>>■日本を貶め快哉叫ぶ
――世界遺産登録での韓国のやり口。あれが「卑日」だったのですね。
鈴置:多くの人からそう言われました。「『目下の日本』からドルは借りない――韓国は『反日』から『卑日』国家へ」で、韓国の「反日」は「卑日」に変容している――と説明しました。
すると、かなりの人から「そんな、おおげさな。国を挙げて日本を卑しめ、快哉を叫ぼうとする国民がこの世に存在するなんて、想像できない」との感想が寄せられました。
しかし、そんな人も「世界遺産事件」を見て「卑日は本当だったのですね」と言ってきました。
「卑日」というのはたぶん私が使い始めた言葉なので、改めて定義しておきますと「世界を舞台に日本を貶めて快哉を叫ぶ韓国の国民的運動」です。
韓国専門家の間ではけっこう有名な動きで「ジャパン・ディスカウント」(Japan Discount)と呼ぶ人もいます。
一方、これまでの「反日」は「自分を見下す日本への反発」とでも言うべきものでした。表面は似ていますが、対応は完全に変える必要があるので、はっきりと区別すべきです。
■大統領が歴訪先で糾弾
さて「『世界遺産で勝った』韓国が次に狙うのは……」で触れたように、日本が明治の産業革命遺産をユネスコの世界遺産に登録するにあたっては2年前から韓国に根回ししていました。
韓国政府はその時は別段反応せず、登録直前になって「朝鮮人が強制労働させられた場所だ。登録に反対する」と世界に訴えました。
下村博文・文部科学相が2015年4月10日の会見で「昨年、一昨年と韓国の文化大臣に説明した。その時は特に反論はなかったのに……」と当惑を隠さなかったのもそのためでしょう。
この韓国の行動は「卑日」からすれば当たり前なのです。世界で「日本は悪い国だ」と宣伝するチャンスが到来したのです。日韓の2国で話し合うなどという、もったいないことはできません。
当然、ユネスコの場に持ち込んで日本の悪行を公開の場で糾弾すべきなのです。実際そうしましたし、そのためだけに外相を欧米に送りました。
韓国外交部は「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領も海外歴訪のたびに各国首脳に直接訴え、日本の強制連行を世界に認めさせた」と国民に誇りました。
韓国の目的は日本の世界遺産への登録阻止や、「強制連行」の言質を日本からとるだけではありません。「日本は悪い国」というイメージを世界の人々に植え付けることにあるのです。