
初春今頃、山を歩いていると鼻が曲がるような悪臭を感じる時がある。昨日もそうだった。もう咲き出したのかと辺りを見回すと冒頭画像の”ヒサカキ”!。昔、仏壇に供えられていた記憶に葉はあるが、壺型の花は微かしか残っていない。
先日NHKテレビ番組”グレーテルのかまど”で取り上げてあったのは『ごん狐』で有名な童話作家新美南吉さんだった。新美さんの記念館に併設された”童話の森”に『イササギが植えられている』と話され、イササギ?カササギに似た名前に心当たりがないと思っていたら、映像が映し出された。
あれ、これヒサカキじゃない?
愛知県この地域ではヒサカキはイササギと呼ばれていると説明が続く。
『ごん狐』の冒頭は「シダのいっぱいしげった森の中に住んでいた」とあるが、草稿では「イササギのいっぱいしげった」となっているらしい。イササギの呼び名は他の地方では一般的ではなかったので、途中で、わかりやすい「シダ」に置き換えられたとのこと。
調べてみると南吉自身が書いた「スパルタノート」にありました。「スパルタノート」とは、南吉が半田中学校5年生のころから、卒業後1年間の記録が入っていて「権狐(ごんぎつね)」の草稿(そうこう:したがき)が書かれています。最後から2行にあります。
久しぶりにごんぎつねを再読してみて、やはりシダとなっていた。表紙画はシダに囲まれた一匹の狐君が描かれていて世界観が迫っています。
but、最初に読んだ時もそうだったけれど、ラストがあまりに切なすぎてこの童話は好きになれない・・・
♬シダ(羊歯)でなくイササギと書くも好し
ごんの墓前に供え生えなむ