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(実録)会社倒産&自己破産のススメ

コトの顛末と関連する法律・理論をお伝えすることで、この道をお考えの方々の心の負担が軽くなるよう願っています。

弁護士の口から断定的な言葉が出なかったワケ

2011-11-21 | 【1カ月半前】

S先生との初めての面談の際、他の債務整理の方法が提示されませんでしたし
かと言って、自己破産が結論とも断言されませんでした。

そして「まずはとにかく自宅売却とその登記を済ませるように」と
これははっきりと言われました。

進行を主導してくれたI さんは、これらの話を納得して聞いていましたので
この部分が、彼や税理士のM先生から聞いていた「詐害行為」という言葉に関して
極めて重要なポイントなのだろうとの憶測は私にもできました。

だから、その場では敢えて、そうしなければならない理由を質問はしていません。

やはり後日、この「自己破産と決めた日」と「自宅を売却した日」の前後関係が
この詐害行為とされるかどうかの判断に大きく関わることを独学で知りましたが
法律に関する話は難しいため、未だに明確に説明できるほどに理解できているわけではありません。

ただ、自宅売却の行為が「事業を継続する目的で資金を獲得するため」だったのか
「事業の継続を断念した後の財産隠しのため」だったのか
ここが分かれ目になることは、後々コトが進むにつれ現実の姿として理解できたつもりです。

簡単に言えば、自己破産の決断=事業継続の断念 なのですから
売却が決断(断念)の前ですと「事業を継続するため行ったが、やはり諦めた」と言い逃れができますが
逆ですと「自己破産を決断し事業の継続を断念した後に事業資金が必要なはずがない」ということになるのです。

そればかりか、隠し難い不動産という財産を、より隠匿し易い形の金銭に変えることは
隠す以外の目的は考えられない、とまで言われてしまうのです。

このように、法律的に人間の行動の善悪を判断する場合
その行動をする基になった「気持ち」が重要なことを私自身の過去の経験からも知っています。

悪事を犯す時の人の心は、悪いことを考えているはずだとされるのです。

例えば刑事事件における警察による容疑者の調書作成の際
「その時、あなたは何をかんがえていたか」をよく尋ねられますが、その回答は
犯人に成し得る内容を期待されますので、記載もその方向に沿った文章になります。

最後の署名と指印の前に、「これで良いか」とその調書の文章を読み聞かされる時など
まさに、自分であって自分でない犯人がそこにいて、その文章作成力にはビックリすることでしょう。

現行犯でなく警察で任意、または強制の捜査をされたからといって
必ずしも犯罪者とは決まっていないのに、犯人であることを前提に全ての質問がされ
調書も犯人であるかのような文章で書かれることには注意が必要です。

今回の自宅売却に関して言えば、「“結果として”債権者を害する行為」でも
もし悪意を持ってするのであれば「その行為の前から害することを知っていた」と解釈されます。

取締役や血族などの悪人ではない人が本当に知らずにやった行為でも
「知っていたものと推認する」などと解釈する法律もあるのですから
この場合は、知らなかったことの証明さえ要求されることもあるのです。

このため、心や気持ちを証明することは容易ではありませんから、少なくても形の上では
知らなかったと言い逃れができるようにしておく必要があることになります。

普通は不動産売買など1日でできるはずもなく、現に私のケースなど
思い立ってからの経緯もあって1カ月以上の時間がかかったのですが
問題にされるのはこの行為を実行した当日の気持ちです。

かと言って、契約日前にこうして相談に出向き自己破産を暗示された結果
気持ちが変化たとしても、誰もそれを知り得ませんので、後日なんとでも説明がつきます。

だからこそ、形は整えておかなければならないのです。

例え話として適切ではないかもしれませんが
ある女性Aと付き合っていて他の女性Bと結婚したとして
結婚後に別れた場合には、実は結婚してからも別れるまでの間は
Aと不倫関係にあったのではないかと問題視されたらこれを否定することは容易ではありません。

すでに気持ちはAから離れていて会ってもいないのに、この“ない”をどう証明するのか。

Aを説得するのに時間がかかって遅れたなどの事情があったのか
Bに発覚しないことをイイコトにAとの関係をそのまま続けていたのか
形の上ではどちらとも判断がつかないのですから。

一方、例え結婚後に密かに会っていても
結婚前に。結婚後は会わないことを念書などにしたためておけば
すでにAと別れていたことを証明でき、問題の解決を図れるかもしれません。

話がちょっと逸れ気味ですので元に戻します。

S先生から「債務整理に関する受任契約を自宅売買契約とその登記完了後に交わしましょう」と
言われた理由は、形に残るこの二つの行為の前後関係は
“売却が先で受任が後”でなければならなかったに違いないと思います。

継続を前提に資金を入手するために自宅売却を実行した、ところが
やはりそれでは難しいと気付き、あらゆる可能性を含めて債務整理を相談したところ
結果として自己破産するに至った。
当然ながら、相談するまでは継続の意思に微塵の陰りもなかった…

これが、私が推測したS先生のシナリオです。

実態とほとんど差異はありませんが、自己破産を暗示されたこの日の相談は
売買契約日より前のことですからなかったことになるのでしょう。

また、唯一感じる違和感は、気持ちとその変化の部分が白黒はっきりしている点で
人の心はそれほど明確に言い切れるものではなく、特に悩んでいる時など
あれこれ迷っているのですから、もっと曖昧でファジーな状態にあるものだと思うのです。

とまあ、私が私自身の憶測に対していろいろ言ったところで
S先生の心の内は本人以外は知る由もないのですから、何がどうなるわけでもありません。

 

 


そして、S弁護士に会った日のこと

2011-11-20 | 【1カ月半前】

9月21日、知人のI さん同行の下、S先生の事務所を訪ねました。

I さんがS先生と付き合い始めたのは、はっきりと聞いたわけではありませんが
自分の会社の債務整理を相談して以来のことのようです。

結果、業務は停止したまま会社の登記は残しておいて、夫婦ともに
連帯保証人として、他に勤めて働いた給料の中から数万円ずつ銀行に返済していくという
任意の債務整理の道を奨められ、それを銀行との交渉のうえで実行していること
そして、個人破産を選べなかった理由は、同居するご両親も連帯保証人だったため
また、その家を担保に差し入れていたためで、この方法が両親に迷惑がかからず
かつ自宅も取られずに済むベターな選択だったと聞いていました。

この方法など個人レベルではなかなか思いつかないのでは、などと
感心したことを覚えています。

同時に、私にもしそのような思いも寄らない提案がされたらどうしよう、と
期待とは呼べない、むしろ不安にさえ感じる気持ちを持ってこの日を迎えたことも事実です。

理由は簡単で、今までの返済額月20万円をそのまま続けるとして、あと30年以上
つまり、90歳を過ぎないと私の代で負債額を完済できないということですので
これまで繰り返してきたお金の苦労が今後も続くことになり、とても耐えられそうもありませんし
そうなるとほぼ100パーセントに近い確率で、娘の代に負の遺産を残してしまうからに他なりません。

かと言って相続放棄をさせたら、私達夫婦が近い将来、親から引き継ぐであろう
先代からの僅かなプラスの財産も放棄させることになるのです。

そんな気持ちを抱きつつ訪れたS先生の事務所は4階建ての小さなビルでした。

そそくさと逃げ込むようにエレベータに乗り込んだのは
そのビルの隣が私の小学校時代の同級生が営む商店で
彼とは年に1度くらいは顔を合わす間柄でしたので
弁護士事務所に入る姿を見られて後々詮索されるのが嫌だったからです。

S先生の風体は、無精髭っぽいヒゲをたくわえた40~45歳くらい
一見してしてアメリカンカジュアル系が好きなことが分かる服装で
弁護士としてはあまり堅苦しくはない感じ
否、むしろ“らしくない”と言った方が当たっていたかもしれません。

この日の相談にあたり、決算書などを持って行ったのかどうか、覚えていないのですが
原則、1時間に及ぶ相談内容の全部を記憶できないことは経験的に知っていましたし
メモを取っていると聞き逃す部分がよくあるので
小さなカセットレコーダーは事前に購入して持参していました。

この日の話の要点は以下の通りです。 

*まずはとにかく、自宅の売却を予定通り終わらせる。

(10月〇日に決まっていることを告げる)

*自宅の登記が終了後、連絡の上、速やかに正式に債務整理の委任契約を締結する。

(登記にかかる日数が不明のため、その場では日取りが決められない)

*今の時点では、自己破産が最良の道である可能性が高い。
こうなった場合、費用として30万円が必要と聞く。

*この場合、安く済ませるため会社の処理はせずに自己破産の同時破産を申し立てる。

(以下は、この方法を採ることに決まった場合に私がするべきことです)

 *Xデーの日取りはこの受任契約後であれば私が任意に決めて良い。

 *今後の支払いは、会社・個人ともに、将来の私の生活で付き合いが必要な所へのみ行い
その他は停止する。その選択は私の一存でよい。
水道光熱・電話等は2~3カ月未払いでも供給はすぐに止まらない。

*銀行への返済を1カ月間猶予するように依頼し、10月分から停止する。

*以降、勝手に返済に回されないように、会社・個人ともに貯金通帳に現金を残さず
全て現金で保管する。他銀行の通帳にも念のため現金は残さない。

*その他、クレジットなども引落し不能になり直接請求が来るが、猶予を申し出て支払わない。
Xデー後、弁護士から発送される受任通知でその請求は全て止まる。

*自宅売却で手に入るお金を含めて〇〇万円を一旦S先生に納めその金額の領収証を発行したあと
△△万円を返却するので、それは現金で保管して自由に使える隠し財産にする。
 

これらの話は、傍から聞いている私には
S先生と I さんの“あうんの呼吸”の下で進められているように感じられ
やはり何事にも経験者の存在が必要なことを実感したものです。

後日、誤って録音の一部を消去してしまいましたので
今となっては確認できないのですが、ほぼこのような内容で間違いないと思います。

それにしても、この最後の1項については、正直、驚きました。

「弁護士は依頼人の利益を第一に考える」とは言っても
このような直接的利益までも“便宜を図ってくれる”とは微塵も予想していませんでした。

もしかしたらこれも、 I さんが仲介してくれたからでしょうか…。

なにはともあれ、こうして正式には初めて
第三者の専門家に今後の可能性をお尋ねしたことになります。

その内容は、やはり予想通りと言うべき個人破産の道だったと解釈してよいのでしょう
I さんのような別の方向を提案されたわけではないのですから。

もちろん、弁護士も商売です。

昨今、これまで良い稼ぎになっていた過払金返還請求がすでに一段落した中
次なる目の付けどころは債務整理だとも聞いていますので
私の相談などは願ってもない「鴨葱(カモがネギを背負ってきた状態)」なのでしょうが
お会いするのが初めてとは言っても、間に I さんを立てての相談です。

別の存続の方法があるにも拘わらず、敢えて商売になる方向を奨めたとはとても思えませんし
内心では私自身も予想して、その覚悟もすでにできていたのですから
一見、弁護士らしくない雰囲気に若干の不安も抱きましたが
例の“便宜”はとても助かりますので、私はこの先生に全てを託すことに決めました。

他方、根本的に弁護士は「勝てない勝負は引き受けないものだ」と言われていますが
断られそうな言動はまったくありませんし、費用の話が出ているのですから
この一件を受任してくれることは間違いないのでしょう。

お互いが了解しての受任契約なのですから
どちらかが請けないとなれば契約そのものが成り立たないのです。

「帰ったらもう一回、テープを良く聞いておいてね」と
カセットプレーヤーの存在に気付いていた先生に声を掛けられてこの事務所を後にしたのは
ようやく残暑という言葉が聞かれなくなりつつある季節の、綺麗に晴れた日の夕方のことでした。

 

 


最後のあがき、自宅の売却 ④最終決断は弁護士に任せていた。

2011-11-19 | 【1カ月半前】

当時、私が「もうダメだ」と気持ちでは思っていても
会社倒産&自己破産を含めた債務整理の方法は
弁護士のS先生の判断に委ねていたと言った方が実態に合っていました。

先生に初めてお会いする直前の9月17日からの4日間に私が行なったことは、結果を見る限り
倒産&破産を前提に自宅を守ろうとした行動と傍から思われてもしょうがないことです。

しかし、二女夫婦に自宅購入話を持ちかけた時点では、数百万円の運転資金を手に入れて
事業を継続したいと考えていたことは間違いなく、これが速やかに進まないと分かった以降に
財産隠しの方向に急に心が変化したかというとそうでもありません。

それよりはむしろ、出産を控えて家族が増えるから
今の狭いアパートを引っ越したいと言っていた彼らに、はるかに広い
それもマイホームが持てる話をこちらから持ちかけておきながら
お金がすぐに手に入らないから、と一方的な都合で話を取り下げてしまうことが可哀そうに思え
その代替案として思い付いたと言った方が当たっているのです。

親戚に借金を返せる上、彼らの希望も叶えてあがられて
さらに運転資金として100万円が手に入るのです。

こうしてようやくたどり着いた唯一の資金確保の方法ですが
すでにたったの100万円では“時遅し”だったのでしょうか。

それでなくても、期首の帳簿価格で200万円程度の在庫で取り回していたのに
売却話にかかりっきりになっていた間に売れた分の商品補充は1台もしていませんでしたので
自転車操業でこぐ足を止めたようなもの、いつ倒れてもおかしくない状況になっていました。

私、親戚、不動産屋Hさん、司法書士が同席し、その場で契約書を取り交わし
現金をやり取り、登記を依頼するものだと教えられた契約日はまだ10日以上も先の10月〇日です。

1日店を開けているだけで計算上、2万円の経費は掛かるのです。

 「もういっそ、潰してもらって構わない」

先生にお会いする前日の9月20日時点で、私にはすでにその覚悟ができていました。

 

 


ここで話をXデーの“1カ月半前”に戻す理由

2011-11-16 | 【1カ月半前】

自宅を親戚に売却する正式な契約日を約2週間後に控えた9月中旬
つまり、Xデー(この時はまだ決まっていませんでしたが)の1カ月半前に
すでに友人のI さんに紹介してもらったS弁護士にお会いする予約は取れていました。

気持ちの上では「もうダメだ」と感じて最悪の倒産&個人破産を覚悟はしていても
I さんのように、法的ではなく任意で銀行と交渉するような
私の知らない事業継続のための債務整理の仕方を提案される可能性は残っているのです。

しかし、それを提案されたところで、何よりも大切な経営者である私の気持ちを再度
奮い立たせることができるかはあまり自信がなかったことも事実です。

唯一残っていた運転資金を入手できる自宅の売却はすでに決まっていて
ほとんどをそれまでにお借りした金額と相殺した残りで手に入る僅かな金額をもってしては
減るだけ減らしてしまった在庫で返済するに足る売上高を稼ぎ出すことは
当時の私の頭では想像すらできませんでした。

その家には、2人目の出産を控えた二女夫婦が住めることになっていたうえ
すでに最悪の事態を迎える可能性を担保提供してくれていた親にも、また兄弟にも伝えていましたし
その場合は介護を兼ねて義母宅にお世話になること、今後の生活は年金で成り立つことなども話していましたので
近親者に対する気持ちの上での負担はすでに何もなくなっていたのです。

こうした状況の下で相談していたM税理士やI さんからは
もし倒産&自己破産に進んだ場合に、この売却話が主たる債権者になるはずの〇〇銀行から
「詐害(さがい)行為」ということで問題視される可能性を指摘されていました。

当初は会社を存続させるため、途中からは娘を思う親心の部分が大きく加わって成した行為であっても
結果として債権者を害することになってしまう恐れがあると言うのです。

つまり、免責不許可事由に該当し免責許可に悪影響を及ぼすかもしれないということです。

銀行にとっては会社が存続し返済を続けることが良いに決まっています。

と、普通は考えますが実はそうではなく、銀行は貸出先である当社が債務超過に陥った時点で
その債権を不良または予備群に分類してあるので、貸倒引当金等で早く処理することによって
銀行の評価の基準となる金融庁に報告するための数字を良くしたいのが本音で
いわゆる“貸し剥がし”が行われるように、虫の息状態でいつまでも存続することは
必ずしも望んでいないものだという話も知ってはいます。

まあ、そうした銀行の裏事情はともかく、普通は借りたものは返すという常識に基づき
返済を続けるために四苦八苦するこうした経営者の努力を逆手にとって
債権を害されたとする理屈に納得できるはずはありませんが
「結果として」と言われれば確かにそうなってしまうのです。

悪意があって行う場合と結果は全く同じなのですから。

こうした経緯を見ると、内容を理解していたかどうかは別にしても
少なくても、S先生にお会いする前からこの詐害行為という言葉を聞いていたことになります。

このことや、これから触れるS先生との面談からXデーまでの行為の記事が
すでに下されている免責許可決定を取り消される恐れを含んでいるのかどうか
こうした法律で判断される境遇にこれまで無縁で過ごしてきた私には知る由もありません。

ちょっとくらい勉強したところで、所詮、付け焼刃なのですから
実際の事態のどこに、どれが、どう当てはまるのかなど分かるはずがないのです。

免責手続きが進み、異議申し立てのハードルがどんどん高くなって
今では裁判に訴えなければ取り消されない段階まで来てはいても
そして、その確率が0.01%、まさに万が一ではあっても、その可能性はゼロではありません。

ブログについても、匿名、一部フィクション、さらに月日をずらしてもなお
私個人が特定される恐れが本当にないのかさえ心配していることも確かです。

専門家曰く「破産になったけれど免責が許可されないと地獄を見ることになる」のですから
ここはまだ隠しておいた方が良いのでは、という思いがある一方で
倒産&自己破産を実際に考えている方々にとっては
ヘタをしたら自己否定とさえ捉えかねない自己破産に踏み切るXデーなのですから
直前のこの時期の気持ちは経験しないとほとんど分からないことも知っています。

私自身がこのブログの投稿を始めたは、それでなくてもひどい孤独感に襲われるこの時期
この先どうなってしまうのかという不安と、今日をどう過ごしてよいのか分からない心細さの中で
何をしていたのか、何を考えていたのかを含めて、心の持ち様の参考になる記述を
ネットで探しても当時はほとんど見つけられなかったことから
それならばまだ記憶が鮮明なうちに、私が経験をお話しすることで
同じ状況にある方の少しでも気休めになれば、と思ったことが大きな理由の一つです。

こうしたことから、あまりアカラサマにできない事情をご理解していただけるという前提で
以後の記事を投稿しようと思いますが、事実を曲げない範囲で
曖昧な表現や今まで以上にフィクションの部分が含まれることはぜひお許しください。