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■”人質司法”以外に出国を防げたのか
朝日新聞は1回目の保釈の翌日3月7日付けの社説でゴーン被告の問題を扱っている。タイトルは「ゴーン被告保釈 勾留のあり方見直す時」。事態がこうなった以上、確かに勾留のあり方を見直す時ではあろうが(笑)、この時、朝日新聞はこう書いていた。
「勾留は、容疑者や被告が逃亡したり、証拠を隠滅したりするのを防ぐのが目的だ。その恐れがあるという検察側の主張を、裁判所は概して安易に認めてきた…」。
「長く自由を奪うことで精神的に追いつめ、争う意欲を失わせる手段として、捜査当局が勾留手続きを利用してきたのは紛れもない事実だ。人質司法と呼ばれるこうした悪弊は、もっと早く是正されてしかるべきだった。」。
一般論としては一理あるのかもしれないが、少なくとも今回は人質司法以外に被告人の逃亡を防ぐ手立てがなかったのである。安易な保釈が大事件を未解決のまま、誰の刑事責任も負わせないまま、終了してしまう可能性があることを朝日新聞はどう考えているのか。
2回目の保釈の後、4月25日付けの紙面では「裁判所は『人質司法』という言葉に完全にひよっている。こちらが何を言ってもどうにもならない」、「これだけ証拠隠滅の恐れを立証できたのに保釈された。刑事司法の崩壊だ」という検察幹部の話を紹介している。こうした懸念が、まさに今回の件で現実のものになってしまったのである。
■毎日・朝日はメディアの責任を果たせ
毎日新聞、朝日新聞はゴーン被告のレバノン入りを外電等を交えて淡々と事実だけを伝えている。これまで自分たちが書いたことについて、どのように釈明するのか。自らの不明を詫びることがメディアとしての責任の第一歩であると思う。