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春はもうすぐ、京都 城南宮で2/11に七草粥

2019年01月23日 | 祭・行事・季節の花

京都駅と伏見のほぼ中間、鳥羽(とば)にある城南宮(じょうなんぐう)で、七草粥が2月11日にふるまわれます。節分が終わり、春の訪れを実感するにはピッタリの、京都の早春の風物詩です。

  • 塩味のシンプルな白い粥に、七草の美しい緑がのせられた椀の表情はとても美しい
  • 昭和の名庭師・中根金作が作庭した神苑(しんえん)は、京都でも有数の四季の花を楽しめる名園
  • 旅行や建設工事の厄を払う方除(ほうよけ)では平安時代から著名
  • 近隣は鳥羽伏見の戦いや鳥羽離宮の跡地、歴史ファンにもたまらないエリア


京都でよく知られる方除けの参拝とともに、神苑を訪れる人がとても多い人気の神社です。



城南宮の創建はよくわかっていませんが、平安時代後期の院政で絶大な権力をふるった白河(しらかわ)上皇が、神社を含んだ付近一帯に鳥羽(とば)離宮を造営する頃になると、天皇の行幸や貴族の参拝が増えていきます。京都の裏鬼門と熊野詣のルートにあたるためです。今も呼ばれる「方除の大社」の名が定着したのはこの頃です。

幕末には14代将軍に嫁ぐ皇女・和宮(かずのみや)が江戸までの道中安全を祈願し、孝明天皇も譲位を祈願して行幸しています。神社への参道は、その後の鳥羽伏見の戦いがまさに勃発したところです。幕府軍の進軍を阻む薩摩軍にとっては、皇室ゆかりの神社の前で負けられない気概が強かったのだろうとしのばれます。



神社は名神高速の京都南ICのすぐそばにあり、国道1号線にも面しています。クルマの便のよさもあり、現代では旅行の安全を祈る方除が転じて、交通安全を祈る参拝者も多くなっています。夏には全国でも珍しい、クルマに乗ったまま茅の輪をくぐって交通安全を祈る神事が人気です。

【神社公式サイトの画像】愛車(おくるま)の茅の輪くぐり



七草粥は古来より、五節句の最初・人日(じんじつ)の節句である1月7日に食べられていました。人日とは、中国の古い暦では、正月の1~7日に順に動物の名を付け、その日はその動物を殺して肉を食べない習慣がありました。7日は人間で、罪人の刑罰を行わないようにし、7種の野菜を煮たスープを食べていました。これが日本に伝わって七草粥となります。

現在の日本では、新暦の1月7日に七草粥を食べることが多くなり、京都でも1月7日にふるまう神社が多くなっています。城南宮がふるまう2月11日は旧暦の1月7日に近く、春の訪れを感じる実際の季節感に合っています。城南宮の七草は、粥と混ぜるのではなく、粥の表面にのせます。七草の輝くような緑を見ると、春の近づきを強く感じます。

写真のようにとてもシンプルで、粥の温かさと七草の瑞々しさが体にしみます。一杯500円です。会場の斎館からは美しい神苑の緑が見えます。さらに春を感じさせてくれる光景です。


神苑 入口

神苑は境内を取り囲むように設けられており、かなりの面積があります。時代や季節に応じて5つのテーマで構成されており、とてもたくさんの種類の花を楽しむことができます。そのうち「平安の庭」は寝殿造りの庭をイメージして造られています。春と秋に行われる平安装束の歌会「曲水の宴」の会場です。



城南宮の西側、徒歩5分ほどのところにある公園には、鳥羽離宮の遺構の一つ「秋の山」や、鳥羽伏見の戦いの勃発を示す石碑があります。城南宮の東側、竹田駅との中間には、鳥羽離宮の仏堂だった安楽寿院や、鳥羽離宮で過ごした白河・鳥羽天皇と近衛天皇の陵があります。近衛天皇の陵は、天皇陵としては唯一、多宝塔が建てられています。大きな青い空に映える多宝塔です。

鳥羽は、京都の観光エリアとしては決して著名ではありませんが、京都の歴史においてとても重要なエリアです。一味違う京都の魅力をお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



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城南宮
七草粥の日
【神社による行事公式サイト】 祭礼と年中行事 1月~3月

会場:斎館
会期:毎年2月11日
受付時間:10:00~16:00

※神苑を除く神社の参拝に条件はありません。いつでも無料で参拝できます。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄烏丸線・近鉄京都線「竹田」駅下車、6番出口から徒歩15分

JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
京都駅→地下鉄烏丸線→竹田駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には無料の駐車場があります。


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