今回はイベントの報告です。10月2日に松本の4軒の居酒屋の共同開催で、震災と風評被害に苦しむ福島の8件の酒蔵を招き、日本酒を飲み歩くイベントが開催されたのである。その名も「城下町ほろ酔い散歩」である。お客さんは4軒の居酒屋を回り、各店に待機する2件酒蔵の酒を飲んで町を巡る内容で、自慢の酒を8杯まで飲むことが出来るのだ。試飲ではなく、おつまみを食べながらちゃんと酒を味わうイベントであり、8杯飲むと四号瓶を1本飲む計算となる。
僕は今回イザケン仲間とともに2人で参加したが、全部で90人くらいの人が参加していたらしい。フレンチと日本酒を合わせる「NOMDOS」からスタートし、ホームグランド「風林火山」を経由。初めての訪問となる「アガレヤ」を巡り、最後は映画「神様のカルテ」の舞台になった「厨十兵衛」へと流れる。
NOMDOSの深沢君が開会の挨拶を!
料理をつまみがなら福島の8杯の酒を飲み、最後の店を出るころには開始から5時間が経過していた。ゆっくりと酒を楽しみ、途中で町をブラブラするため、酔いは想像よりも軽くしか回らず、終了後は相棒とともにBARを探して歩き回り、結局日曜日にバーは営業していないということを学習し、中華料理屋に寄って日本酒で乾いた喉をビールで洗い、ラーメン屋でお腹を満たして家路に着いた。
イベントは全体的には楽しく過ごせた。蔵の人にいろんなことを聞いたり、おもしろい話題でわいたり、いつもと形態の違う営業スタイルの居酒屋を楽しみ、ほろ酔いで松本を歩く良い5時間であった。
風林火山でまったりと・・・
また来春には福島の蔵を呼び、新酒を飲むためのイベントを企画しているとタイソンから聞き、松本の居酒屋店主達の積極的な取り組みに頭が下る思いであった。
しかしひとつ僕ら的には問題があったので、苦言を呈すわけではないがこれを提議しておきたい。
10月の松本と言えば秋も深まり、夕暮れ時は少し暖かいカッコをしていないと肌寒い季節である。しかも酒を飲む一方、酔いを深くしないために和らぎ水を大量に飲むこともあり、必然的にトイレも近くなるし体が冷えるのである。
最近の日本酒の傾向はどうしても「冷酒」で楽しむ趣向である。それはそれで僕もよーく理解しているが、中には「ぬる燗」や「熱燗」にこそ向く酒もある。蔵の字とを前に「これはぜひ冷で」と言われれば冷で飲むものの、僕らが「これは燗にしたい」と思う酒を蔵の人も「この酒は燗に向きますよ」と言うのであればぜひ燗で楽しみたいものだ。しかもこの気候。人肌程度に温まった酒の味わいがその酒のイメージを引き立てる効能は大きく、その酒が持つ本来のポテンシャルを大きく引き出すものである。
今回とある店で「山廃」の酒があり、冷で一口飲んだ香りと味わいから、「これは燗にしたい」と相棒と意見が一致。すかさずその蔵の方に話しをすると「これはぬる燗にするとなお良い」との返事が。そこで蔵の方がその店の店主へ燗にして飲みたいという客がいることを報告。しかし店主の答え
は「NO」であった。
これが今回の一番「辰泉」
店のカウンターの端っこに電気を入れて作動させる白い燗付け器があるにも関わらずである。これは僕らのエゴだろうか?非常になっとくできないワンシーンでした。
しかしまあそれ以上は特に問題もなく楽しめるイベントであり、3月の新酒イベントが今から楽しみである。それと希望をひとつ。福島の酒を飲むにあたり、ぜひ酒の肴に福島の幸を食してみたいものだ。生魚は難しくても、福島の地の漬物や酒に合う珍味はいけるのではないか?ぜひ次回検討して欲しいものだ。
最後に。福島から自慢の酒を持ち、信州松本へ来てくださった蔵の方々に感謝の念を。そして風評被害に負けずこれからも良い酒を醸して頂きたい。その応援が微力ながらできればと、次回のイベントにも参加を今時点で決心。
そしてこのイベントを立ち上げ、開催に漕ぎ着けた松本の素晴らしい居酒屋店主の皆さん。
ゼロからのイベント。日常の仕事の最中で企画しここまで漕ぎ着けた努力は素晴らしいものだと思います。この努力が必ず松本の居酒屋界を大きく牽引することは間違いないはず。
こんなイベントを開催できちゃう力に自信を持ち、今後も松本を居酒屋から盛り上げていただきたいと切に望みます。どうもお疲れさまでした!