晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
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プロヴァンス物語 「マルセルの夏 」「マルセルの城」

2011年07月28日 | 映画

内容

「愛と宿命の泉」の原作者としても知られる作家M・パニョルの少年時代のエピソードを詩情豊かに描いた作品。南仏、オーバーニュ。厳格で頼もしい父と、優しく美しい母の間にマルセルは産まれた。やがてマルセルが成長し9歳になった夏、弟を加えたマルセル一家と叔父夫婦はバカンスのため、プロヴァンスの小高い丘にやってきた。それは彼の生涯の中でも、もっとも美しい思い出のひとつだった……。“父の栄光”という原題が示すように、少年の目から見た父への憧れ、尊敬、そして失望など様々な感情を、美しい風景の中に展開させており、その描写の数々は微笑ましくも切なさがあり心にジーンときてしまう。プロヴァンスの雄大な自然が美しい。続編は、母に焦点を当てた「プロヴァンス物語/マルセルのお城」。

夏休み特集でしょうか?「マルセルの夏」、「マルセルの城」と2日間続けて観られて良かったです。「マルセルの夏」は再見でしたが、初見と同様にプロヴァンスの美しい風景とともに少年時代の瑞々しい感性が見事に綴られていると思いました。少年少女の成長物語のジャンルは懐かしい日々を思い起こしてくれます。勿論あんな素敵なバカンスは経験していませんが、両親が共働きだったので夏に預けられていた祖父母の庭を思い出しました。農家だった祖父母の庭にはスイカやウリが生り、センニチコウの円い花や、向日葵、鶏頭の花が朝露に濡れていました。続編の「マルセルの城」が物悲しい音楽で始まった時には違和感を感じましたが、ラストで納得いきました。あの少年の日々はすでに過去になってしまったのです。時は流れて進むのを止められない・・・。でも、映画では「マルセルの夏」 のまま夏を終らせて欲しくなかった私でした。少年のマルセルが成人して映画製作者となって購入した土地がなんと、かって一家が(特に今は亡き母が)通過するのをとても怖がった、あの三つめの城だったのです。 今や自分の所有物となった運河の城、子供の時に恐怖を与えたあの門を叩き壊した時、マルセルはそこに「亡き母の面影を見た」と思ったのです。フランス語のタイトルの意味は「私の母の城]となっています。テンポがありユーモアに溢れた温かい映画でした。母を語る時『オーギュスティーヌ』と名前で呼んでいるのがたまらなく好きでした。


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1 コメント

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やっと観終わりました (宵乃)
2011-08-04 14:42:33
素敵な作品でしたね。わたしも夏休みに行った田舎の風景を思い出しましたよ。だだっ広い田んぼと、庭のトマトやトウモロコシ、ちょうちょを追いかける猫・・・。
マルセルの思い出に比べたら平凡だけど、懐かしさがこみ上げてきました。

>母を語る時『オーギュスティーヌ』と名前で呼んでいるのがたまらなく好きでした。

本当に仲がいいですよね。マルセル目線の作品ですけど、そこからにじみ出る彼の優しさ素朴さが伝わってきて微笑ましかったです。

(もし二回投稿してたらごめんなさい!)
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