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庭園あっての建物の輝き ~金閣寺「紅葉」

2017年11月15日 | 祭・行事・季節の花

ここでしか見られない“まばゆさ”

 

 

京都市が行った調査結果によると、2016年間で外国人観光客が訪れた観光地のトップは清水寺で67%、以下、二条城、祇園と続き、金閣寺は49%で4位、5位は43%で伏見稲荷だった。日本人のデータは含まれないが、多くの方が大差ないとお考えになるだろう。

 

平成28年 京都観光総合調査

 

 

正式名称は舎利殿という建造物である金閣は、足利義満による創建時のものが1950(昭和25)年に放火され、三島由紀夫「金閣寺」、水上勉「五番町夕霧楼」として事件が描かれたことはよく知られている。現在の金閣は事件の5年後に創建当初の姿に再建されて以降、1986(昭和61)年になって金箔の貼り換えなど大修理が行われ、現在にまばゆいばかりの輝きを伝えている。

 

金閣という建物は、取り囲む境内や庭園の魅力との相乗効果で魅力を高めているように思う。境内(庭園)の中心に金閣を水面に映す鏡湖池(きょうこち)がある。黄金の輝きや紅葉の彩が鏡のように湖面に映える姿はここでしか見られない。金閣は建物内には参拝できないこともあり、まさに湖面があってこその金閣だ。

 

また鏡湖池からは、北山を借景にした美しい森のビューが秀逸で、京都で一二を争う人気の写真撮影スポットになっている。この池は京都の名だたる庭園の池の中でもとても大きく、借景を見渡す角度がワイドで見応えがある。比較的コンパクトな庭園が多い京都では数少ない、大きい空と雄大な緑・紅葉の彩りを同時に楽しめるところなのだ。そんなワイドビューのセンターには黄金が輝いている、確かにここで記念撮影しない観光客はまずいないだろう。

 

金閣の裏は小高い丘になっている。少し高いところから見る金閣も絶景なので、裏山の散策コースにもぜひ足を踏み入れてほしい。湖面に映えるだけでなく、赤く染まった森にたたずまう黄金の輝きも絶景で、SNS映えすること間違いない。

 

 

こんな角度で金閣が楽しめる

 

 

方丈や庫裏、鐘楼といった禅宗寺院らしい凛とした白壁と瓦屋根の建物の周りも季節の彩りにあふれている。秋の紅葉をはじめ、4月の桜、5月の新緑はもちろんだが、冬に雪が積もったときもおすすめだ。とにかく時間をかけてゆっくりと歩いてほしい。

 

 

 

境内は紅葉の彩りにあふれている

 

 

620年前に足利義満が愛した別荘「北山殿」もこんな姿だったのかと想像するのも興味深い。室町幕府の最盛期の権力者が贅の限りを尽くした別荘である。その別荘は今となっては、国内に8か所しかない特別名勝・特別史跡のダブル指定を受けている。歴史の名残として価値がある「史跡」、風景として価値がある「名勝」の双方で、モノの場合の「国宝」に相当する「特別」という最高評価なのだ。京都で他にダブル指定を受けているのは銀閣寺と醍醐寺三宝院だけである。両庭園とも極上であることはいうまでもない。

 

金閣寺は建物もよいが庭園をじっくりと巡ってほしい。極上の空間であることを保証したい。

 

 

日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさんある。ぜひ会いに行こう。

 

 

TV出演も多い京都のガーデンデザイナーは選りすぐった「絶景」、もちろん金閣寺もあり

 

 

金閣寺(相国寺塔頭・鹿苑寺)

http://www.shokoku-ji.jp/k_about.html

原則休館日:なし

 

 

 


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