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今しか開けられない建礼門から見た京都御所をぜひ 3/21まで

2019年03月13日 | 城・屋敷・歴史遺産

天皇陛下の退位が間もなくに迫っていますが、今年2019年は即位30年にもあたるため、各所で様々な記念行事が催されています。京都御所でも通常参観では体験できない特別公開が始まりました。

  • 明治・大正・昭和天皇が京都御所での即位礼で使用した儀礼品は実に神々しい
  • 両陛下が通る時だけ使用する建礼門が開扉、門からの眺望は平安時代を思わせる雅な趣
  • 即位の礼に使用するため移送された高御座・御帳台がない紫宸殿で、背後の障子絵までが見渡せる


平成がまもなく終了する2019年3月は、京都御所も特別な空気感に包まれています。”門”フェチの方にもたまらない眺望が楽しめます。10日間の短期間ですが、次の機会は当分ありません。


御三間(おみま)

明治の東京遷都後の大正天皇/昭和天皇の即位の礼が、東京ではなく京都御所で行われていたことは、京都を除いて全国的には案外知られていないように思えます。東京で行っても不自然ではないと思えますが、旧皇室典範により京都で行うよう定められていました。天皇の神格化を強固にするために、古式にのっとって京都御所で行う方が良いとの考えがあったのかもしれません。

現在の京都御所には過去の即位の礼で使用された儀礼品が数多く保管されているようです。今回の特別公開でも少なからずの儀礼品が展示されます。


諸大夫の間 月像纛旛

【宮内庁公式サイト 京都御所 参観順路】通常公開
【宮内庁公式サイト 京都御所 参観順路】今回の特別公開

今回の特別公開は、通常公開時とは微妙に参観ルートが異なり、通常開かれていない門が開いているところが注目されます。まず入口は宜秋門(ぎしゅうもん)です。2016年まで行われていた春秋の特別公開の際には開けられていましたが、特別公開がなくなった現在は閉じられています。通常公開時の出入口となる清所門(せいしょもん)のやや南にあります。清所門は出口専用になります。

宜秋門をくぐると御車寄(おくるまよせ)に花車(はなぐるま)が特別展示されています。いきなりの撮影スポットになるため、少し混雑します。

続く諸大夫の間(しょたいぶのま)は御所に参内する公家らの控えの部屋でした。現在の京都御所の建物が幕末の1855(安政2)年に再建された際に製作された、岸岱・狩野永岳・原在照の障壁画が、御門(みかど)に拝謁する前の特別な空間を見事に形成しています。

昭和天皇の即位の礼の際に、紫宸殿(ししんでん)南庭に飾られた旛(はた)の日像/月像纛旛も展示されています。いわゆる”錦の御旗”のような神格化された趣を感じることができます。


京都御所の内側より 手前:承明門、奥:建礼門

新御車寄(しんみくるまよせ)に展示された牛車や、回廊沿いの両陛下の京都行幸時の写真パネルを見ると、建礼門が目に入ります。

建礼門(けんれいもん)は現在の京都御所に相当する旧:内裏(だいり)の南側の正門で、天皇・皇后両陛下や外国の国家元首が通る時だけ使用するため、めったに開けられません。まして誰でも見られる参観時の開扉は、おそらく今回の天皇の代替わりのような機会にしか行われないでしょう。

建礼門を通じた光景は、御所の内外の両方から見ることを強くおすすめします。今しか体験できません。言葉にはしがたいような王朝文化の優美さを感じることができます。

通常は開扉されているものの通ることはできない回廊東側の日華門(にっかもん)を通って、紫宸殿を正面から参観します。2016年以降の通常公開から紫宸殿は正面ではなく西側から遠望するだけになっているため、正面からの参観も貴重な機会です。

加えて即位の礼で天皇陛下が鎮座する高御座と皇后陛下が鎮座する御帳台がないため、広い内部空間と背後の障子絵が見渡せます。今しか体験できない平安時代をしのばせる空間美です。


御学問所(おがくもんじょ)

紫宸殿の後は、清涼殿→小御所→御学問所→御常御殿→御三間と通常公開と同じルートを進みます。通常公開では展示されていない人形や写真パネルが、往時の宮廷生活の趣を演出しています。

【宮内庁公式サイト】特別公開 主な展示の写真


いにしえから変わらない御所から見える比叡山

即位の礼で使用される高御座・御帳台の保管場所が、天皇の在所を権威づけるとする見方も根強くあります。高御座・御帳台は、明治の東京遷都後から現在に至るまで京都御所に安置されています。史上初めて東京で行われた今上(平成)天皇の即位の礼の際には一時的に東京に輸送し、その後京都御所に戻されています。

今回の即位の礼の後の高御座・御帳台の安置場所は正式には発表されていないようです。今後も即位の礼が京都御所で行われることはないでしょう。となると高御座・御帳台は東京に安置する方が、管理上効率が良くなります。今年2019年10月の即位の礼の後どうなるのか、特に京都人はやきもきしています。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



室内や所蔵美術品の公開はめったにされない京都御所の全貌がわかる

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京都御所
御即位30年記念 特別公開
【宮内庁による特別公開公式サイト】

会場:入口・宜秋門(ぎしゅうもん)→ 出口・清所門(せいしょもん)、いずれも御所西側
会期:2019年3月12日(火)~21日(木)
原則休館日:会期中なし
入館(拝観)受付時間:9:00~15:50

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この施設は常時公開されていますが、今回の特別公開のような美術品の展示は普段はありません。
※この特別公開は定期的に行われるものではありません。

京都御所
【公式サイト】 http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/kyoto.html



◆おすすめ交通機関◆

入口・宜秋門まで
地下鉄烏丸線「丸太町」駅下車、3番出口から徒歩10分
地下鉄烏丸線「今出川」駅下車、1番出口から徒歩2分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:20分
京都駅→地下鉄烏丸線→丸太町駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には有料の駐車場があります。
※渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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