今年2011年3月、私が提出した債権者名簿を基に
代理人弁護士(以下、先生)が受任通知を発送してから約6カ月後のことでしたが
私の“最初”の「破産手続開始申立書」が先生により裁判所に提出されました。
“最初”には意味があって、当初の先生の目論見は
会社は破産等の処理はせず放っておいて私個人に対してのみ
それも「同時廃止」を得ることだったそうです。
会社を何もしない理由は費用が安いから、と聞いたような気がします。
店舗を返却しその活動を止めてしまえば
特に登記簿がそのままになっていても“それだけのもの”なのだそうで
法人税などの請求書は2、3年発行され続けるものの
宛先不明でいずれは止まるので実質的な問題は何もなし…とのこと。
お客様には閉店のご挨拶と
今後のメンテナンス工場に関するご案内を発送済みでしたしドアに張り紙もしました。
考えてみれば、開店もほとんどのお客さまにとってはいつの間のか
この場所に店ができた、程度の認識だったはずですから
その逆の閉店もこんなものと思えばそうなのでしょうが
いくら安いからとは言え、代表取締役としての個人名以上に
20年近くその名を名乗ってお世話になった会社に対して何の事後処理もせず
ただ放り付けておくのですから、心の中は申し訳なさで一杯になったことを覚えています。
ところで、春に提出した私個人の破産手続開始の申立ては
手続上、自動的に免責の申立てにもなります。
破産手続開始申立書を裁判所に提出しますと
通常、約1カ月後には「破産申尋」という裁判官との面接があって
支払い不能になった状況などについて質問を受けます。
(破産申尋は行われないこともあります)
そして、その数日後には破産の決定が出され、めぼしい財産がない場合は
同時に「破産手続廃止」、つまり破産が認められること(いわゆる破産宣告)になります。
また、裁判所によっては破産手続開始申立書を午前中に提出すると
その日の夕方には破産手続廃止が出る所もあるそうです。
これを「同時廃止」といい、自動的にすぐに続いて免責手続が開始されます。
私のように弁護士を代理人に選任している場合
申立てからこの破産の決定・廃止そして免責の申立てまで
全て先生が行いますので本人は何もする必要がありませんでした。
このように、事件(裁判所の扱いは全てこう呼ばれます)によって
また、裁判所や担当の裁判官によって手続の流れは様々なようです。
ところで私の場合、先生はこうした個人のみの破産手続開始の申立てをして
同時廃止に持ち込みたかったそうですが
最も大口の債権者である銀行(実際はその債権を購入した子会社)が
自宅の売買(後日触れます)に関して異議を申し立てたため
裁判所が会社の破産手続も申請した上で管財事件としての扱いになったと聞かされました。
当然、こうなると同時廃止にはならず「異時廃止」と呼ばれ
また、管財事件としての20万円に上る予納金も必要になります。
管財事件とは、基本的に法人はそう扱うようですが、財産がありそうだとか
私のように債権者から異議が上がったとか、免責不許可事由の疑いがあるようなケースに
裁判所が選任する弁護士が管財人となり、第三者的立場で破産時に残った財産を換金、分配したり
裁判官に免責許可に関する意見書を出すべく調査が必要な案件のことです。
この場合の第三者は、結果とすると債権者の利益に繋がりますから
味方である代理人弁護士とは違い、私にとっては敵と言ってもよく
話はややこしい方向に向かうことになってしまいました。
ただし、放り付けておくことを申し訳なく思っていた会社の処理、つまり、法人が登記の上で
きちんと抹消されるのですから、これはこれで気持ちの上ではすっきりすることでしょう。
春3月から3カ月が経った梅雨の6月、まずは会社の破産手続開始の申立てを追加で行い
その後さらに約1カ月が過ぎた夏本番の7月、個人&会社の両方の破産宣告
つまり「破産手続廃止の決定」の書面が先生宛に届いたのです。
そして話は以前の投稿に繋がっていきます。