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ペルシャ帝国について

2023-10-13 20:24:00 | 世界史

【キュロス大王】 

 ペルシャ人は、もともとトルキスタン地方の遊牧民で、自分たちのことは、イラン人と呼んでいました。イランとは「アーリヤ人の国」という意味です。ペルシャ人は、古代世界において、ひたすら巨大化の道を進み「アケメネス朝ペルシャ」という史上空前の大帝国を築きました。アケメネス朝ペルシャの初代国王だったのが、キュロス大王「2世」です。キュロス大王は、イラン人の始祖とされています。古代エジプトを除く全オリエントを統一し、ペルシャの建国者となりました。アケメネス朝ペルシャは、世界で最初の本格的な帝国だったとされています。その君主の称号は「大王」や「諸王の王」です。キュロス大王は、ユダヤ人をバビロン捕囚から解放し、故郷パレスチナに戻しました。そのため旧約聖書においては、寛大で理想的な君主とされています。

 【不滅隊】 

 ペルシャ軍の中心は「騎兵」です。その騎兵は「乗馬術」と「弓術」に長けていました。特に敵から恐れられていたのが「不滅隊」とよばれる「常備軍」です。不滅隊とは、一万人からなる武勇に優れた精鋭部隊のことで、不屈の闘志と必殺の突撃作戦によって、敵に大打撃を与えました。一人の兵士が倒されたら、すぐに新しい兵士が補充されたので、その様子が、あたかも戦士が蘇ったかのように見えたそうです。再生される兵士として、アタナトイ「不死の意」と名付けられました。その他の軍隊は、1000人のペルシア貴族からなる親衛隊です。この親衛隊は、千人隊長が指揮しました。千人隊長の役目は、軍の指揮だけではありません。宮廷の要職として、財政管理の権限もありました。

 【ダレイオス1世】

 アケメネス朝の第3代国王となった「ダレイオス1世」は、帝国の領土を最大にしたので「野獣の支配者」「英雄王」「制服王」などと呼ばれました。ちなみにダレイオス1世は、キュロス大王の血族ではありません。征服された民族は「兵役」と「納税」の義務を果たしていれば、ペルシャの制度や慣習を強制されることはありませんでした。アケメネス朝ペルシャは「多民族国家」だったので、このような寛容な政策は、帝国を安定的に支配するために有効だったとされています。その他、ダレイオス1世は、王家を中央集権化し、ペルセポリスを帝国の新しい首都と定めました。ペルセポリスは、どちらかと言えば、政治の中心というより王の神聖な都だったとされています。ペルセポリスの建設作業には、各州から職人が集められ、ダレイオス以後も、歴代諸王が増築を続けました。

 【州制度】 

 ダレイオス1世は、帝国の行政区分を約20の州に分割しました。各州を統治させるために任命したのが「サトラップ」とよばれる総督です。この制度をサトラップ制と言います。サトラップ制の州の管理は厳格で、中央から派遣された、地方行政の監視役「王の目」と、その補佐官「王の耳」が、各州の様子を絶えず王に報告していました。また、広い帝国を支配するためには、地方と中央の情報伝達が迅速でなくてはいけません。そのために整備されたのが道路網で、連絡手段としては「駅伝制」が導入されました。こうした州制度を受け継いだのが、後のローマ帝国です。

 【ゾロアスター教】 

 ダレイオス1世は、帝国内の宗教を統一せず、征服した民族の宗教にも寛容でした。その王自身が信仰したのはゾロアスター教です。ゾロアスター教は、アケメネス朝ペルシャの国教的な存在でした。漢字では、拝火教と書きます。火を聖なるものとし、永遠に消えない聖火を灯し続けていました。ゾロアスター教は、開祖の実在がはっきりしている世界最古の宗教とされています。その根本教典は「アベスター」で、聖職者は「マギ」です。マギは、英語のマジックの語源とされています。ゾロアスター教は、偶像や神殿を尊重しました。その宗教的象徴だったのが「有翼日輪」です。また、ダフメ「沈黙の塔」で行われる、鳥・風葬などの独得な祭祀もありました。

 ゾロアスター教の世界観は二元論的です。世界は、善神アフラ=マズダと暗黒神アーリマンの対立だとされました。ただし、最終的に勝利するのは、アフラ=マズダの方だとされています。また、ゾロアスター教は、終未論的でした。最後の審判と世界浄化の後に、新しく完全な世界が再生するとされています。こうした終未論は、ユダヤ教にも影響を与えました。ユダヤ教の天使という存在も、ゾロアスターの影響です。ゾロアスター教は、現在でも信徒がいます。




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1 コメント

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マルテンサイト千年グローバル (サムライ鉄の道リスペクト)
2024-09-20 04:11:47
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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