【下部構造】
下部構造とは、社会の基礎となる生産手段のことです。それを「経済機構」と言います。経済機構とは、社会の物質的生活の生産様式のことです。人間は、他人と相互に関係性を築きながら活動しています。マルクスは、人間同士の活動を「交通」と呼びました。その交通をとおした活動が、生活の物質的側面である「経済」です。人間が経済活動をする時、自分の体を動かしてさまざまな労働をしています。例えば、農業をしたり、工場で働くなどです。
【生産様式】
人間は、社会の中で、それぞれの生活手段によって生産活動をしています。マルクスは、その生産の在り方こそが社会全体を決めているのだとしました。その生産の在り方を「生産様式」と言います。マルクスは、社会が上から命令して、生産様式を決めているわけではないとしました。もともと、どのような生産をしていたかによって、どのような社会になるかが決まるからです。生産様式は「人間と自然」「人間と人間」というような二重の関係性によって決定されています。
【関係主義】
社会は、相互の関係性によって成り立っています。下部構造とは、経済的な関係性の総体のことです。それは、さまざまな人間活動の前提条件になっています。下部構造は、客観的な確実性がある自然科学的なものです。マルクスは、人間が、自分の意思だけで、行動を決定出来るわけではないとしました。下部構造が、人間の意識的な部分までも決定しているからです。その意識的な部分を下部構造に対して、上部構造と言います。
【上部構造】
上部組織は、下部構造という土台の上に建てられた、建物のようなものだとされています。それは、肉体•物質的な下部構造に対する、人間の精神的な活動のことです。上部構造は、個々人の精神的な生活において、具現化します。マルクスは、上部構造のことを「イデオロギー」と呼びました。イデオロギーとは「社会意識諸形態」と訳される観念形態のことです。マルクスは、イデオロギーという言葉を「思想」「学問」「芸術」などの人間の精神的な活動を説明する時にも使用しました。
【イデオロギー】
イデオロギーとは、意識の文化的産物です。例えば、資本主義を土台とする経済機構においては、資本主義的な文化が展開されます。上部構造は、その時々の経済体制のたんなる反映にすぎません。基本的に、その国の文化は、下部構造よって変化し規定されるものです。ただし、上部構造が圧力を加え、一部の範囲内ですが、下部組織を反作用的に規定することもあります。また、上部構造は、まず政治や法律などの制度があり、さらにその上に、宗教や道徳といった精神的なものがあるという二重構造です。
【問題点】
イデオロギーの問題点は、現実社会の矛盾や、利害対立を隠蔽してしまうことです。現実の社会とイデオロギーは、必ずしも一致していません。マルクスは、イデオロギーを現実の矛盾点を覆い隠してしまう煙幕のようなものだとしました。たとえ矛盾があっても、無理矢理一つのイデオロギーに当てはめようとするからです。イデオロギーは、人間の思考が生み出した空想の産物にすぎません。しかし、それが自分自身の特殊な利害を社会全体の共通の利害であるかのように思わせることもあります。
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