深海生物研究者の日常

思いついたときに思いついたことを書きます

Quelle後半積み込み

2013-08-22 22:41:06 | 日常,つぶやき
今日は現在行っている世界一周航海の後半戦の積み込みをしました.
しんかい6500も整備を終え,母船よこすかに乗っています.我々も研究機材を積み込んで準備万端です.

後半は南西太平洋へと調査に行きます.詳しくはこちら(リンク)をどうぞ!!

トンガーケルマディックが主なターゲットですが,実はウェブサイトに載っていない航海も存在していて,僕はそれに乗船します.
時期は11月,しんかいがトンガーケルマディックの航海を終え,横須賀に帰る途中に調査をしながら帰るわけです.
というわけで乗船地はニュージーランドのオークランド,そして下船地は横須賀になります.
ええ,長旅です.その期間は実に20日間.
そして,気になるしんかいの潜航日は!?



2日.


2日...です.


20日の航海で,2回です.


ええ.ほとんど回航ですよ.

まぁわたくしくらいになると,それまでに実験データを出して,論文執筆にいそしむわけですが(キリッ

そして,初の赤道越えです.船乗りの間で脈々と受け継がれてきている奇祭「赤道祭」が執り行われるわけです.ああ恐ろしい.恐ろしい.


そういえばQuelleってヴァイスラント語で水源を意味するクヴェルの元ネタですよね.
我々は南回帰航路で何を見つけるのか?偉大な発見をし,タイクーンと呼ばれるようになるのか?それとも邪悪なアニマの虜になってしまうのか?

生中継で伝えたかったこと

2013-08-21 23:33:24 | 日常,つぶやき
今日,所内で職員向けのしんかい6500調査潜航生中継の舞台裏的なセミナーがありました.

実は所内でもしんかいのオペレーションの実際を知っている人というのはかなり限られています.多くの事務職員は整備場にある姿しか見たことがないでしょうし,研究者であってもしんかいの航海に乗船したことのない人は同様です.つまり,職員と言えども,皆さん同様に映像でしか見たことがないわけです.その映像というのもハイライトのみで,実際どのような手順で,どのようなスケジュールでというのはわからないわけです.しんかいの航海に乗ったことがあっても,船上には音響信号で送られてくる船外の映像のみなので,潜航経験がなければ耐圧穀内の様子というのはわからないわけです.しんかい乗船経験があっても,他の人がどのような様子で潜航しているのかはわかりません.

そういうわけで,職員であっても多くの視聴者の皆さんと同じように新鮮な気持ちで今回の生中継を迎えたわけです..

で,今回の生中継で伝えたかったことはなんでしょうか?
実際に挙げていくとたくさんあるでしょうが,今日生放送を企画し,そして潜航した高井さんは,”実際のわくわく,新鮮さを感じてもらうこと”という主旨のことを言っていました.画面越しではありますが,目の前で見ていて,話をしている人が,準備をし,潜航していく.しかも水深5000mの深海にです.ダイジェストではなく,その時間を共有することで,あたかも自分がよこすかに乗船し,その潜航を見守っている気持ちになれるわけです.そして多くの人にとっては初めてのしんかいオペレーションを見ることとなるわけです.”自分が初めてしんかいのオペレーションを経験したときの,なんとも言えないワクワク.すべてが新しく,一日中高揚している気持ちをみんなに感じてほしい”と.どうだったでしょうか?
私もJAMSTECに異動して4ヶ月目にはじめてのしんかいの航海を経験したわけですが,,,,,まぁ船も慣れてなかったし,酔ってたからあんまり覚えていませんが....
でもそのときに撮った写真と動画の数からも,テンション高かったんだなぁと思います.

これをきっかけにして,無人機などのオペレーションや深海の研究,映像がもっと身近になればと思います.
うちに大量に眠っている映像もどんどん自由に見れるようになればいいですね.垂れ流しでもいいと思うんですよ.同僚とよく話しますが,ネットにあげてしまえば,野生のプロがかっこよく編集してくれるでしょう.そうやって日頃目にする映像のいろいろなところで,切れ端でもいいので航海の映像が使われて,自然に視界に入ってくるようになればいいのになぁと.

しんか6500公開整備

2013-08-20 22:57:33 | 日常,つぶやき
日曜日にしんかい6500整備生中継(リンク)イベントがありました.

しんかい6500は母船横須賀とともに世界一周調査航海の最中であり,その途中整備の為に一時帰国した様子をUstreamとニコ生で放送しました.
この世界一周の途中,6月22日にカリブ海の世界最深熱水域の潜航調査をニコ生でライブ中継をし(ニコニコアカウントがあれば今でも観れます),今回はこの報告会という意味もありました.

今回のイベントは前半と後半に分かれていて,前半は公募抽選で選ばれた30人のしんかいレポーターが,しんかいの整備風景を見学し,その様子をSNSにあげたり,学校で発表したりするという内容.後半は整備上からのニコ生.

私は前半の航海整備のときに,世界一周航海で採集した生物等の解説員として参画しました.

まぁ前置きはこのくらいにして,深海ブームですね.とは言っても,実際ブームなのでしょうか?私に関わる人というのは,深海関係者,深海マニア,多少なりとも生物や自然が好き,な人たちなのでその人たちの声が大きくなっただけなのか,これまで興味のなかった人たちが興味を持ってくれているのかはよくわかりません.
関係のない人まで虜にするのがスターよってばっちゃが言ってた.

まぁでも1年前よりも深海の話題が多くなっているのは確かですよ.
もちろんその背景には最近NHKで放送されたダイオウイカとそのダイオウイカをフィーチャーした国立科学博物館の深海展があります.
そこにニコ生とサメが続きました.そしてそれに合わせて全国各地の水族館等が深海特集をやっています.

まさに計画通りに作られたブームなわけです.

で,このブーム遅くても年明けには終わるでしょう.そのときが大切な気がしています.うちの広報の方達もその辺りは気にしていると思います.
興味を持ってくれた人の一部がいつでも気軽にアクセス出来るような媒体で,より研究を身近に感じることが出来るようなことが出来たらいいなと思っています.
(ほら,むし界隈とか,最近では菌界隈がざわざわしてますよね).

JAMSTECは組織が大きいからフットワークが重くなってしまうんですよね(と勝手に思っています).
こういうことについて,研究アイデアと同じように,evernoteにつらつらと書きなぐっているのですが公開していくことにしました.

ちなみに私は今回のしんかいレポーターイベント,全然満足していません.もっとこう,中の人とレポーターが密に絡み合って,えぐいことをぐいぐい聞かれてそれがネットに配信されるみたいなものを想像していたので.なんというか説明する人,聞く人になってしまいました.要はより詳しい一般公開になってしまったのです.質的にいつもと変わりがなかった.せっかく30人という少人数で,それを15人ずつ2班にわけて,それぞれにオペレーション関係者と研究者がついたのに,もったいなかったです.