江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

「蒲蒲線ウォーク」に参加しました

2024-02-02 | 随想
皆さんは「蒲蒲線」というのを聞いたことがあるだろうか。
これは、大田区と東急が第三セクターを作って建設しようとしている鉄道新線の計画のこと。







大田区の蒲田には、JR京浜東北線と東急多摩川線(旧目蒲線の一部)・池上線、そして京浜急行が乗り入れているのだが、京浜急行の鎌田駅だけが、約800メートルほど東に離れた場所にあり、この二つの蒲田駅をつなごうというのが「蒲蒲線」の計画だ。

蒲田駅周辺は当然ながら市街地だから、新しい鉄道をすんなりと通せる土地はない。
だから、地下40メートルの大深度にトンネルを掘って新線を作ろうということになっている。






ここで第一の問題は、大深度にトンネルを掘って鉄道を作るとなれば莫大な費用がかかるということだ。
大田区の計画ではなんと1360億円にも上るという。
当然これだけですまなくなるかもしれず、一体いくらかかるのかと不安になる区民もいる。

そうした人たちが「ちょっと待って!」と署名活動を始めていて、今回のウオークもその規格の一つだった。

問題は建設費だけではない。
建設費の三分の二は、国と都の補助金で、残り三分の一は借金で行われ(第三セクターが背負うことになる)それを、東急電鉄からの使用料で賄うことにするらしいのだが、果たして使用料に見合う乗客がいるかどうか。
下手をすると「大赤字路線=お荷物」になりかねないのだ。

というのも、大田区は、この新線を「新空港線」と呼び、あたかも新線が羽田空港に直結するかのような広報をしているが、実際は京浜急行の蒲田駅の南側の地下までしか行かないのだ。
(一応、その先へ延伸計画はあるが、全く具体化はしていないうえに、東急と京急では、ゲージ「線路幅」が違うので、直接乗り入れはできない。)

さらに、その「蒲田南新駅」は地下深くで、京浜急行の蒲田駅は高架になっているから、乗り換えはとても不便になりそうだ。
ちなみに京浜急行の蒲田駅は、コンコースが2階で、ホームは3階と4階にある。
空港ターミナル行は、どちらのホームからも出てはいるが、スーツケース等の、重たい荷物を持って乗り換えるのはしんどいことには違いない。
現状より不便になりそうなのである。

また、JRの蒲田駅での乗り換えも、東急多摩川線の蒲田駅を地下に建設するので、これまた不便になることが予想されている。
と問題だらけの計画であることは間違いない。

大田区も、莫大な事業費をこんなことにつぎ込むより、来るべき震災などに備えて、防災・減災対策にこそ使うべきではなかろうか、と能登での大地震を見て感じるのは私だけではないだろう。

それにしても、と思うのは、なんで大田区はこの新線計画を「新空港線」と区民が誤解するような広報をするのだろうか。
おおもとの国が一番ひどいが、行政というのが、情報をちゃんと公開しない、都合の悪い情報を出さないというのがまかり通っている。

さらに、こうした大規模公共事業が、住民のあずかり知らぬところで計画され、ほとんど計画が固まって後戻りできないようになってから、住民に知らされてしまう。
そして、だめなことが明らかになっても後戻りできない。

こうしたことは、大田区だけではなく日本のあちこちで起こっている。
これまた「日本の没落」の原因だと思うのだが、皆さんはどう考えますか?


<k.H>

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