111.お母さんも休息を・・・(3)
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
お母さま方も、ときに休息がとれるといいですね。元気なときなら簡単にできることも、疲れているとどうにも億劫で体が動かない、手が進まない、気持ちが動かない、ということがあります。たとえば、夕食の後片付け、洗濯物の整理、お部屋の掃除・・・などの家事。また、お子さんの世話、質問に答える、話を聞いてあげる、遊びに付き合う・・・などの育児。気持ちがいらいらして、ついお子さんや周囲の人に当たってしまうこともあるかもしれません。
横になる、眠る。思考も、気持ちも、体も休ませましょう。小さな楽しみについては、きのうお話しました。可能であるなら、日帰りの小旅行もいいですね。何か日常から切れること。
・・・一足春の早い房総では、海を望む花畑でもうポピーの花摘みができます。ところが花畑の立て札に、「花ではなく、つぼみを摘んでください」とありました。花摘みと言えば、きれいに咲いた色とりどりのお花を摘んで、手にいっぱいになった花束をイメージしますが・・・。「つぼみを摘む」とはどういうことなのでしょう。「まだ咲いてないのを摘んでもいいの?」という気持ちもありました。
2人で出かけ、ひとり10本ずつのつぼみの束。新聞紙と簡単な包装紙に包んでもらって持ち帰りました。帰宅してグラスに生けましたが、ほとんどのつぼみは茎を曲げて下を向いています。「これで、だいじょうぶ?」と思いながらも、その晩はそっとそのままに。
そしてその翌朝。部屋の明るい朝陽の中、つぼみが少し割れて花びらが見えてきました。見ている間に、花びらがゆっくり開いていきます。「あっ、うごいた!」・・・気のせいでしょうか?7日ほどの間に、オフホワイト、イエロー、オレンジ、ローズ、たくさんの色の花が次々に開きました。房総の春、花畑が部屋の中まで来てくれたようで、あのゆるやかな海の風景もひろがってきます。春、光、生長の幸福を感じます。
日常からきれた出来事には、思いがけないメッセージがあります。つぼみを摘み、そのつぼみがゆっくりと開花していくプロセスは、日ごろの療育に重なりました。花畑で、目や手はつい咲いている花に行きますが、そうではなく、つぼみから。つぼみを見ましょう。暖かい光と水を得て、つぼみはゆっくりと開いていきます。その生長に、教室の生徒さんの成長が重なります。
療育者として、どこを見るべきか、何を見るべきか。つぼみの持つ成長の力や可能性、成長のめぐみや喜び。そんな思いで花を眺めていると、力が静かに沸いてきます。さあ、もう春ですよ。ゆっくり休みながら、今年も共に子育て、療育に取り組んでいきましょう。
造形リトミック教育研究所
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