それならプールで魚になろう

地面を歩くと神経の戻っていない足裏がびりびり来て、まるで固い鉄板の上を歩いているよう。膨れる指先も邪魔をして地面を蹴り上げる時に痛い。歩くのが楽しみよりすっかり訓練になってしまっているこの頃。それでもPTさんは「綺麗な歩きをしているからリハビリは２週に一度ぐらいでもかまわないです」。えっ、これで満足しろってこと！私の不服そうな顔にPTさんは戸惑い顔で訊ねる「どこがまずいのですか？」。早足だった私が超スローの歩みにもの足りないこと、それなのに疲れてしまうのでは不十分ってこと分かってもらえないのだろう。今の段階では高望みなのか・・・。汗が吹き出るぐらい身体を動かしたい！

取り戻したいと自主トレで毎日病院へ通いリハビリを続けている私。

乳がんの手術をして左手が上がらなくなった時プールで泳ぎ始め、手が上がるようになったのを思い出しました。自分で見つけたリハビリでした。そうだ、今回もプールへ行ってみよう！もともと得意だった水泳。運動音痴でしたが、泳ぎだけは得意でした。小学校は水泳部に所属していて鹿児島県でクロールの記録を打ち立てたこともあります。クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライまでマスターしています。使い残しの入場料チケットを引き出しの奥から引っ張り出し、山登りに目覚める10年前まで良く通っていた近くのプールへ出かけました。

ガキンコが少ない早朝、コースを独り占めして泳ぎます。水中で思うように動かせる足は尾びれのようにすいすいと頼もしいこと。痛みも無く無心に泳げます。２５メートルもまだまだノーブレスで泳げる！１時間近くクロールを中心に背泳ぎ、平泳ぎと自由自在に泳ぎました。１０年ぶりだというのに息も上がらず、魚のようだと思っていた感覚が蘇りました。プールサイドにあがった時、足に違和感が走り陸にあがったことを思い知らされます。人魚姫の痛みってきっとこんな風だったのかも・・・。
青色が好きで雨が好きなのは、きっと水に縁が深い祖先なのかもしれません。