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里山風景の中に美少年のような十一面観音_京田辺 観音寺

2019年06月04日 | お寺・神社・特別公開

美仏と古刹の隠れ家を探る南山城シリーズ第二弾は、京田辺の同志社大学のキャンパスの裏にひっそりと佇む観音寺(かんのんじ)です。里山風景に溶け込む本堂の風景と、国宝の十一面観音の際立つ美しさが魅力の古刹です。

  • 飛鳥~平安時代はかなりの大寺院だった、関わった著名人の名前が物語る
  • 往時を伝えるのは十一面観音のみ、積み重ねた時間が美仏をさらに美しくしているよう


駅から距離はありますが、歩くことをおすすめします。里山風景の中の季節の花と緑の美しさをたっぷりと味わえます。


緑に囲まれた美しい境内

観音寺は伝承によると、創建時からビッグネームが連発です。創建は飛鳥時代の実力者・天武天皇の勅願です。開山は、岡寺を創建し、玄昉/行基/良弁を弟子に持つ法相宗の高僧・義淵(ぎえん)です。その後一旦衰退しますが、聖武天皇の勅願で、大仏を造立し東大寺の初代別当・良弁(ろうべん)が再興します。

続けて東大寺二代別当で、お水取りを始めた実忠(じっちゅう)が入寺し、壮大な伽藍を整えます。名前を見るだけで奈良時代トップクラスの厚遇を受けていたことがうかがえます。藤原氏の庇護を受けたことで平安時代にまでは栄えていましたが、戦国時代には現在のように本堂をのこすだけになります。

平安時代の頃までは、現在の地名にもなっている普賢寺(ふけんじ)と呼ばれていたようです。京都や奈良で地名に寺名が残っていることは、その昔にかなり有力な寺があったことを意味します。観音寺の通称:大御堂も昔は小御堂があったことを意味します。本尊の十一面観音は高価な木心乾漆造であり、有力な寄進者がいないと存在しません。”兵どもが夢の跡”のように往時の壮麗さがしのばれます。


十一面観音は、聖林寺像に似ている

国宝の十一面観音立像は、奈良時代半ばの天平の頃の造立で、良弁の頃から安置されていたと考えられています。像高はほぼ等身大で、引き締まったボディにかすかにくびれがあり、美少年のようなセクシーさをたたえています。お顔は若々しく、鼻筋が通っていて端正なマスクです。日本有数の美仏であることは間違いありません。

美仏として名高い奈良・桜井・聖林寺の十一面観音立像と確かに雰囲気は似ています。聖林寺像は観音寺像よりやや背が高く、ボディは均整がとれています。観音寺像に比べ大人のスーパーモデルという形容ができます。どちらがより魅力的に見えるかは人次第です。ぜひお二方の美仏にお会いください。

観音寺の周囲は豊かな緑に囲まれており、境内の佇まいをナチュラルに彩ります。黄色で埋め尽くされる菜種畑と桜が美しい春、新緑が輝く初夏、紅葉の秋、と四季を通じて素晴らしい里山風景が楽しめます。紅葉シーズンにはライトアップも行われています。

同志社大学のキャンパスが近いですが、赤レンガの建物が杜の緑に溶け込んでおり、里山風景ともしっかりと調和しています。大自然と日本有数の美仏を一緒にお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。


蟹満寺と観音寺の魅力をたっぷりと

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<京都府京田辺市>
観音寺
【京田辺市観光協会サイト】 大御堂観音寺

原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:9:00~17:00

※この寺は観光目的で常時公開されています。



◆おすすめ交通機関◆

JR学研都市線/近鉄京都線「三山木」駅下車、西口から徒歩30分
三山木駅から奈良交通バス「普賢寺」下車、徒歩3分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間~1時間15分
京都駅→近鉄京都線→奈良交通バス90/91系統→普賢寺

※バスは本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることを強くおすすめします。
※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約を強くおすすめします。


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