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アメリカ人が苛立つBritish English 【連載】藤原雄介のちょっと寄り道㊳

2024-01-27 05:47:14 | 【連載】藤原雄介のちょっと寄り道

【連載】藤原雄介のちょっと寄り道㊳

アメリカ人が苛立つBritish English

 

英国


▲陰鬱なテムズ川が英国人をひねくれさせた?

 


 以前英国人のモノの言い方は「京のぶぶ漬け」と似ているという話をした。長居している客を帰らせたい時に、「ぶぶ漬けいかがどすか?」と問いかけ、婉曲に帰りを促す京の言葉遣いだと言われている。その作法のことを知らないお客が本当に「ほな、お言葉に甘えて…」などと言おうものなら、「なんと無作法なお人…」と呆れられる。

 京都と同様に長い歴史と伝統を誇る英国の”British English”は、この種の婉曲表現と皮肉に溢れている。その意地悪くひねくれた、失礼、洗練された表現の基礎知識を身につけておくことは、恥をかかないため、というより英国人との会話の機微を理解するうえで、多少役立つかも知れない。

 日本の英語教育では、アメリカ英語が主流で、発音や用語の使い方、更にはコミュニケーションの基本として、「yesとnoをはっきりさせ、表現は単刀直入に、曖昧な言い方を避けること」などと教え込まれる。英国人が米国人と話をする際、英国人は「なんと品のない直接的な話方なのだろう」とちょっと上から目線の不満を抱きながらも、ほぼ正確に相手の考えを理解することはできる。

▲アメリカと英国のEnglishは違う

 

 しかし、米国人が英国人の真意を理解するのはとても難しいようだ。日英の合弁会社に米国人女性が社長として赴任してきたことがあった。合理的な考え方をするとても有能なビジネスパーソンだったが、英国人の役員達とのコミュニケーションがうまく行かず、日が経つにつれてギシギシとした関係に陥っていった。
 奇妙なことに、拙い英語を話す我々日本人がそんな両者の間に立って、緩衝役を担うことになった。円滑なコミュニケーションには、言語能力だけではなく、異文化理解能力が大切だという良い事例だろう。

 最近、日本の若い人の妙に回りくどい表現が気になって仕方がない。例えば、「来週また、ここに来ていただく事って可能だったりしますか?」などだ。しかし、今日英国人の話し方について書いていたら、「何だ、英国人と同じ表現じゃないか」と驚いてしまった。
 例えば英語で「…をしてもらえますか?」と言いたいとき、「Can you……?」や「Could you……?」が一般的な表現だが、英国人が上司や目上の人にものを頼むときには、「Would it be possible for you……?」や「Would you be able to……?」などが使われる。これって、現代の若者言葉風に訳せば、「…していただくことは可能だったりしますか?」ではないか!

 ほとんどの発言は、額面どおりに受け取ってはいけない。言葉の裏に隠された意味があることを忘れないでもらいたい。ロンドン駐在時代に英国人の部下が、英国人とのコミュニケーションに役立てて欲しいと、①What the British say(英国人が言うこと)、 ②What the British mean(英国人が意味すること)、 ③What others understand(他の外国人はこんな風に理解する)に分けて、以下のようなリストを作ってくれた。

 じつにわかりやすい。主にビジネス社会でよく使われる英語なので、私も世話になった。それにしても、英国人は、なんて複雑なんだろう。言ってることと思ってることの差が大きすぎる。困ったものだが、もう笑うしかない。暇つぶしにどうぞ。

                             
①I hear what you say.
アナタの言う事はちゃんと聴いていますよ。 
②I disagree and do not want to discuss further.
アナタに同意しないし、もうこれ以上話したくない。 
③He accepts my point of view.
彼は私の見解に同意しているようだ。

①With the greatest regret.
とても残念なことに。
②I think you are an idiot.
バカじゃないの。 
③He is listening to me.
彼は私の話を聴いている(理解しようとしている)。

①You must come for dinner.
是非夕食においでください。 
②It's not an invitation, I'm just being polite.
これは招待じゃないからね。ただ、礼儀正しくしているだけ。 
③I will get an invitation soon.
間もなく招待状をくれるだろう。

①That's not bad.
悪くないですね。 
②That's good.
いいですね。 
③That's poor.
良くないですね。

①Quite good.
かなり良いですね。 
②A bit disappointing.
少しがっかりしました。 
③Quite good.
かなり良いですね。

①I would suggest…
…を提案します。 
②Do it or be prepared to justify yourself.
好きにすれば、でもちゃんと弁明できるように準備を忘れずに。 
③Think about the idea, but do what you like.
「提案について考えろ。でも好きにして良いよ」

①Oh, incidentally / By the way
ついでながら / ところで
②The primary purpose of our discussion is.
(今まで話したことはどうでも良い) 我々の議論の主な目的は… 
③That is not very important.
(ところでと言うのだから)大したことではない。

①That is a very brave proposal.
とても立派な(勇気のある)ご提案ですね。 
②You are insane.
あなた、正気ですか? 
③He thinks I have courage.
彼は私には勇気があると考えている。

①I was a bit disappointed that.
私は少しがっかりしました。 
②I am annoyed that.
ああ、イライラする(腹が立つ) 
③It really doesn’t matter.
大した問題ではないようだ。

①Very interesting.
とても興味深いですね。 
②That is clearly nonsense.
それは明らかにナンセンス(アホくさい)だ! 
③They are impressed.
彼らは感心しているな。

①I'll bear it in mind.
考えておきます。 
②I've forgotten it already.
(そのことは)もう忘れたよ。 
③They will probably do it.
彼らは多分それをするだろう。

①I’m sure it’s my fault.
それは間違いなく私の失策です。 
②It’your fault.
(私の失敗ではない)アナタのせいだよ。 
③Why do they say it’s their fault?
何故彼らは自分達の失策だと言うのだろう。

①I almost agree.
私はほとんど同意します。 
②I don't agree at all.
私は全く同意しないよ。 
③He's not far from agreement.
もうすぐ合意できそうだな。

①I only have a few minor comments.
いくつかマイナーなコメントがあるだけです。 
②Please re-write completely.
全部書き直してください。 
③He has found a few typos.
彼は幾つかタイプミスを見つけたんだな。

①Could we consider some other options?
他のオプションを考えてみませんか。 
②I don’t like your idea.
アナタのアイデアは気に入らない。 
③They have not yet decided.
彼らは未だ決めていないのだな。

①Correct me if I'm wrong.
もし私が間違っていたら訂正してください。 
②I'm right, don't contradict me.
私は正しい。逆らうなよ。 
③I may be wrong, please let me know.
私が間違っているかもしれない。もしそうだったら教えてください。

①Up to a point.
ある程度までは。 
②Not in the slightest.
全く妥協の余地はない。 
③Partially.
部分的には(妥協できるかもしれない)。

 

 

▲ロンドン支店のパーティーでスピーチする筆者                          

 

 

  

【藤原雄介(ふじわら ゆうすけ)さんのプロフィール】
 昭和27(1952)年、大阪生まれ。大阪府立春日丘高校から京都外国語大学外国語学部イスパニア語学科に入学する。大学時代は探検部に所属するが、1年間休学してシベリア鉄道で渡欧。スペインのマドリード・コンプルテンセ大学で学びながら、休み中にバックパッカーとして欧州各国やモロッコ等をヒッチハイクする。大学卒業後の昭和51(1976)年、石川島播磨重工業株式会社(現IHI)に入社、一貫して海外営業・戦略畑を歩む。入社3年目に日墨政府交換留学制度でメキシコのプエブラ州立大学に1年間留学。その後、オランダ・アムステルダム、台北に駐在し、中国室長、IHI (HK) LTD.社長、海外営業戦略部長などを経て、IHIヨーロッパ(IHI Europe Ltd.) 社長としてロンドンに4年間駐在した。定年退職後、IHI環境エンジニアリング株式会社社長補佐としてバイオリアクターなどの東南アジア事業展開に従事。その後、新潟トランシス株式会社で香港国際空港の無人旅客搬送システム拡張工事のプロジェクトコーディネーターを務め、令和元(2019)年9月に同社を退職した。その間、公私合わせて58カ国を訪問。現在、白井市南山に在住し、環境保全団体グリーンレンジャー会長として活動する傍ら英語翻訳業を営む。


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