江戸川教育文化センター

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健康保険証が12月に廃止される ⑦

2024-07-26 | 随想


 
《医療機関の相次ぐ廃業が止まらない》

政府は今年の9月までに医療機関にマイナ保険証の完全実施を義務化し、これまで最大20万円だった支援金を40万円にして、「実質負担はゼロ」と宣伝している。

ところが3~4月の2ヵ月で東京都内の病院・診療所・歯科医院の295が廃業したと云う。
医療機関の廃業は昨年全国で709機関なのに、都内のたった2ヵ月で300近い廃業は異常と云える。

理由は顔認証システム等の読み取り機設置の問題ではなく、医療費の「オンライン請求」の義務化だと云う。
これまで診療報酬明細書はCD―ROMに入れて、保険請求団体に郵送していた。
これからは電子データをオンラインで送る。
これはNTTの光回線の敷設が必須で、古い建物に入っていると工事に数百万かかる事例もあり、また患者の少ない地方では設備にお金をかけられず、あきらめる医師も多いと云う。

全国保険医団体連合の調査によると今年1~5月に全国で1413件の歯科の廃止届があり、「マイナ保険証が義務化」されたら廃業せざるを得ないとの回答は19%で、全国で1万712機関が廃業の可能性があると試算している。 
(7/10日刊ゲンダイ 7/12東京)
 


《マイナ保険証は医療機関の足かせと化している》

 5月のマイナ保険証利用率はたった7.73%だが、利用の際「無効・該当者なし」と表示されトラブルがあった医療機関は66.3%もあった。
また、顔認証付き読み取り機の不具合は48.4%だった。
現行の保険証だと資格確認は月に一回だが、マイナ保険証は受診の都度必要で、高齢者は顔認証が難しく、エラーが出ると4桁の暗証番号が必要だが覚えていない患者が多い。
かえって窓口が混乱して、時間がかかっていると云う。結局紙の保険証の提示になってしまう。
それだったら初めから紙の保険証を出せばよいのだが、そうならないのは厚労省が医療機関にマイナ保険証の利用促進の圧力をかけているからだ。
 


《11月までに利用率50%の目標設定は可能なのか》

東京新聞7/14朝刊には厚労省は12月に現行の保険証を廃止することを表明し、11月でマイナ保険証の利用率を50%の「ノルマ」として各保険組合に要請した。
当然保険組合は反発している。

ある保険組合は「4月にやっと利用率4%をこえた。マイナ保険証が便利であれば勝手に広がっていく。国が組合に言っても利用率を上げる気はない」
とさじを投げる。

また、別の保険組合は「目標は5%と回答した。
そもそも利用率を強制的に上げるために保険証を廃止するのだから目標設定は不要と判断した」
と話す。
 

このようにマイナ保険証を「歓迎する」保険組合や医療機関の声は殆ど聞かない。
マイナ保険証に変更してもシステムエラーやトラブル続きだと紙の保険証が便利と誰しも思うが、政府は何が何でも強引にマイナ保険証に移行させようとしている。 


現行の保険制度で何の問題もなく機能している医療が、自分に都合の悪い質問に全返答せず「次の方どうぞ」を繰り返した「自己チュー」で「ブロック太郎」と揶揄された河野デジ大臣によって壊されつつある。

医療崩壊とはならないものの、医療を盾にとって国民を支配する下心が丸見えである。


2024/7/26               

<現行保険証を1年延長した「デラシネ」>

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