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ソクラテスの「無知の知」

2024-03-11 19:26:00 | 西洋哲学

【無知の知】 

 ソクラテスの「無知の知」とは、「自分は何も知らない」ということを知っているという意味です。無知の知は、不知の自覚とも言います。ソクラテスは、誰より自分の無知を自覚していました。しかし、ソクラテスは、自分が一番の知者であるという神託を受けたとされています。それを確かめるため、いろんな知者たちを訪ねることにしました。当時、知者とされていたのが職業教師「ソフィスト」たちです。ソフィストは、何かを知っているかのように思い込んでいました。しかし、ソクラテスによって、自分たちが実は何も知らないことを暴かれたとされています。

【善と神】

 ソクラテスは、人間を知恵と無知の中間にいる有限な存在だとしました。それに対して、完全な知恵を持っているとしたのが神です。そのため、出来だけ神に近づこうとしました。ソクラテスが、自身の哲学の出発点としたのが無知の知です。無知を自覚し、知恵を探求し続けることが、神から与えられた自分の使命だと考えていました。ギリシャの格言に「汝自らを知れ」とういう言葉があります。これは、デルフォイのアポロン神殿の柱に刻まれた箴言です。この箴言は、ソクラテスの座右の銘となりました。

 ソクラテスの目的は、ただ生きることではありません。善く生きることでした。しかし、それには何が善であるかを知らなくてはいけません。ソクラテスは、常にその善を探求していました。ソクラテスにとっての善は、全ての人々に共通しているものです。そのため、他人にも教えることが出来るものだとしました。それに対して、悪とは、認識の欠如のことです。それは、自分自身に背くことでした。

 【助産術】 

 ソクラテスは、哲学者でしたが、自分自身で思想を生み出しませんでした。その代わりに、対話の相手に真理を生み出させる手助けをしたとされています。その手法を人間の出産に喩えて「産婆術」と呼びました。ソクラテスは、産婆術「マイウティケイ」を使って、哲学を展開させたと言われています。対話によって、色々な事例を上げ、問答を繰り返すうちに、相手に無知を自覚させました。ソクラテスは、自分は何も知らないふりをして、相手にひっきりなしに質問をあびせ、その結果、相手に思いがけない結論を導き出させたとされています。産婆術は、問答を繰り返すので「問答法」とも呼ばれました。ソクラテスは、その問答法「ディアレクティケー」によって、対話相手をより高い次元の真理に導いたとされています。

 【皮肉】 

 普段、ソクラテスは、無知を装っていました。しかし、実際に無知だったわけではありません。表面的に、たとぼけた態度をしていただけです。この意図的に装われた無知を皮肉「アイロニー」と言います。アイロニーは、もともとギリシャ語で「偽装」や「仮面」と言う意味です。ソクラテスは、肯定するように見せかけて、相手の矛盾点を暴きました。それによって、相手が自己否定せざるを得ない状況に追い込むためです。ソクラテスは、相手を真理へ導くためにあえてこのような態度をとったとされています。




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