京都でお盆を迎える行事として欠かせない精霊迎え(しょうらいむかえ)が、まもなく8月7日から始まります。お盆に冥土から現世に戻ってくる先祖の霊である「精霊」を迎えるための行事です。京都・東山、清水寺近くにある六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)で行われる六道まいりが特に有名です。
精霊を迎えるためにやってきた人たちのほとんどは迎え鐘(むかえがね)をつきます。鐘の音が冥土まで響くことで、精霊が現世に戻る合図になると信じられています。平安時代から脈々と受け継がれてきた京都のお盆のしきたりです。
六道珍皇寺の付近は、現世と冥土との境界・出入口である「六道の辻」と呼ばれていました。京都には六道の辻はもう一か所、西の嵯峨にもあります。東山は鳥辺野(とりべの)、嵯峨は化野(あだしの)と呼ばれたエリアで、いずれも中世には風葬、近世には火葬を行うエリアでした。
寺の開創には複数の説がありますが、平安時代初めには成立していたと考えられています。もとは真言宗でしたが、室町時代に建仁寺の僧によって再興されたため、現在は臨済宗です。
平安時代初期の公家で、漢詩や書道に秀でた小野篁(おののたかむら)の有名な伝説が、六道珍皇寺には平安時代から言い伝えられています。篁は、昼は朝廷に、夜は冥土で閻魔大王に仕えていた、というものです。
篁が冥土への入口に使ったとされる「冥土通いの井戸」が境内にあり、有名な観光スポットになっています。また近年境内で発見された井戸を、寺では「黄泉がえりの井戸」と呼んでいます。篁が冥土から現世に戻る出口に使ったとされる井戸は、もう一つの六道の辻・嵯峨にあったとする伝説もあります。大覚寺の南の福生寺跡に石碑がたてられています。
六道まいりの期間中は、寺の前を通る松原通に露店が並び、夜遅くまでとても賑やかになります。
境内に入ると両側で、仏花として供えられる高野槇(こうやまき)が売られています。精霊が高野槇に乗って現世に戻ってくると信じられています。塔婆や御朱印を買い求める人もたくさんいます。
迎え鐘
迎え鐘をつく順番待ちの行列が長く伸びています。自分でついた迎え鐘の澄んだ音を聞くと、行列の疲れも吹き飛ぶでしょう。ただし熱中症にはご注意を。
精霊迎えが終わると、精霊が自宅に滞在する盂蘭盆(うらぼん)の期間となります。「お盆」は盂蘭盆を省略した言い方です。盂蘭盆の最後に、精霊送りが行われます。全国的には灯篭流しが多いですが、京都では五山送り火(ござんおくりび)です。いずれも精霊が冥土に戻ることを導くための火です。
迎え鐘があるので送り鐘もあります。寺町三条の矢田地蔵がとくに有名で、8月16日はこちらも大行列になります。
精霊迎えと精霊送りの行事は他にも各所のお寺で行われますが、千本今出川の千本釈迦堂と千本ゑんま堂もよく知られています。こちらは蓮台野(れんだいの)と呼ばれた風葬地の近くです。六道の辻と同様の信仰が行事になったものと考えられます。
先祖を大切にする京都人にとって、最も重視する行事の一つです。精霊送りが終わると、京都の夏も終わります。
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こんなところがあるのです。
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六道珍皇寺「精霊迎え 六道まいり」
http://www.rokudou.jp/visit/
会期:毎年8月7日〜10日(日付で固定)
開催時間:6:00~22:00(10日~21:00)
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。
六道珍皇寺
http://www.rokudou.jp/
開館(拝観)受付時間:9:00~16:00
※仏像や井戸などは「特別拝観 寺宝展」開催日のみ有料で拝観できます。
※「六道まいり」期間中は「特別拝観 寺宝展」は行われません。
【公式サイトの画像】 「特別拝観 寺宝展」開催日
※「特別拝観 寺宝展」開催日以外は、無料で境内を参拝できます。
おすすめ交通機関:
市バス「清水道」バス停下車、徒歩5分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15~25分
京都駅烏丸口D1/D2バスのりば→市バス86/100/106/110/206系統→清水道バス停
【公式サイト】 アクセス案内
※休日の午前中を中心に、京都駅ではバスが満員になって乗り過ごす場合があります。
※休日の夕方を中心に、渋滞と満員乗り過ごしで、バスは平常時の倍以上時間がかかる場合があります。
※この施設に駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、クルマでの訪問は非現実的です。
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