2/5付東京新聞「本音のコラム」で、カルフォルニア州立大助教授の大矢英代さんが述べている。
「国のために戦えますか」という小題のコラムは、「戦争を終わらせるためには、正義という名の暴力が必要だ」というアメリカ合衆国の戦争価値観に、「言葉にならない恐怖を感じた」という観点から書かれている。
それは、ワシントンDCの第二次世界大戦記念碑に刻印された「米国人は、自由を回復し、独裁政治を終わらせ、解放するためにやってきたのだ。征服するためではない。」を読んだことに起因する。
思えば先の世界大戦末期において、東京に焼夷弾を落として10万人超を殺し、広島に原子爆弾を落として7万人以上を、長崎では4万人以上もの市民を殺戮したのはアメリカ軍である。
特に原爆投下の被害はこれらの数字とは別に放射能による苦しみを経て亡くなった方が大勢いる。
放射能被害はさらに世代を超えて人々を苦しませている事実は、きっちりと認識されるべきである。
これらの大規模な殺戮も、戦争を終わらせるために行なった正義の暴力だったのだろうか…。
大矢さんが危惧するのは、櫻井よし子氏が「あなたは祖国のために戦えますか」とSNSで発信する発想がアメリカ型の価値観に似ていることである。
「多くの若者がNOと答えるのが日本です。安全保障を教えてこなかったからです」と言って憚らない櫻井氏は、「平和のために武力が必要だ」とするアメリカ型価値観に完全に飲み込まれている。
その価値観は、「平和のために武器を捨てて対話せよと唱える日本国憲法」と根本から異なると言うのが大矢さんである。
この櫻井氏の価値観は「お国にために死ね」と言ったかつての帝国主義的価値観ではないかとも大矢さんは指摘する。
今、日本という国は先の戦争を忘れてしまったのか、あるいは日米同盟というまやかしの非対称的な関係にすがりついているのか、「日本国憲法」を保持する非戦国家でありながらも、「防衛力」強化という名のもとに軍事大国化への道を歩んでいる。
これこそ、まさに「武器によって平和を守る」発想であり、かつて日本の罪なき市民を大量に殺したアメリカの発想と同じである。
あれほどに悲惨な体験をした日本人なのに、その過ちを反省しないばかりか再び愚かな道を歩もうとしているのが、自民党を中心とする政治勢力である。
大矢さんは最後に次の言葉で締めている。
「『国のために戦え』と言われたら、戦わせようとする為政者と闘うべきだ。それでも戦えと迫られたら、逃げよ、隠れよ、自分の命を一番大事に」。
しかし、私は思う。
これから人生を楽しむべき若い世代のためにも、逃げる前に仲間と手を携えて戦わせようとする側と、しっかり対峙して闘いたい…と。
<すばる>
「国のために戦えますか」という小題のコラムは、「戦争を終わらせるためには、正義という名の暴力が必要だ」というアメリカ合衆国の戦争価値観に、「言葉にならない恐怖を感じた」という観点から書かれている。
それは、ワシントンDCの第二次世界大戦記念碑に刻印された「米国人は、自由を回復し、独裁政治を終わらせ、解放するためにやってきたのだ。征服するためではない。」を読んだことに起因する。
思えば先の世界大戦末期において、東京に焼夷弾を落として10万人超を殺し、広島に原子爆弾を落として7万人以上を、長崎では4万人以上もの市民を殺戮したのはアメリカ軍である。
特に原爆投下の被害はこれらの数字とは別に放射能による苦しみを経て亡くなった方が大勢いる。
放射能被害はさらに世代を超えて人々を苦しませている事実は、きっちりと認識されるべきである。
これらの大規模な殺戮も、戦争を終わらせるために行なった正義の暴力だったのだろうか…。
大矢さんが危惧するのは、櫻井よし子氏が「あなたは祖国のために戦えますか」とSNSで発信する発想がアメリカ型の価値観に似ていることである。
「多くの若者がNOと答えるのが日本です。安全保障を教えてこなかったからです」と言って憚らない櫻井氏は、「平和のために武力が必要だ」とするアメリカ型価値観に完全に飲み込まれている。
その価値観は、「平和のために武器を捨てて対話せよと唱える日本国憲法」と根本から異なると言うのが大矢さんである。
この櫻井氏の価値観は「お国にために死ね」と言ったかつての帝国主義的価値観ではないかとも大矢さんは指摘する。
今、日本という国は先の戦争を忘れてしまったのか、あるいは日米同盟というまやかしの非対称的な関係にすがりついているのか、「日本国憲法」を保持する非戦国家でありながらも、「防衛力」強化という名のもとに軍事大国化への道を歩んでいる。
これこそ、まさに「武器によって平和を守る」発想であり、かつて日本の罪なき市民を大量に殺したアメリカの発想と同じである。
あれほどに悲惨な体験をした日本人なのに、その過ちを反省しないばかりか再び愚かな道を歩もうとしているのが、自民党を中心とする政治勢力である。
大矢さんは最後に次の言葉で締めている。
「『国のために戦え』と言われたら、戦わせようとする為政者と闘うべきだ。それでも戦えと迫られたら、逃げよ、隠れよ、自分の命を一番大事に」。
しかし、私は思う。
これから人生を楽しむべき若い世代のためにも、逃げる前に仲間と手を携えて戦わせようとする側と、しっかり対峙して闘いたい…と。
<すばる>