未読だった市村正親さんの本。読了。
いやぁ、久々に一気読みした!
市村正親さん 『役者ほど素敵な商売はない』 新潮社
こちらは裏表紙。
劇場に足を運んだことがない人でも、きっと市村さんのお名前はご存じだという方、いらっしゃるのでは?
中には、某有名俳優(女性)の元パートナーとして知っている方も多いのかなと。
表表紙を開いて、まえがき、第1章と読み進めると、
中の文章が、ですます口調ではなく、市村さんご自身がインタビューに答えているかのような文体で
読んでいると、市村さん御本人が目の前で話してくれているようで、ホントに一気読みしました。
色んな大人たちに囲まれて育った幼少期、舞台芸術学院時代、ある俳優さんの付き人時代、レッスンが縁をつないで劇団四季への入口に。
読めば読むほど、市村さんは知らず知らずと舞台俳優としての道を手繰り寄せる強運の持ち主だったんだなと感じました。
その道のりは、日々の弛まぬ努力の賜物であってこそですが、レジェンドと呼ばれるに値するのは間違いない。
病気をしたからこそ、身体作りの大切さはもちろんですが、これまで歩んできた舞台人生を彩るキャストたちは、
同じ演劇仲間もいれば、舞台関係者、家族、そして演じて来た演目の数々。
実際に市村さんの生の舞台は残念ながら未だに拝見できていないのですが、
在籍していた劇団四季時代のお話しは、少し前まで劇団四季の「四季の会」に入っていた身としては、
浅利慶太さんの演出や劇団俳優仲間のこと、役に取り組むまでのひたむきな鍛錬、
そして退団した理由とその背景を読むと胸アツでした。
その他にも、今まで共演して来た俳優さんたちとの思い出、数々の作品に寄せる情熱など、
市村さんの舞台をじかに観劇された方々にとっては、涙モノのエピソードばかり。
演出家の鬼のような1000本ノックは、良い作品を作ろうとしているのだから、
役者として体当たりで受けるのが当たり前というド根性な一面も。
市村さんは、観劇は1人1人が観方も違うし、感じるものも違うから、先入観を持たずに、ぜひ劇場に来て、見て感じてほしいと話されています。
TVや映画と違って、板の上で演技をされると聞こえてくる生の息遣い、生の音楽とともに聴ける生の歌声とダンスは、その一瞬だけのもので、それを共有できるのは・・・贅沢な時間なのかもしれません。
読んでいて凄くワクワクしました。まさに「市村人生劇場」が詰まった1冊でした。
西村晃さんの付き人だった市村さん。
西村さんにインスタントコーヒーを淹れてもらったことがあって、それがなかなかの美味しさだとのこと。
「水戸黄門様の西村さんにコーヒーを淹れてもらえるんだ」というビックリなお話しなんだけど、
下積み時代にそんなほっこりするエピソードを読めるのも、市村さんの人柄あってのことなのかも。
「俳優・市村正親」というよりも、人が人をつないでいくという、「人間・市村正親」の表情を見れたような気がしました。
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