さえら

Çà et là
フランス語で「あちらこちら」
テーマもあちらこちらに

『蝋燭』  フランシス・ポンジュ

2011-04-25 10:29:34 | フランス詩 試訳
La Bougie 蝋燭



                            

Francis Ponge フランシス・ポンジュ



 La nuit parfois ravive une plante singulière dont la lueur décompose les
chambres meublées en massifs d’ombre.

 Sa feuille d’or tient impassible au creux d’une colonette d’albâtre par un pédoncule très noir.

 Les papillon miteux l’assaillent de préférence à la lune trop haute, qui
vaporise les bois. Mais brûlés aussitôt ou vannés dans la bagarre, tous
frémissent aux bords d’une frénésie voisine de la stupeur.

 Cependant la bougie, par le vacillement des clartés sur le livre au brusque dégagement des fumées originales encourage le lecteur, ― puis s’incline
sur son assiette et se noie dans son aliment
.



 夜は時折り,不思議な植物を蘇らせる。その仄かな光が家具付きの部屋をいくつかの暗がりに分解する。

 金色の葉っぱが,真っ黒な花柄に支えられて,純白の小円柱の窪みに泰然としてと収まっている。

 みすぼらしい蛾が何匹もやってきて,森をおぼろに包む月はあまりにも高みにあるからと,こちらを好んで襲いかかる。しかしすぐに火にあぶられ,なぐりあいに疲れきって,ほとんど茫然自失の熱狂さながら,激しく身を震わせる。

 いっぽう蝋燭は,書物の上で輝きを揺らめかせ,突然自分自身の煙を噴き出しては読書家を勇気付ける ― そして自分の皿の中に傾き自分自身の食物の中へと融けてゆく




 厳かなまでに静けさを湛えたポンジュの詩『蝋燭』。
被災された方々,また直接的にも間接的にも日常生活に大きな影響を受けている方々に,このような読書の日々が戻ってきますように。


アポリネール 『白い雪』

2011-01-25 07:02:06 | フランス詩 試訳
モニエというハンドルネームを使っています。それはアポリネールにまつわるこんなエピソードにちなんでつけました。
第1次大戦後のパリ,「書物の友」という書店にルイ・アラゴンやアンドレ・ブルトン,フィリップ・スーポーらがしばしば訪れていた。ヴァレリーの『テスト氏との一夜』は,当時この店でしか買えなかったからであるが,詩人のたまり場のような店でもあったのだ。あるとき前線から頭部を負傷して帰還してきたアポリネールが,この店のショーウィンドーをまるで探し物をするかのように眺めていた。そして一旦は立ち去るのだが,戻ってきて店の中に入ってきていきなりこう言った。「戦士の本が一冊もないのはひどいじゃないか」と。店主は,落ち着いた口調で,「『アルコール』がないのは,置いてないのではなくて,売れてしまったからで,また仕入れる予定なのだ」と言った。さらに,それは戦士の詩集としてではなく詩人としてのアポリネールの詩集だからだ,とも。店主はブルトンからアポリネールのことをたびたび聞かされて,よく知っていたのである。そして,その会話をきっかけに二人はすっかり仲良しになったと。
その店主の名前がアドリエンヌ・モニエ。Adrienne Monnier


La blanche neige


Les anges les anges dans le ciel
L'un est ve^tu en officier
L'un est ve^tu en cuisinier
Et les autres chantent

Bel officier couleur du ciel
Le doux printemps longtemps apres Noël
Te medaillera d'un beau soleil
   D'un beau soleil

Le cuisinier plume les oies
   Ah! tombe neige
   Tombe et que n'ai-je
Ma bien-aime´e entre mes bras





白い雪

天使よ 天使よ 空の天使たち
あるものは将校の服を着て
あるものは料理人の服を着て
他の者たちはうたを歌う

空色の立派な将校
クリスマスから何日も経ってやさしい春が
おまえに輝く太陽の勲章を授けるだろう
    輝く太陽の

料理人はガチョウの羽をむしる
    ああ 雪が降る
    雪が降る それなのになぜ私の腕の中に
私の愛する人はいないのか

プレイヤッド叢書を買って,おまけをいただきました

2011-01-21 11:34:47 | 


昨年の暮れに,思い切ってプレイヤッド叢書の『失われた時を求めて』全4巻を買ってしまいました。革装です。わたしにとって初めてのプレイヤッド叢書でもあります。
身が引き締まる思いです。さあ,読むぞー,そして書くぞー,という気持ちになります。

これだけでも嬉しかったのですが,さらにこんなことが。
大晦日の夕方,宅配便が届きました。フランスからというのです。なんだろうと思いながら開けてみたら,なんと小さなプレイヤッドが出てきました。それも2冊も!
プリントされた手紙が添えられており,それによりますと,年間で2冊プレイヤッド叢書を購入した人に,この手帳をプレゼントしているのだそうです。
私は全4巻だから,2冊の手帳を送ってきてくれたのです。



中を見ると,12人の作家たちによる手書きのイラストがあります。
イヨネスコ,プルースト,アポリネール,コクトー,サンーテグジュペリ,アルトー,プレヴェール,ミショー,ユルスナール,マルロー,クンデラ
ね,すごいでしょ。



持っているだけでも,いい気分になります。
いや,持っているだけではもったいない。文学史やあれやこれや,たくさんフランス語が書かれています。
これも読んでお勉強しませう。
中身も,私にとって使いやすい見開き週間になっていますから,
今年はこれでスケジュール管理ばっちりです。



ちなみにプルースト全4巻で27,700円ほどでした。
円高のおかげですね。

Bonne Anne'e !

2011-01-03 12:05:51 | Weblog
あけましておめでとうございます



関東地方は空もよく晴れ渡り,とてもおだやかなお正月を迎えております。
おせちもお雑煮も美味しくいただきました。
お正月の楽しみのひとつ,年賀状。
ご無沙汰している人からの年賀状は嬉しいですね。
一枚一枚読みながら,友の顔を思い浮かべています。

私の年賀状には,今年も続けたいこと,今年チャレンジしたいことを
書きましたが,こんな決意表明,ホントはちょっとプレッシャー。
でも,挑戦してみるしかないでしょう。

そのひとつ,ホキ美術館へ行ってみたいなぁ。
超写実主義絵画のみの美術館。
恐ろしいほどにリアルなのです。
しかし,リアルというのは,超が付くと,かえって幻想的に見えるのです。
不思議です。
その不思議さを堪能してみたく,ホキ美術館行ってみたいです。


皆様の今年の抱負はいかに?


庭の花・寒椿

2010-12-17 10:11:53 | 園芸
実際はもう少し鮮やかな緋色です。

紅葉と美術館

2010-11-21 03:11:41 | 美術展



箱根ポーラ美術館で開催中の『アンリ・ルソー展』へ行ってきました。
18点ものルソーの作品の他,アポリネールの詩なども展示されていて
なかなか充実していました。

また常設展も名品ぞろい,さらに工芸部門,化粧道具コレクションと
さすが所蔵品9000点という美術館です。

写真に写っている入り口からまず階下へ。
広い空間と中央にエスカレーターのある多層階になっていて,
まずそこでチケットをもぎってもらいさらに階下へいくと展示室。
さらに階下へ行くと常設展・・・だったかしら?
どの階も雰囲気が似ているので,帰りに集合場所を探して
また迷子になってしまいました


昼食はバスで移動して宮の下 富士屋ホテルへ。
メインダイニング50周年記念メニュー

コンソメが美味しい。
コンソメは肉や野菜を水から煮立て,沸騰させないようにじっくりと
じっくりと時間をかけて,そうしてやっと澄んだ美味しいスープができあがる。
とても手間のかかる料理だから,いまどきこんな風に本格的に作った
コンソメを出してくれるお店はめったにありません。
貴重なスープですね。

メインは箱根豚を使った料理。

また開業以来変わらぬ味という「ビーフカレー」も
マイルドで深みがあってとても美味しかったです。

老舗ホテルならではのメニューでした。

紅葉

2010-11-14 21:56:48 | フランス詩 試訳
秋も深まり,都会の樹木も次第に赤褐色に染まってきました。
今日のフランス詩は,ヴェルレーヌ。


Chanson d’Automne       秋の歌

  Paul Verlaine         ポール・ヴェルレーヌ


Les sanglots longs      遠くすすり泣く
Des violons          ヴィオロンのやうに
De l'automne         秋の風が
Blessent mon coeur      僕の心を傷つける
D'une langueur          重く
Monotone.           単調に。

Tout suffocnat        とても息ぐるしく
Et ble^me, quand       青ざめる
Sonne l'heure,        鐘が鳴り響き
Je me souviens         僕は思ひ出す
Des jours anciens       過ぎし日々を
Et je pleure ;        そして僕は涙する。

Et je m'en vais        そして僕は立ち去る
Au vent mauvais        荒れる風に吹かれ
Qui m'emporte         僕は運ばれる
Deca` , dela`,        あちらへ,こちらへ
Pareil a` la          それはまるで
Feuille morte.        枯葉



ヴァイオリンの調べのような秋の風が,心の奥にしまっておいた深い悲しみを再び思い出させ、時を告げる鐘の音が私の心を過去へと導く。あのころは幸せに満ち足りた日々だったが、それは2度と戻らない。その頃を想い涙を流すことしかできない、その悲しさ。今の自分は風に舞う枯葉のようにあてどなく歩く。
この悲しさの最終行,最終の単語はmorte 死。

今朝の庭の花

2010-06-13 10:31:49 | 園芸

山紫陽花


美女柳


ゴールデンバニー
今年の2月に接木をしたばかりの苗です。今年は咲かせないほうが株のためによいそうなので、このあと切花にしました。


ドクダミ

シャルル ドルレアン

2010-02-28 13:06:24 | フランス詩 試訳

シャルル ドルレアンの詩を訳してみました。
春が訪れる頃になると読みたくなる詩です。


 シャルル・ドレルアンは、ヴァロア朝の分家に1394年に生まれました。1415年イギリスとの戦いで捕虜となり25年間捉われましたが、その後フランスに帰ることができ、1465年に没しています。その間、故郷を思い、詩を詠んでました。帰国してからはブロア城に暮らし詩作を続けました。

「ロンドー」というのは、詩の形を意味しています。この時代、詩にタイトルをつけることは珍しく、後の時代にこのように詩形をタイトルに代わるものとして用いています。詩形の「ロンドー」は、フランス伝統のダンスの楽曲に合わせた詩の形で、当時の歌謡詩の典型として、1行、8音綴で書かれています。
また、15世紀の詩ですから、綴りも現代のものと多少違っているところもあります。

太陽の輝き、金や銀、小動物の歌声、小川のせせらぎ、すべてが春の訪れをあふれんばかりの喜びを持って迎えています。冬から春へと季節の移ろいの一瞬の繊細さを見事に表現しています。

特に銀細工のしずくには、志貴皇子の和歌「石ばしる垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも」 を思い浮かべてしまいます。





ロンドー 

   シャルル・ドルレアン  
       

季節がコートを脱ぎ捨てた、
風と、寒さと、雨のコートを。
そして刺繍で飾ったコートを着た、
それは、まぶしく美しく輝く太陽の刺繍。

獣や鳥がいた。
それぞれの声で歌ったり叫んだりしている
季節がコートを脱ぎ捨てた。
風と、寒さと、雨のコートを。

川や泉やせせらぎが
お揃いの素敵な衣で
銀細工のしずくを運んでくる、
みんな、新しい衣に着替えている。
季節がコートを脱ぎ捨てた。


Rondeau

     Charles d’ORLEANS

Le temps a laissié son manteau
De vent, de froidure et de pluye,
Et s'est vestu de brouderie,
De soleil luyant, cler et beau.

Il n'y a beste, ne oyseau,
Qu'en son jargon ne chante ou crie
Le temps a laissié son manteau
De vent, de froidure et de pluye.

Riviere, fontaine et ruisseau
Portent, en livree jolie,
Gouttes d'argent, d'orfaverie ;
Chascun s'abille de nouveau
Le temps a laissié son manteau.


靴下完成2

2010-02-19 09:18:35 | 手芸
はいてみました

靴下完成

2010-02-19 09:17:37 | 手芸
編めました。

靴下を編むの記 続編

2010-02-18 22:44:03 | 手芸

翌日、店内の無料講習を受けに。
開始時間に行ったのですが、すでに待っている人が5人。じっと待つこと小一時間。
やっと順番がきて、先生に、靴下の引き返し編みを教えてください、とお願いしたところ、あー、靴下はもう長いこと編んでいないからわすれちゃったわ、ちょっと待っててと言って図書コーナーから、前日わたしが買うべきだった本を持ってきてくれました。
そっか、先生も簡単には思い出せない編み方なのだ、難しいのだ、と納得。
それから本をじっと見て、あれこれ考えながら、一人で試行錯誤。
家へ帰ってからも試行錯誤、数時間。
(中略)
とうとうその全てを理解することができました!

かかとを通り過ぎて、あとはつま先目指してひたすら編みすすみ、
う~~む、つま先少し変

ま、かかとができたので、つま先は2作目の課題として今回はこれでよしとしようと、、、

完成!ということに(笑)

写真は、貼り付け方を忘れたので、思い出すまで省略です。
1枚だけ 貼れました。


毛糸の靴下を編むの記

2010-02-11 11:28:21 | 手芸

毛糸の靴下を編むことになりました。

靴下でしょ?小物でしょ?
片方一日で編めるでしょう

甘かったようです

図書館分館で編み物本を探したのですが、靴下の編み方の載っている本がありませんでした。分館の限界?
Amazonで探してみても、中身チェックで掲載作品は分かるのですが、編み方の分かりやすさまでチェックできずやはりこういう本は手にとってみないと選べませんね。

と、ここで思いついたのが手芸屋さんで購入者に無料で教えてくれる先生!
毛糸も買わなければならないわけですし。 これですぐ完成(と喜んだのもつかのま)

翌日新宿まで出かけ店員さんに教えていただけますよね、と確認したところ、ゲージをとって製図までは自分で、とちょっぴり突き放したように言われてしまいました(気のせいです)。しかも無料教室は毎日ではなくて、曜日によるそうです。
製図ですか?困った、まったく分からないのですと言ったら、靴下の編み方の載っている数少ない本を見せてくれました。そうそう、Amazonに載っていた本です。デザインのよさそうなもの、編み方の分かりやすそうなもの、それぞれありました。パラパラと捲ってみれば一目瞭然。編み込みなどいいんですよね~~。ほのぼの暖かそう~~こんなの作れたら、、、

本は7階の書籍部で帰りに購入することにして、毛糸探しです。そろそろシーズンも終わり、30%OFFのものもありますが、靴下向きじゃないものばかり。それでも店内ほぼ一周するころに気に入った色のものを見つけることができ、これできっと素敵な靴下ができあがる!とワクワクしてきたのでした(そのあとの苦労には思いも及ばず)。しかも編み込みに心を奪われていたので、2色購入!

書籍部へ行くと、まずは刺繍本コーナーを素通りすることができずに、本、雑誌、一通り手にとってぱらぱらしてきました。よいものもあるけど購入するほどではない、家にも溜まっているし。
肝心の毛糸本は平積みになっていました。表紙だけみてこれこれと選びすぐにレジへ。これで無料講習にこなくてもできる!
と思ったのは大きな間違いでした。デザインの素敵なほうを選んでしまっていたのです。

自宅に帰って今晩中に片足できそうと、そのときまでは強気でした。

さて編み始め。
あ、わたし作り目覚えていなかった。
でも、作り目くらいはどんな本(たとえおしゃれ度優先の本でも)にも載っています。のはずなのに、その本では写真をつかった解説で、しかも白い背景に白い糸で編んでいてフォーカスも甘いではないですか。糸がちっとも見えません(涙)ここで本の選び方を間違ったことに気づいたのです

こういうとき頼りの母はもう就寝中。娘の部屋からやっとのことで別の編み方本を探し出し、やっとのことで編み始めることができました。まだゲージですが。
計算してみて、糸が太めだったので図案どおりの目数でいけることがわかって、このときだけ事がすんなり運んだことにホッとしました。

靴下って履き口から編むのですね、知らなかった~
くるぶし付近で編みこみを入れようとはりきって試してみましたが、2~3段編んで自覚できました。ワタシにはムリ。
編みこみは2作品目ということにして、単色で編み進めましたが、いよいよかかと部分。
">

本によればかかとの編み方にもいろいろあるのですね。
そのなから一番オーソドックスな編み方に思えた『引き返し編み』という方法を選びました。この選択が躓きの元
わからない、さっぱりわからないのです。
返し目、すべり目、写真を見ても白い背景に白い糸、甘いフォーカス。
添えられている解説文を読んでみましたが、分かっている人にはわかるのでしょうね~~と拗ね気分になっただけでした。

とうとうあきらめて翌日(タイミングよく翌日が講習日でした)手芸店へ行くことにしました。


2009-07-19 22:55:14 | Weblog


世田谷通り6時ごろ

今月の花

2009-05-15 21:16:09 | 園芸

バラが咲きました。
メイベル・モリソンは、蕾のときはこんなにピンク色をしていますが、咲くとほとんど白い色になります。それでもほんのりと薄くピンクがかっているところがなんとも上品で毎年ウットリ。
(数年前三越本店屋上で購入)




何年も前から庭に咲いていた深紅のバラ。
最近は直径15cmくらいの大輪になって咲くようになりました。
実際の色はもっと濃くて深い赤色です。




つるバラのカクテル。大きく育ちそう。
(昨年、近所の花屋さんで購入)


長い間探していた濃い紫の色の鉄仙。昨年、向ヶ丘遊園跡地のバラ園で見つけました!この色の鉄仙を見ていると、藍染めのゆかたを着ている人が思い浮かびます。
花屋のおじさんが、花が終わって枯れ枝になっても生きているから捨てちゃダメだよと教えてくれました。その通りに4月になると、枯れ枝から新しい葉、新しい花が出てきました。


大根の頭を水を張った容器に入れておいたら、こんな花が咲きました。
初めて見ましたが、かわいいですね。