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京都・閑臥庵 ~京都では異色の中国風の洗練された佇まい

2018年07月30日 | お寺・神社・特別公開

閑臥庵(かんがあん)は京都の相国寺の北にある黄檗宗のお寺です。江戸時代初期に黄檗宗に深く帰依した後水尾(ごみずのお)法皇が自ら命名して開いた寺で、とても洗練された中国風のデザインが随所で楽しめます。とても清潔な境内です。

このお寺は普茶料理でもよく知られています。洛中で中国風の佇まいを味わえるお寺はここだけです。


閑臥庵入口の竜宮門

京都の北の貴船に祀られていた陰陽道の最高の神で、御所の守護神である鎮宅霊符神(ちんたくれいふじん)を、後水尾法皇が勧請したのが寺の起源です。黄檗宗の寺として開かれた現在地には、後水尾法皇の実弟の邸宅があったとされています。御所の建物の真北にあることから江戸時代を通じて、皇室の鎮護や祈願所として信奉を受けていました。

このため寺は、黄檗宗独特の中国風と皇室の王朝風が融合したような洗練されたデザインに包まれています。入口の竜宮門は、よく見られる赤色ではなく、漆喰の白を基調に中国風の欄干の衣装が施されていることが特徴です。最初に目にするこの門の洗練された印象と境内の佇まいには、ギャップはありません。

【公式サイトの画像】 閑臥庵の境内、春夏秋冬


本堂に至る参道

竜宮門の正面が、鎮宅霊符神が祀られている鎮宅堂です。鎮宅堂の左手にさらに延びる参道は本堂につながっています。参道の両脇の苔庭と木々はきちんと手入れされています。四季折々の花と緑が美しく、この空間はとても日本的です。

本堂の建物は“和中折衷”の印象を受けます。禅宗建築の趣はありますが、屋根の端はさほど反りあがっていません。一方で正面の戸は黄檗宗寺院によく見られる円形の意匠が印象的です。



参道の左手は普茶料理をいただく部屋がある建物で、中国風のデザインが目立ちます。廊下や壁に赤を強調して用いていますが、実に落ち着きのある色使いです。夜に淡い照明で部屋を見る方が、デザインのすばらしさをより感じることができると思われます。

ここでいただく普茶料理に対しては、部屋を見るだけで期待感が高まります。そんな見事なマジックを感じさせる佇まいです。

お寺としては珍しく、拝観時間は午後から夜間にかけて設定されています。夜の光景が美しいためでしょう。拝観料+500円で抹茶がいただけます。もちろん普茶料理も大いに楽しみです。

京都では異色の寺です。その個性を存分にお楽しみください。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。


閑臥庵
【公式サイト】http://www.kangaan.jp/

原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:13:00~21:30



おすすめ交通機関:
地下鉄烏丸線「鞍馬口」駅下車、1番出口から徒歩3分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
京都駅→地下鉄烏丸線→鞍馬口駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場があります。


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