ヒカルゲンジの自然と文化

自然と文化に関する気ままな日記

命を問い直す

2021年05月25日 | 読書ノート

福岡伸一  朝日新聞 2021.5.17

 「声明はと問われると、自己複製するものと言われます。個体は遺伝子の乗り物にすぎず、遺伝子が複製して増えることだけが目的と考えるのが『利己的遺伝子論』ですが。長い進化のプロセスを見ると、生命は利己的でなくむしろ利他的に振る舞っていると私は思います」

 「たとえば、細胞の(エネルギーを作る)ミトコンドリアは、もともと原核生物で、細胞に取り込まれたものです。それが消化されずに安定した環境が与えられ、ミトコンドリアはエネルギーを宿主の細胞に与える存在になりました。競争ではなく『共生』による進化です。単細胞が多細胞化したのも、利他的に相互作用するようになった進化です」

 「もし植物が利己的に自分の必要な分だけ有機物を生産していたら、今の地球環境はなく、植物以外の生物は生まれていない。植物は過剰に光合成をして葉を茂らせて実をつけ他の生物に分け与えてきました」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「木は葉の何割かがなくなっても(虫に食べられたり、刈られたりして)生存して行ける、つまり何か不測の事態が起こっても自らの命を守るために過剰な葉を生産する」なんてことを聞いた気がする。

 利己的→利他的=利己的???