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人類と「牧畜」の始まり

2025-01-05 21:22:00 | 世界史

【牧畜】

 動物の家畜化は、肥沃なる三日月地帯で、始まったとされています。肥沃なる三日月地帯とは、現在の西アジア「シリア周辺」のことです。牧畜より少し前に、農耕が始まっていました。その農耕民族たちの一部が、余った作物で、家畜を飼育するようになったとされています。それを専業とする人たちが、営んだのが牧畜という生活スタイルです。牧畜を営む者にとっては、家畜が全財産でした。英語では、家畜を「ライブストック」と言います。ライブストックとは「生きた在庫」という意味です。牧畜社会では、その家畜を守らなくてはいけません。そのため、政府の力に頼らない自衛の文化が発展したとされています。牧畜を営む者は、常に定住しているわけではありません。季節や天候に応じて、家畜と共に移動する場合があるからです。そうした生活スタイルを遊牧と言います。



【家畜】

 牧畜とは、動物を再生産して、食糧を獲得する方法です。それ以前の狩猟採集生活では、再生産を目指していませんでした。ただ自然に生息している動物を獲って食べるだけだっただからです。人類は、野生動物を数千年の歳月をかけて、人に役立つように改良してきました。牧畜とは、その動物を家畜として、人為的に管理することです。

 家畜は、野生の生存競争からは解放されています。そうした、ストレスのない環境が、家畜特有のさまざまな色や形などの変化をもたらしました。例えば、家畜になると出てくるのが白毛です。通常、自然の状態では、白は目立ってしまいます。そのため、家畜に出来るような草食動物の中にはあまりいません。また、家畜は、あまり賢くないとされています。例えば、養鶏の脳は、野生の鶏よりも小さいからです。


【条件】

 家畜化出来る動物には、一定の条件があります。その一つが、群れで生活し、リーダーに従う習性があることです。そうした動物の方が、管理しやすいとされています。また、縄張りを共有出来る温厚な性格であることも重要です。一般的に、家畜化すると攻撃性は落ちるとされています。なぜなら、人間がそのように品種改良してきたからです。家畜化すると、コミュニケーション能力が高くなり、声を使って人からエサをもらおうとします。

 牧畜の目的は「ミルク」や「肉」という食料品や、衣服などの材料となる「皮」を手に入れることです。それらを得るため、家畜は、繁殖力があって、成長が早い方が良いとされています。農耕社会でも、フンが畑の肥料になるので、家畜がよく使役されました。一説では、人間も、自分自身を家畜化しているとされています。なぜなら、自分たちが決めたルールに従って生きているからです。


【種類】

 家畜となった五大哺乳動物「ビック5」は、もともと肥沃な三日月地帯で生息していました。五大哺乳動物とは「牛」「羊」「ヤギ」「豚」「馬」のことです。牧畜は、それらを使って農耕に向かない地でも営むことが出来ました。人類が、家畜化出来たのは1214種類の野生動物だけです。最初に家畜化されたのは、犬だとされています。ただし、犬は、狩猟のパートナーとして使われていたので、厳密な意味での家畜とは言えないかもしれません。9000年前、本当の意味で最初の家畜となったのが牛です。同時期には、豚が家畜になりました。豚とは、野生の猪を家畜化したものです。次いで6000年前、馬やロバが家畜化されました。哺乳類以外では、鶏が中国かインドで家畜化され、ローマに伝わったとされています。家畜は、人間の役に立つ動物です。しかし、弊害もありました。例えば、人に病気をうつしてしまうからです。もともと、はしかは、牛の病気で、天然痘は、ラクダの病気だったとされています。



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