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福井・吉崎御坊跡 ~本願寺はここから巨大になった

2018年09月29日 | 城・屋敷・歴史遺産

福井県(越前国)と石川県(加賀国)の県(国)境の海岸に、戦国時代に浄土真宗・本願寺が急速に発展する礎となった吉崎御坊(よしざきごぼう)がありました。京都を追われて吉崎にやってきた本願寺中興の祖・蓮如(れんにょ)がここで布教したのはわずか4年ほどにすぎませんが、瞬く間に門徒(信者)を増やしていった夢の国の跡をしのぶことができます。

浄土真宗にとってまさに聖地ですが、日本史においても戦国時代の潮流を大きく左右する地でもあります。蓮如や吉崎御坊の果たした役割を展示解説するミュージアムもあり、戦国時代を理解する上でとても意義深いスポットです。


吉崎御坊は丘の上にあった

吉崎御坊は1471(文明3)年、京都を追われた本願寺中興の祖・蓮如(れんにょ)が海を望む小高い丘の上に開きました。吉崎の地はもともと奈良・興福寺の荘園でした。興福寺の別当もつとめた高僧・経覚(きょうかく)は縁戚にあたる蓮如を宗派の違いを超えてかわいがっており、延暦寺によって京都を追われて困窮していた蓮如に、落ち着ける地として吉崎を紹介しました。

北陸はもともと浄土真宗の門徒が多く、蓮如にとって布教しやすいエリアでした。一方守護大名や土豪たちは抗争を繰り返しており、経覚が蓮如を吉崎に行かせたのは土豪による年貢の横領を防ぐためだった、と考えられています。

民衆にとっても、当時は困窮していたとはいえ親鸞聖人の嫡流の本願寺のトップがやってきたことで大いに盛り上がったと考えられます。土豪たちから自立するべく団結し、吉崎の寺内町は急速に発展します。戦国時代に北陸で強大な勢力を誇った一向一揆(本願寺)勢力の出発点にもなっていきます。

蓮如は吉崎御坊と周囲との軋轢が目建つようになると、吉崎を立ち去ります。各地を転々とした後、1478(文明10)年に京都に山科本願寺を開きます。吉崎御坊はその後越前の戦国大名・朝倉氏によって破却されます。御坊のあった丘の麓に江戸時代半ばに東西両派の寺院として再興され、現在に至ります。丘の上の御坊の跡地では石碑と蓮如の銅像で往時をしのぶことができます。


本願寺派吉崎別院(西別院)西本願寺系

御坊跡の麓では東西両派の寺院が隣接して並んでいます。両派寺院とも史料館が設けられており、拝観することができます。


真宗大谷派吉崎別院(東別院)東本願寺系

御坊跡や東西両寺院から歩いて2分ほどのところに「吉崎御坊 蓮如上人記念館」があります。1998年に開設されたミュージアムで、吉崎御坊と蓮如上人の足跡を、史料やジオラマ模型、シアターを通じて学ぶことができます。


吉崎御坊 蓮如上人記念館

近くには東尋坊、あわら温泉、石川県九谷焼美術館、片山津・山代・山中温泉があり、観光資源には恵まれたエリアです。ゆっくり周遊してみてください。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



とても興味深いカリスマ二人の比較


吉崎御坊跡
【福井県観光連盟公式サイト】

※拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。

本願寺派吉崎別院(西別院) 【あわら市観光協会公式サイト】
真宗大谷派吉崎別院(東別院) 【公式サイト】

吉崎御坊 蓮如上人記念館
【公式サイト】

原則休館日:木曜日、12/28-1/2
入館(拝観)受付時間:9:00~17:00

◆マナー教室◆

◇写真撮影の前に確認! 撮影可能か、立入禁止でないか、三脚や一脚が使えるか?
◇カメラのシャッター音は出ないように、特にスマホは注意!
◇カメラのフラッシュがたかれないように設定、光や熱が美術品を傷つけます!
◇室内を見学する場合、持ち物が無意識に壁や置物に触れ傷つけてしまいます。
 手荷物は預ける、リュックは前に抱える、レンズの大きい一眼レフカメラは持ち込まない、など配慮しましょう。



◆おすすめ交通機関◆

JR加賀温泉駅・芦原温泉駅、えちぜん鉄道あわら湯のまち駅からそれぞれ車で15分
北陸道「加賀」ICから車で10分
JR北陸線「加賀温泉」駅下車、加賀周遊バス「キャン・バス」で「蓮如上人記念館」下車すぐ
JR福井駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間20分~2時間
福井駅→JR北陸線→加賀温泉駅→キャン・バス→蓮如上人記念館

【蓮如上人記念館公式サイト】 アクセス案内

※鉄道やバスは本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることを強くおすすめします。
※この施設には無料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約を強くおすすめします。


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