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千本ゑんま堂「節分」 ~こんにゃくで祈る京都の春の訪れ

2018年01月27日 | 祭・行事・季節の花


昆布だしが効いた上品なお味、昆布茶とよくあう

千本ゑんま堂は、京都市内でも北の方、大徳寺や船岡山の近くにあります。その名の通り閻魔が本尊で、「嘘をつくと舌を抜かれるぞ」と子供に諭しながら自らも戒める庶民の寺として、平安時代から親しまれています。こんにゃくの煮物をふるまう節分と、5月の念仏狂言、お盆の迎え鐘がよく知られています。

千本ゑんま堂は、京都の三代墓地である「蓮台野(れんだいの)」にあり、寺としては平安時代半ばに創建されました。平安京の初めから閻魔を祀る祠があったとする説もあるようですが、墓地である蓮台野はあの世への入口にあたると考えられたため、説としては筋が通ります。

閻魔はよく知られているように、あの世で極楽・地獄どちらに行くかを決める裁判官です。そのため「私のところに来るまでに、悪いことをするな」という戒めの象徴でもありました。千本ゑんま堂は、正式には「引接寺(いんじょうじ)」と言いますが、ほとんどの人は通称で呼びます。それだけ人々に親しまれていると言えるでしょう。


本堂の中は温かい

本堂の中にはとても立派な閻魔様がいらっしゃいます。応仁の乱の焼失後に再建された仏像で、500年間人々に愛されてきました。大人であっても今一度「嘘をつくと舌を抜かれるぞ」と心の中で唱えましょう。2mを超える迫力のある閻魔様にお参りできる機会はなかなかありません。

お参りの後は「こんにゃく煮き(たき)」をお忘れなく。400円でとても京都らしい薄味のだしが効いたこんにゃくをいただけます。寒空を歩いてきたボディをほくほくに温めてくれます。昆布茶もとてもおいしく、昆布の旨味がよく出る京都の「軟水」のありがたさがよくわかります。

京都三大念仏狂言の一つ、千本ゑんま堂の狂言は、5月以外に節分の夜にも行われます。5月は本堂横の特設舞台で行われますが、節分は本堂内で行われます。暖かくてよいのですが、収容人数が多くありません。18:30から配布される整理券をもらい、早めに並ぶことをおすすめします。

三大念仏狂言の中で、千本ゑんま堂は唯一セリフがあります。近くで見えることもあり、室町時代から続く庶民のエンタテイメントを存分に味わえることは間違いなしです。


本堂は節分のハレの飾り

京の名所と町衆の様子を描いた「洛中洛外図」のファンの方も多いと思います。その中で織田信長が上杉謙信に贈った米沢市上杉博物館蔵の国宝「上杉本」には、千本ゑんま堂で演じられる狂言が描かれています。洛中洛外図にはその当時の最新流行が描かれるため、戦国時代にもとても人気があったことがわかります。

京都の街の生き証人のような寺です。あつあつのこんにゃくにも、長い寺の歴史が積み重なっているのです。

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさんある。


千本ゑんま堂
http://yenmado.blogspot.jp/

こんにゃく煮き(京都市観光公式サイト)
会期:2018年2月2日(金)~3日(土)
https://kanko.city.kyoto.lg.jp/eventdetail.php?event_tab=tradition&eventid=180202104&year=2018&month=2&date=

ゑんま堂狂言、豆まき(千本ゑんま堂大念佛狂言保存会サイト)
会期:2018年2月2日(金)
http://www.geocities.jp/e_kyogen/index.html



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