです.再現性のあるデータは取れたので,文献をもう一度整理して,1月中には投稿したいです.

つーかそもそも研究続けるのか?
この辺はいろいろ秘密です.

今年の間にD論を書いて,予備審も済んでしまうわけなのですが,それまでに博士としてふさわしい人間になっていなくてはなりません.これがまだまだ僕には遠いです.うちの専攻は1本国際誌に論文を出していれば審査を受けられるのですが,現状は1本ありさえすれば誰でも博士を取れてしまっています.つまりボスの言う通りに実験をやって,ボスが書いた論文で博士を取っている人を大量生産しているのです.つまりうちの大学の博士という学位に,うちの大学の教員達はなんの責任もプライドも持っていないのです.D論審査も参考のためにいくつか聞きに行きましたが,完全にただの儀式でした.もちろん大変優秀で感動するような仕事内容でプレゼン,質疑もすばらしかった人もいます.でもDを取れるのってそういう人だけでいいんじゃね?っていうのが僕の考えなのです.そしてそのレベルと自分の現状にあまりにも開きがあるのです.これまでの自分の成長曲線を考えて,あと1年でそこまで達することが出来るのか?そこまで達していないのに論文があるから出なよと言われて出るようなことだけは避けたいです.

そんなことを考えながらとりあえず,来週には下田に行かなくてはいけないので,それまでにこちらでしか出来ない実験を急いでやっています.結局目の前のことを片付けるので精一杯なのです.