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日本の、東京の居酒屋巡りをお届けしてきたブログ・・
信州への転居に伴い、内容も一新してリニューアル!!

あえて写真なし 松本和食の名店!

2012年03月23日 | Weblog

入籍記念日にと、久しぶりに奮発して食事をしようと言うことになり、以前から気になっていた店を予約した。女鳥羽川沿いの時計博物館の向い側のビルの2階にある「そらのかなた」である。予約しないと中々入れない高級和食店として有名な店だ。夫婦揃って多少の緊張を覚えつつ予約の日時に店を訪問。清楚で落ち着きのあるカウンターに案内を受け着席。実は予約の際にカウンターが一杯だったので日にちをずらしてまでこのカウンターにたどり着いたのだ。それだけこの店のカウンターで見る板前さんの仕事が楽しみだった。さてビールを1本頼み乾杯していると1皿目の料理が。先に途中まで出てきた料理を書いておこう。(メニューがないので板前さんが説明してくれた内容を覚えている感じで)

1皿目 茶碗蒸しのかぶらあんかけ 

ウニの入った茶碗蒸しに暖かくダシの利いたあんかけがかかった1品 冷えた体に暖かい出迎えがうれしい

2皿目 ひらめの炙り  フキノトウの香り

軽く炙ったひらめの刺身にペースト状のフキノトウが乗った春らしい一皿 日本酒に合う。ここで愛知の銘酒「醸し人九平次」を頂く。香り高い純米吟醸が美味い。

3皿目 アイナメと菜の花のお椀

カニを包んだアイナメを炙りお出汁をはったお椀 生ワサビの香りがたまらない。

4皿目 お造り (醤油は刷毛で塗るのである)

奄美大島の炙り大トロ まぐろの赤身づけ 中トロ さよりの昆布締め ひらめの肝巻

ひらめのエンガワ 生湯葉とウニ 真鯛 金目鯛 炙りフグ 赤貝のミニちらし寿司。この辺でお酒も燗酒に移る。兵庫の「奥播磨」の山廃をぬるめにつけてもらう。うまし!

5皿目 たけのこと金目鯛の菜の花仕立て

茹でたたけのことおそらく麹で香り付けした金目鯛を炙り、上にペースト状の菜の花を。この菜の花ペースト極めてが美味い!板さんに話しを聞いたので家で再現してみよう。

6皿目 自家製うどん そら豆ソース

自家製のコシのある細いうどんにそら豆のソースをかけ、周りにダシの利いたゼリーが。この辺でお酒は「大七」の燗酒をもらい、嫁さんは自家製イチゴと日本酒のカクテルを。

7皿目 フグの炙り

目の前で炭火で焼いたフグ みりんと醤油で下味がついており、ブリブリして甘い!

8皿目 たけのこ饅頭

たけのこを砕き、千切のたけのことで作った饅頭に濃いダシの餡がかかる一皿。

9皿目 金目鯛の炊き込みご飯

2種類あるご飯から選択。2人分だけを土鍋で炊き上げる。上品で香ばしい。それぞれ2杯を平らげたら、残りはお持ち帰りにしてくれるうれしい心意気。お漬物も美味かった。

僕は最後に「大信州」の「手いっぱい」を頂く。フルーティーで美味い。大信州はやはり美味い。最後はデザート 6種類あるデザートから嫁さんは自家製黒糖プリンを。僕はうぐいすきな粉のアイスクリームを。どちらも甘すぎず丁寧な大人の味。お茶も濃く香り良く美味い。

最初から最後まで心置きなく楽しめた。丁寧な仕事を目の前に見つつ、夫婦で色んな話しをしながら最高の料理を楽しんだ2時間ちょっとの至福の時。このお店はお客さんがここで食事をする時間を繊細に、暖かく、ちょうど良い距離感で満たしてくれる。必要以上に話してこないし、おしぼりの差し替え、お茶の交換するタイミングなど、とにかく気持ちが良いのだ。そして僕がもっとも驚いたことは、お椀が供される際の板さんの不思議な行動であった。お椀に料理を盛り付け、フタをかぶせた後、そのフタの上に霧吹きで軽く水をかけたのだ。何かの香り付けかと思ったが何の匂いもしない。おもわず今のはなんだったのか聞いてみた。答えはこう「フタを触ると指紋がつきます。水滴をつけることでだれも手をつけてないことを示すための作法です。だれもお椀をあけてませんよ、という意味です」と。知らなかった和食の作法。感動した。とにかく意を決して開いた扉の奥には素敵な空間と時間があったのだ。サービス業とはかくのごとくあるべし。その見本となる和の心づくしを堪能した夜であった。

 

 


突然蔵見学

2012年03月12日 | Weblog

先日嫁さんと友人と酒蔵見学にでかけた。我が家から車で30分。池田町にある「大雪渓酒蔵」に到着した。「大雪渓」は東京にいる時から名前は知っていた県内でも大きな蔵のひとつだ。酒イベントなどを通じてここの蔵人U君とは懇意にしており、彼に頼んで急遽見学となった。まず大量に積まれた米袋に圧倒されつつ、磨いた米を生で噛んでみる。その後、次は蒸したばかりの米を食べさせてもらう。普段食べている米とは甘みが大きく違う。酒米には甘みが少なく、米自体の旨味もあまり感じない。そこから今度は米に混ぜる麹を見せてもらい、実際に麹と米を混ぜる部屋にも入れてもらい、最後は綺麗に麹をまとい白く丸くなった米を食べさせてもらう。蔵人U君が言うとおり栗のような味わいが広がり奇跡的に美味いのである。普通は入れてもらえない部屋に入れていただけたのも、多忙な酒造りの時期も終盤に入っており、そろそろ最後の絞りの時期だからということと、U君の心意気だろう。感謝である。

途中で出会う蔵人達が暖かい挨拶をかけてくれるのもとても気持ちよく、綺麗に整備された蔵はとても好印象である。

また途中でお会いした杜氏も若く、また違う蔵人は南極越冬隊だった経歴を持つ方もおり、とても個性溢れる面々が働いているようだ。まあ、U君も含めてであるが。

今まで酒造りのことをおおまかには理解していた僕。いくつかの蔵に見学に行ったし、酒蔵を回る中で造りを見せて頂く機会も多い。どの蔵にも個性、こだわりがあり、日頃飲むお酒に対する思いも変わるもんである。大雪渓は普通酒が売れる蔵である。いわゆる一番安い一般酒であるが、その質は非常に高く、飲食店での取り扱いも多い。もちろん出品酒にも力を入れており、相当数の酒のラインナップはあるものの、やはり酒蔵は一般酒が売れてなんぼだ。賞を受賞したり、有名な酒屋や居酒屋にお酒が置かれることがとかく注目されがちだが、そういう特別なお酒を試し、開発する基盤は一般酒の売上であり、それが伸びないようなら経営が立ち行き行かなくなる。だから大雪渓は安定した基盤の上に、U君などのエッセンスによるこれからの伸びと変化が楽しみな蔵なのだ。

さて見学に話しを戻すが、醗酵タンクに顔をつっこみ二酸化炭素臭の攻撃をくらったり、初めて見る協会酵母の現物など、普通の蔵見学では体験できない事が盛りだくさんで、あっとういう間に2時間経過。本当はここに書きたい楽しいことやお得なことがいくつもあるのだが、それを書くと大雪渓さんに大きな迷惑をかけてしまうので、それは割愛。ぜひ自分の目と耳と舌で味わって頂きたい。

試飲を終えてお酒を買い求め蔵を後にする際、U君が最後まで頭を下げて見送ってくれた姿に感動したものだ。更に良い蔵人となり、信州の酒を引っ張って欲しいものだ。

初めて蔵見学に行った友人もとても満足しており、こうやってお酒への考えを変える機会を与えたり、お酒への探究心を持ってもらうチャンスを広げるのも僕ら酒好きの責務である、と勝手に思っている僕なのである。それにしても二酸化炭素きつかったぁぁ!

ただ酒を飲むだけではなく、蔵の背景やそれを造る人を知っているだけで、思いや味わいはかわるもの。ぜひ近くに蔵があれば、思いきって扉を開けてみよう。


ポテチ!

2012年03月01日 | Weblog

最近はまっている食べ物がある。

僕はポテトチップが大好きだ。チップスターのようにジャガイモを砕いて固めた感のするものではなく、カルビーのポテチのような王道のポテチが好きだ。カルビーは定番だがチップスが堅い「堅あげ」タイプがより好きである。ガリガリと歯ごたえがあり、口の中を切りそうになるくらい堅いものが好きだ。

味付けはシンプルに「うすしお」か「コンソメ」に限る。ブリングルスのようなザラザラとパウダーの付いた濃い味のものよりシンプルなものを好む傾向がある。

そんな僕が最近はまるのはコレ。無印良品の「素のまま 堅揚げポテトチップス」である。52グラム、105円。これが安いか高いかはわからないが、実はこのポテチ、これだけでは完成品ではない。実は別売りの様々な味のついたパウダーを袋に入れてシャカシャカして自分で味付けするのである。パウダーは1種類でもいいし、自分で好みのパウダーを混ぜるのもいいだろう。コンソメ、チーズなど色々な味がある。また他にディップして食べるためのソース的な物も売られている。さぞかし楽しいポテチであろう・・・で、あろう?そう、僕は味付けを楽しむことでこのポテチにはまっているわけではない。

何を隠そう実はこのまま食べる「素の味」にはまっているのだ。もちろん食感は僕の好きな堅いハードタイプであり、質感もジャガイモをスライスしてそのまま揚げたタイプである。しかし味はまったくついていないのだ。塩味のかけらも感じない、そのまんまジャガイモの味である。油で揚げているので味がなければ多少脂っこさが目立つ感はある。しかしそれを上回るだけのポテンシャルをこのポテチは持つ。

堅いだけによく噛む。噛むとジャガイモの持つ甘みがジワジワと口内に広がり、素材のもつ本来の味わいや、大地の香り、太陽のスパイスを感じるのだ。というのは言いすぎだが普通のポテチより素材の味を楽しめる点では一切の曇りはない。

酒飲みの僕は塩分摂取を気をつけなくてはいけない。だから醤油のかけすぎやソースの使いすぎには気を配る。でも余計な味をつけない美学というものを、このポテチに教えられた。最近豆腐にも醤油をかけずに食べる。豆の甘みがこれでもかと感じられるし、そこに一滴醤油をたらすことで、その甘みは何倍にも広がる。味覚と言うものは不思議なものだ。

現代社会に蔓延する多種多彩な食べ物。とかく味付けは濃いものが多い気がする。でもそんな世の中だからこそシンプルなもの、シンプルな味に目を、いや舌をむけてみるのも良いものだ。このポテチをゆっくり咀嚼しながら飲む焼酎やウイスキーの味わいは格別である。舌が研ぎ澄まされる気分だ。

皆さん、だまされたと思ってお近くの無印良品に足を運んでみてください。そしてお菓子売り場でこのポテチを見つけ、その周りに並ぶ様々な味わいを足すパウダーやソースの種類に驚いてください。そしてポテチだけを持ちレジへ向かいましょう。

「お客様、このポテトチップスは味付けパウダーをお求めにならないと味がありませんよ」と100%店員に言われます。無印良品の接客マニュアルご立派です!


おひさしブリーフ

2012年02月16日 | Weblog

 

 

 

 

 

 

長い長い沈黙でした・・・色々あって・・・嘘、

サボってただけです。すんません。

お久しぶりです、そしてあけましておめでとうございます。

既に2月ですが、今年もよろしく!

さあ久々に何を書こうか・・・ネタがあるようでない。ないようでたくさんある。だから選ぶのが困難です。

というわけでどうでも良い話で今年のブログを始めます。今回のテーマは僕の定番朝ごはん。皆さんも理想の朝ごはんってありますよね?お米派、パン派。はたまた食べない人もいるでしょうが、朝ごはんは必ず食べましょう!健康のためにもね。

僕はご飯派です。パンも嫌いではないが、平日には絶対ダメ。休みの日はいいんだけど、平日はなんとなく・・・パンの朝ごはんってゆっくり食べるイメージがあってね。

でもピザトーストは大好きです。パンにマヨネーズとケチャップを塗り、スライスオニオンと薄切りにしたソーセージと輪切りのピーマン。その上にチーズをかけてトースターへ。簡単で深い味わいがたまりません。

でも僕の理想は・・・「目玉焼きのせご飯」です。ご飯の上に目玉焼きの半熟を乗せ、一緒に焼いたシャウエッセン(銘柄指定)を2本。上からソース(たまにケチャップ)をかけてばくつくのです。たまらんのです。僕は目玉焼きには醤油はNG。断然ソースですが別に醤油派を否定する気も対立姿勢もないのであしからず。

それと朝ごはんにあるといいなぁと強く思うのがポタージュスープ。ご飯にもパンにも僕の理想の朝の水分はポタージュが一番。最近は出張で泊まるホテルの選択肢の相当上の方の条件に、朝のバイキングにポタージュの有無が出てきます。あると3杯くらい飲んじゃって、昼にお腹が減りません。ああ、腹減ってきた・・・

さあ次回からまた居酒屋、お酒に関する話を書いていきたいと思います。

改めて今年もヨロシクです!!


川崎の夢

2011年12月06日 | Weblog

我がソフトバンクホークスの日本一により今年のプロ野球は終了。プロ野球界はストーブリーグに突入です。数人の監督交代があり、幾人かの名選手が現役を退き、新しい球団がひとつ誕生し、ドラフト選出されたルーキー達が入団しました。

そしてこれから契約更改が開始されます。大幅に年俸を上げた選手もすでにちらほら。逆に年俸を下げる選手も出てきます。

そんな中海外移籍やFA権行使の移籍交渉も始まりましたね。最近友人から「来年ホークスはダメやな」とよく言われます。そうです、今年の日本一の主力メンバーの大量流出が懸念されています。エース2本柱の杉内、和田の2枚看板がFA権行使を宣言。海外移籍を含めた交渉が始まります。そして今年の最多勝投手ホールトンも流出の危機・・・この3人が抜けると単純計算で40勝くらいの勝ち星がなくなる・・・確かにやばいです。

でも今年の日本一に大きく貢献してくれた内川や細川は今年移籍で獲得した選手。選手の移籍はこの世界の常識であり、正当であり仕方のないフェアなルールである。わがまま言っても仕方ないが、やはり主力選手の流出は悲しい・・・しかも生え抜き選手がチームを去るのは余計に悲しいものです。

その中でも特に悲しいのが川崎宗則です。球界一のイケメン。野球ファンではない女性からの人気も高く、チームのムードメーカーでありリードオフマンでもある。走ってよし、打ってよし、守って良しのいわゆる3拍子揃ったかけがえの無い選手です。

今年で30歳になる鹿児島出身。ダイエーホークスに入団以来、じわじわと力をつけ、日本一にも大きく貢献してくれた。

またワールドベースボールクラシックにも2回連続主力として出場し、どちらの大会でも記憶に残る活躍をしてくれた。日本野球界の宝の1人でもある。て、言えるよね?

そんな彼も来年メジャーへ挑戦することを宣言しました。ファン心理で言うとさみしいです。でも男として彼の追いかける夢の話を聞くと応援したくなってしまいました。

メジャー挑戦って最近ではなにか普通に聞こえてしまいます。それくらいたくさんの選手がアメリカに渡り成功したりそうでなかったり。日本で10年プロとして野球を続けてそれなりの結果を残すとすぐメジャーへ行きますね。それなりにみんな思いとか夢とかありますが、僕は川崎の夢に感動しました。

彼は尊敬するイチローと同じチームで野球がしたい。そのために海外へ挑戦します。イチローと同じチームで、と言うことでシアトルマリナーズ限定での海外挑戦なのです。他のメジャー球団からの誘いは一切受けず、マリナーズであればマイナーリーグでも良いとまで言っています。日本のトップチームでバリバリの選手がアメリカの2軍でも良いと宣言したわけです。これは男だ!野球は名誉やお金じゃない、夢なんだと言っているようなもの。24千万円の年俸をもらう選手がアメリカに渡ると足元見られて3千万の給料になるかもしれないリスクの中、彼は尊敬するイチローの背中を追うわけです。勇気があります。夢のためとは言え、今年結婚したばかりの、怪我をすれば何の保障も無い世界で生きる男がです。川崎の夢が叶うといいな、と心から祈るホークスファンでした。


祝!真の日本一!!

2011年11月21日 | Weblog

僕には書かねばならないことがある。そう、我がソフトバンクホークスの日本一についてである。

思い起こせば1999年、福岡にホークスがやってきて初めての歓喜のリーグ優勝。そして中日との日本シリーズで初の日本一に輝き、翌年リーグ戦を連覇し、長島巨人とのON対決となる日本シリーズで敗退した。そして2003年もリーグ戦を勝ち抜き、究極の内弁慶シリーズとなる阪神との日本シリーズに競り勝ったのが8年前である。

セリーグ、パリーグの2リーグ制。1年を通す戦いの結果、各リーグで優勝したチームが日本シリーズに出場し日本一を決める。これが長いプロ野球の歴史の中の定番であった。しかし野球人気の低下に歯止めをかけるべく、2004年からパリーグはプレーオフ制度を導入した。この制度改革に賛否両論あったものの、興業的にも成功を収め、2004年から2006年の3年間はこのプレーオフを勝ち抜いたパリーグのチームが日本シリーズも制すに至り、ついにセリーグでも2007年からプレーオフ精度が導入され、2007年より両リーグでのプレーオフをクライマックスシリーズ(以後CS)と呼ぶようになった。

我がホークスはこの制度の多大なる犠牲者と言える。2004年のプレーオフ元年はレギュラーシリーズ1位ながらプレーオフで西武に敗れる。シーズン優勝チームに1勝のアドバンテージが与えられるようになったのは奇しくもこの翌年から。アドバンテージがあれば実は2004年は西武に負けてはいなかったのだ。2005年もレギュラーシリーズ1位となったものの、CSのアドバンテージ1勝を与えられる条件である(今はこの条件はない)「2位との差5ゲーム差以上」に対して0.5ゲーム足りず、アドバンテージは与えられず。この年のCSもアドバンテージ無しに泣かされ敗退。2年連続リーグ制覇しながら日本シリーズ出場ができない悔しさを味わった。プレーオフ制度が開始されて以来3年間、CS出場はするものの短期決戦の空気に呑まれ、まるで力を出せずに敗退。この制度によってかどうかはわからないが、ホークスの勢いや空気は一変し、その後リーグ制覇から遠のき、ついにリーグ最下位の屈辱も味わうことに。

そして昨年2010年。久々のリーグ制覇を果たして臨んだCS。アドバンテージを活かし、ロッテに先行し日本シリーズ出場に王手をかけたものの、そこからロッテの勢いに負け、なんとシーズン3位からCSに出てきたロッテに敗退。「史上最高の下克上」などというくだらないキャッチフレーズをロッテに口にされるに至った。

短期決戦で打てない、勝てない。重い重圧と使命感を無駄に背負い、打撃不振に陥る主軸の姿。リーグ優勝しながら下位チームに敗退するこの制度の矛盾。王監督の胃がんによる秋山監督への監督交代劇。この8年間僕らは悔しい思いしかしてこなかった。

このCS制度は確かにプロ野球を盛り上げた。CSに出ることと優勝することと言う2つの目標が与えられ、消化試合は減り、リーグ戦終盤までドラマが起きる。短期決戦に強いチームが勢いを得て上位チームを食う姿は下位チームのファンから見れば痛快だろう。しかし常に僕らは逆の立場であった。「制度は制度なんだから負けるほうが悪い。負け惜しみを言うな」とも言われた。勝負の世界だからルールの上でそういわれれば仕方ない。だから余計に歯がゆかった。「なにが下克上だ。あんなのただの敗者復活戦だ」と思いながらロッテがリーグ3位から日本一になる姿を見た。なんなんだろうプロ野球って、と何度も思い、TVを見るのが嫌になることも10回や20回ではなかった。

でも今年は違った。去年のような屈辱は絶対に繰り返せない。強いものが絶対に勝つ姿を信じ、開幕戦からずっと追い続けた。

交流戦での圧倒的強さ。パリーグ全球団に勝ち越すリーグ戦の常勝ぶり。ホークスは圧倒的な強さでリーグ戦を勝ち抜き2年連続リーグ優勝からのCS出場を決めた。2位日本ハムにつけたゲーム差は17.5ゲーム。3位西武に至っては20ゲーム差。このゲーム差でCSをやるプロ野球機構の頭の中がわからないが、これも制度なのだろう。そしてまたこのゲーム差に知らん振りしてか、堂々とCSに出てくるチームの気が知れない。ホークスが逆の立場なら、こんなゲーム差つけられたんじゃCS出場を辞退して欲しいとすら思うんだが。制度の上に則った意味不明のCS。しかし今年は嫌な空気に飲まれず、CSも圧倒的な強さで勝つ。松中の満塁打は涙で曇って見えた。内川も本田も川崎も松田も小久保もみんな頑張った。そして掴んだCS優勝。当然と言えば当然な勝利を8年ぶりに取り戻した。

そしてこの中日とのもつれにもつれた日本シリーズ。中日の空気になんとなく呑まれて打てない湿った打線。我が脅威の打線が25分程度の低打率に留まってしまう。一時期のCS中のホークスを思わせ、不安になることも。しかし投手陣がしっかり抑え、要所要所で小久保や内川がヒットを打つ。ノーアウト満塁の場面で森福の当番。親友とメールしながら「この場面がこのシリーズの分岐点だ」と話していたらその通りとなったようだ。

打てないホークスより打てない中日。中日のシリーズ打率は15分にまで沈む。これは打者が打てないというだけではなく、両チームの投手の力がすばらしかったことにもなるだろう。

そして最終戦。落合監督の姿がいつもより小さく見えた。落合という名監督の最後の采配。最後の最後で「なぜ?」と思う采配。彼の直感に勝るホークスの勝利への意地が感じられた。松中の力走に内川のセンター前。杉内の気合のピッチングにファルケンボーグの完璧な中継ぎ。最後は馬原ではなかったものの、摂津の素晴らしいクロージング。8年間待った瞬間は意外とあっけなくやってきた。この8年間の悔しい思いが晴れるのに、おそらく幾日か時間が必要だ。それだけうれしくも不思議な夜だった。ただうれしいだけではなく、複雑な気持ちが沸いた。

セパ両リーグのレギュラーシーズン優勝チーム同士の日本シリーズ。このシリーズが持つ意味は大きい。やはり144試合勝ち抜いた先にある優勝。この意味を今年はより強く感じることができた。やはり野球の神様はいる。努力し続けた者、試練に勝った者に最良の時間は訪れるのだ。

しかし2つほど我慢のならないことが。まず1個目は巨人の内紛だ。やるのはいい。くだらないけんかを見るのも楽しいが、今やる必要はないだろう?シリーズを戦う両チームの選手に失礼だ。清武もナベツネも馬鹿だ。巨人ファンですら身内の内紛にあきれて何も言えまい。

そしてTBS。落ち目のキムタクのドラマに何億も突っ込み、思うように取れない視聴率に悩むのはわかる。でも秋山監督の男泣きのインタビューを「ぶちり」と途中で切捨て、いきなり南極大陸を流し始めるデリカシーの無さに腹が立つ。放送時間延長で早くドラマを放送したいのもわかる。低視聴率な上に放送時間が遅くなる負の掛け算を防ぎたい気持ちもわからんではない。でもそれはないだろう?所詮横浜ベイスターズを将来性の見えないゲーム会社に売る企業だ。わからなくて当たり前かもね。フジなら最後まで見せてくれたんだろうな?と思ってしまった。

まあそんなことはもう忘れて、とにかく8年間の悔しさをゆっくり浄化させ、また少しプロ野球を好きになろうと思う。ダルビッシュや岩隈がメジャーへ行ってしまう。日本プロ野球の温度が下らぬよう、CS制度も1役買うのだろう。でも思う。レギュラーシリーズを勝ったチームが責任を持ってCSを勝ち抜き、そして日本シリーズへ行く。そんなCSであって欲しい。それに対して下位チームは本気でぶつかる。でも跳ね除ける強さで日本一へ進もう。来年ホークスがその立場でなくとも、僕は強くそう望む。

最後に。他チームのファンの人がいたなら多少失礼な言葉を書いてしまったかもしれません。でも許して。8年苦しんだのだから。そして同じプロ野球ファンとしてホークスの今年の圧倒的強さを讃えて欲しい。

そして我がホークスの選手、スタッフ、ファンのみんな。

よかったねぇぇぇ~ほんとに!


長野のフレンチ

2011年11月16日 | Weblog

結婚記念日に、たまには居酒屋ではないところでゆっくり食事をしようと言うことになり、長野市にある隠れ家的フレンチへ出かけた。仕事の接待でも時折使用するこの店は、前菜とメインを複数のメニューから好きなように組み合わせて選び、それにデザートがついて13,500円とリーズナブルではあるが、質量ともに大満足できる素敵な店なのである。

さて今回は秋と言うこともあり事前にシェフに電話を入れ、ジビエが食べたいとリクエストを出した。ジビエとは秋から冬にかけて野山で捕れる獣や鳥のこと。例えばメジャーなのは鴨や猪や鹿。またキジ、鳩、ウサギなども美味と言われる。というわけで期待を膨らませていざ入店!

「エスカルゴのガーリックバター」「オニオングラタンスープ」など6種類の中から僕の選んだ前菜

 

は「オマールエビのテリーヌ」。ねっとりと甘いオマールエビのテリーヌは濃厚で旨い。添えられたパインのシャーベットが口をさっぱりとさせてつけあわせとしては満点である。嫁さんは「ニシンのマリネ」をチョイス。クスクスとキュウリ、パプリカ、トマトをマリネにしたサラダの上に、絶妙に〆られたニシンがどすん!と乗る。甘くすっぱく、まったく臭みのない青魚の旨味が口中に広がる。

さてグラスシャンパンも飲み終え、そろそろ赤ワインがほしくなると言うことでワインをオーダー。

少し贅沢して2005年のブルゴーニュを抜いていただく。コクと重すぎないタンニンがバランスよく、酸味もバランスよく満足の味わい。これはメインの料理が期待できる!なんて考えているとメインが運ばれてくる!

僕のメインはリクエストのジビエ。

 

「猪のローストとスペアリブ」である。店から5キロほど行った山間で害獣駆除の目的で狩猟された若い猪。モモ肉のローストはブリブリとしたすごい食感で噛めば噛むほど旨味が出てくる。まるでブタのタンを食べているような感触がたまらない。そしてばら肉のスペアリブ。濡れたナプキンを出していただいたので手で持ってかぶりついた。骨の周り付いている弾力のある肉や、パリパリに焼かれた肉もたまらなくジューシーである。ソースにも猪のジュレが混ざっており、濃厚で旨い。ワインとの相乗効果でグイグイ食べ進んでしまう。

途中でキッチンから出て挨拶にきていただいたシェフに話しを聞くと、獣はハンターに追い立てられる時間が長かったり、罠にかかって時間が経過するとストレスにより肉に臭みが回るそうだ。今回の猪はストレスなく狩猟された新鮮な肉であるため、まったく臭みがなく上品に仕上げられているとの事。毎回毎回素晴らしい料理に感心する。不器用そうな良い人であり、坊主頭にヒゲ、めがね・・・どこかのシェフや、松本駅前の居酒屋の店主も同じだ。両人の外見の完成系ここにあり。

「信州牛の赤味のステーキ」「飯田豚のグリル」などの中から嫁さんが選んだメインは「フランス産鴨のコンフィと自家製白ソーセージのカスレ」。

表面がパリパリになるように油で揚げ焼きにするコンフィという料理法。この真骨頂こそ鴨の魅力を最大限に引き出す。香ばしい皮の食感と鴨の脂も甘くて旨い。豚肉の贅沢に使用した太く長いソーセージもスパイシーでジューシー。たっぷりの豆の煮込みが下に敷いてあり、お腹も大満足になる。もちろん2種類の自家製のパンも相当旨いのだがおかわりできないくらい料理で満腹になる。

さて最後のデザートは嫁さんの至福の時である。嫁さんは「サバラン」と紅茶を。

僕はコーヒーに「自家製生クリームチーズ」をオーダー。洋酒の使い方が絶妙なサバランも旨いが、シンプルで深みのある生チーズも絶品・・・いやはや最後まで楽しませてくれる店だ。

夫婦2人で切り盛りする小さな店はいつも予約で一杯。場所もわかりにくく、ひっそりとしたたたずまいがなんともいえないアットホームな店である。

そしてここのトイレにはかわいい住人が。このペンギン・・・なんとも言えない雰囲気をかもし出しております。ご来店の際にはご挨拶を。

調理を終えたシェフと、綺麗な奥様から見送りを受けて店を出る。長野の秋の空気が冷たいが、ココロはホッコリとした良い時間である。居酒屋もいいがたまにはこういうのも良いもんだ。さあ、仕上げはバーに行こう!

 

 

 


家業を継ぐということ

2011年11月05日 | Weblog

最近ふと考えたことをひとつ。

家業を継ぐ、ということである。と言っても僕が継ぐべき家業など存在しないのだが、最近回りでそういう話によくぶち当たるのである。

例えば仕事の話。僕は開業医さんをお客さんとする仕事をしているが、お父さんの医院に息子さんや娘さんが戻ってきて医院を継ぐケースをよく見る。

そしてお酒。ここ最近蔵を継いで社長となった女性杜氏と話をしたり、実家の蔵を継ぐために東京から戻る若者と話をしたり、蔵で働くある若者が、違う蔵の娘さんと結婚して婿養子となり、いずれ蔵を継いでいく、なんて話しを本人としたりもした。

家を継ぐのではなく、家業を継ぐこと。これはすごいことだ。父や祖父の背中を見て育った子が、自然その家業を継いでいく、そんなイメージしかもってなかったが、今の日本にあって酒蔵を継ぐと言うことがどれだけ厳しいことであるかは想像を絶するかもしれない。

きつく、冷たく、長い仕事。そして生き物を相手にした仕事とも言える、現代の若者なら大手を振って敬遠しがちな仕事であろう。日本酒を作り売っていくことがとても難しく厳しいことは重々承知の上、彼らはその家業を守ろうとする。

若者の酒離れ。その中でも日本酒は特に厳しい現実の上にある。昔は宴会になると必ず一升瓶の封が切られ、酒イコール日本酒と言う感覚であったが、今はそうはいかない。特性のあり質の高い日本酒がもてはやされ、今やいわゆる普通酒を飲む機会は少ない。日本酒を愛する僕ですらそうである。売れる酒を作るため、各蔵人は日々努力を怠らない。しかし日常的に飲まれる普通の日本酒をたくさん売らないと酒蔵は潤わない。大きな矛盾なのである。そんな現状が痛いほどわかっているのに、それを守ろうと、いばらの道を進む人はいるのだ。

しかし家業のある家に産まれたものの宿命と言うかなんと言うか。そんな星の下に産まれた人間にしかわからないものがあるのだろう。歌舞伎や落語のような、一見華やかな家業の裏にも、彼らにしかわからない苦労はあるだろう。魚屋の息子はおそらく子供の頃魚が嫌いになるだろう。魚屋になんてなるものか!と決意したこともあるだろう。でも遺伝子がそうさせるのか、家業は継がれていくのである。

後継者がいない居酒屋も多い。そんな店がいつ廃業するか・・・たまに不安を感じることがある。この前友人が話していた。とある店に食事に行く際は、今回が最後になるかもしれないと毎回思って食事をすると。僕も同じ気持ちで通う店がある。継承されない家業もあるのである。

家業を継ぐと言う運命を受け入れる、いや、切り開いた勇気ある人たちを讃えたい気持ちである。本人に言わせると、別にそんなんじゃないよ、と言われるかもしれない。でも立派である、あっぱれである。僕には不可能なことである家業の継承。少しあこがれてしまうものである。僕の人生あと何十年あるだろう?その終盤戦に子に継がせる何かを作ることができるだろうか?と、その前に子供を授からねば!


久々の松本イザケン

2011年10月23日 | Weblog

先日久々に松本でイザケンを開催。いつもの相棒と松本が誇る名立ち飲み店「エイトオンス」で待ち合わせ。日が落ちるのが早くなった市内を歩き、松本城のお堀を歩いて家から30分。肌寒い季節でもこれだけ歩くとビールが欲しくなる。というわけで先に着いた僕はプレミアムモルツの生を飲みながら相棒を待つ。東京に出しても恥ずかしくない、落ち着きのある店内は全体的にウッディーで温かみ

がある。

 

ここにストーブが登場する季節が待ち遠しくもある。さて相棒も到着し、今日のこれからの予定など話しながら、僕はもう一杯「調布ビール」を注文。グラスに注ぐと麦の香りが濃く立ち込め、こげ茶色のビールが旨そうだ。飲んでみると濃厚な味わいだが、なんとホッピービバレッジが出しているビールとのこと。そういわれるとなんとなく香りがホッピーにも似ているような気も。

さてエイトオンスを出た我らは裏町へ足の向ける。裏町は昔栄えた飲み屋街だが、現在は悲しいかな寂れ感を感じて止まない。定休日なのか店自体潰れているのかわかならい店が多々あり、その怪しい空気に耐え切れず中町へ移動。あたりをつけておいた店「スタンド割烹はせがわ」のくすんだ黄色い看板を見つけたときにはトイレに行きたい衝動が限界に。民家が並ぶ路地を入り、迷わず店内に入るとお客さんはゼロ・・・カウンター内の厨房の奥からおばあさんが「いらっしゃい」と出てきてTVと暖房をつけて営業開始になる。

カウンターに座る僕らは熱燗を頼み、出てきたお通し(たけのこ、大根、イカの煮物)を食べながらその空気を味わう。聞いてみると40年の老舗。続いて表れたおじいさんが名物料理「かやく」を作ってくれた。謎の食べ物だが、これは形の変わった餃子である。モチモチの皮が意外においしく、醤油をつけて食べるだけの料理だが、しみじみして旨い。これを揚げたものが「ばくだん」というもう1つの名物メニューの様子だ。妙に酸味の強い熱燗を飲み終える頃、1人の常連さんが入店。それを機に会計を済ませて店を出た。

その後町をブラブラし行き先を探す。結局駅前に移動し、気になる居酒屋を物色する中、3件程度の候補の中から「居酒屋ひがし」を選び入店。ここは焼き鳥メインの店のようだが、今日はここにも客はいない。カウンターに座り、一見頑固そうなおじさんからサッポロ黒ラベルの大瓶を受け取る。キムチ鍋をよそった感じのお通しをつまみにビールを飲み、看板メニューの「焼き鳥」と松本三大煮込みを探す我らは当然「煮込み」をお願いする。

焼き鳥は普通の鳥モモ焼き。煮込みも普通の煮込みであり、居酒屋サラリーマンに続く煮込みの2店舗目は今日も見つからず。熱燗を頼み、TVの画像を追ったり、笑い話をしつつ、次はバーへという話になる。40分程度イスを暖め、我らは駅前へ移動。途中ホームグラウンド「風林火山」の今夜の盛況ぶりを眺め、松本駅極近にある松本バーの老舗「バードランド」のドアを押す。

シンプルな装飾とずっしりしたカウンターが、良いバーの空気を感じさせてくれる。客層

も良く、和服のおばあさんがいたり、1人酒に向かう若者がいたり、ヒゲのマスターとその奥様で切り盛りする店内は優しい空気である。

さて相棒はバー訪問のきっかけを作った「ジントニック」を。僕はベースを変えて「テキーラとニック」を。センスの良い音楽を聴きながら、ともにさわやかな味わいを楽しむ。

棚に並ぶ様々な洋酒のビンを眺め、話題は色々な方向へ飛ぶ。静かに飲むというより、ほどよくわいわいした空気が流れるこのカウンターは居心地が良い。

続いて相棒は人生初の「マティーニ」を。僕は一番好きなカクテル「サイドカー」をロックスタイルで注文。マティーニの強さに少し驚きつつも、その奥にある旨さに浸る相棒。僕はいつもの酒をいつもの感覚で楽しませてもらう。

さて最後にもう一杯飲もうということになり、カクテルを数杯飲む際にはベースをそろえることが良いとの僕のコメントに従い、相棒は「ホワイトレディー」を。僕はそのベースを変えてテキーラベースに戻る形で「マルガリータ」をロックスタイルで頂く。

ロックグラスに添えられたレモン風味の岩塩がさわやかで旨い!相棒もその女性的ネーミングの酒にしては意外と男らしい骨太な味わいに酔いつつ時間は過ぎる。

気がつけば客は僕らだけ。実はこの店、松本に転勤になる時に太田和彦先生が僕に薦めてくれたバーであり、その話しを入口にマスターの好きな浦和レッズの話しからサッカーつながりで山雅の話になり、途中野球に脱線しつつ、最後は山雅の名前の由来となる話しと、その証拠となる貴重なお写真を見せていただき、心地よく、楽しい時間を終えることにした。

イザケン初のバー訪問を含む4店巡り。そのうち3店舗は初訪問。いよいよイザケンの進化が感じられる活動となったことに満足しつつ、家路に着く2人であった。


長野のヤキトンの新星

2011年10月13日 | Weblog

東京やさいたまへ出張すると、よくヤキトンを食べに行く。焼き鳥ではなく、豚の各部位を焼いた串焼きで、コリコリした食感や、肉の旨味や脂がとてもうまい。ホッピーを飲みながら軽く一人で時間を過ごすにはリーズナブルでとてもいいものなのだ。しかし信州松本にはこのヤキトンを上手く食べさせる店が無い。数点ヤキトンを出す店はあるが、とにかく焼き方が下手・・・レバーなど水分が抜けてパサパサにしちゃうし、軟骨などは焼き上げのタイミングを知らないのか、いつも黒くコゲができる。肉が新鮮ではないのか?とになく焼きが入りすぎていてまずい。だから信州でヤキトンは諦めていたのだが、ついに見つけたのだ、上玉を。松本ではなく、長野市だけどね。

さて長野駅前を善光寺の方に少し進み、中央通りという道沿いにあるその店の名前は「大黒ホルモン」である。ぶらりと歩いていた際に発見し、その昭和レトロなたたずまいに惹かれて入店したのが始まりだが、焼き場と調理場を囲む形のL字カウンターは立ち飲みで、他に大小さまざまなテーブルが並び、店内はレトロなポスターや、木の板に書かれたメニュー板がたくさん張られており、誰もいなくてもにぎやかしく感じられる。

僕はいつも1人で行くのでカウンターに立ち、厨房の仕事や、窓から見える店の外を眺めて過ごすわけだが、最近はイケメン店長が僕を覚えてくれ、少しずつ話しをするようになり、居心地がだんだんよくなってきた。

スタンプカードを作ると入店と同時に小さなグラスに入った生ビールがサービスで出てくる。このサービスがまず素晴らしい!生ビールを飲みながらメニューを眺め、今日の流れを組み立てることができるのだ。サービス生ビールを飲み終わる頃、ヤキトンとホッピーを注文し、いよいよ今日の宴がスタートする。

イケメン店長が気合を入れて焼くヤキトンはどれも鮮度抜群で、炭火ではないものの、良い焼き加減に仕上げられる。数あるメニューの中から僕の定番はまず「ナンコツ」。ゴリゴリしたナンコツの周りに、脂の乗った肉が絡んで甘くて旨い。そして「レバテキ」は軽く炙った豚レバーにごま油ベースのネギダレがたっぷりかけてあり、ブリブリとして甘くて、それはもう言葉に困る旨さである。「タン」はブタタンである。牛タンより厚く切って料理されることが多いため、歯ごたえが強くてこれも旨い。僕は個人的に牛タンよりブタタン派である。スーパーで買ってきてグリルで焼いて食べることも多い。ニンニクの風味だろうか?何かしらタレを軽く塗って焼いてあり、甘みがほどよくあってとても旨い。添えられたカラシをつけ、七味を振ってかぶりつくのみ!これがどれもホッピーに合うのだ!

写真はカシラ、ナンコツ、レバテキ

 

日本酒や焼酎も多種置いてあるが、ヤキトンにはやはりホッピーかチュウハイだ。川中島の麻輝や、和和和など変わった酒もおいてあり、今度飲んでみようかとも思うがやはりホッピーが旨い。イケメン店長に長野県初の「生ホッピー」を出す店になれ!と思わず声をかけてしまった。生ホッピーを出すには色々とホッピービバレッジの査定のようなものがあるそうで、中々取り扱いのできる店がない。信州ではもちろんゼロだし、都内でも数少ない国宝級の価値がある飲み物だ。生だけに、それなりに数が出ないと採算ベースも味の鮮度にも影響があるのだろうが、ぜひ信州に生ホッピーを!と切に思う。昔は志賀で製造されていたホッピーだけに長野県との縁は深い。ぜひこの地に生ホッピーを里帰りさせてくれ。

この焼き場の充実ぶりを見よ!

さて他には「ナンコツ唐揚げ」「冷やしトマト」などをつまみながら、僕はたいていホッピーセット2回に中を2回、計4杯のホッピーで満腹宣言。他にも「茹でタン」「モツ鍋」「コロッケ」「ポテサラ」など食べたいものがたくさんあるが、1人の腹には入れきれない。

明るい店内の空気。笑顔でサービスの行き届いている店員さん。そして気配りをしっかりできるイケメン店長によりこの店は常連客満載の素晴らしい店だと言える。

味、サービス、空気の3拍子揃う店を久々に見つけることができ、長野市での止まり木を作ることができた幸運に酔う僕なのである。