江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

こりゃまいった! 「ヒロイズムにご用心」

2020-04-27 | 随想
ちょっと前になるが、3月13日付けの週刊金曜日の「風速計」という巻頭コラムに、田中優子さんが「ヒロイズムにご用心」という文章を書いていた。

前半は、大学入試をめぐるゴタゴタから「私立学校法改正」「働き方改革」等で忙しくなったことが記されているが、問題はコロナウイルスの感染拡大の影響が出てからの後半だ。
田中さんは次のようにのべる。

このような前例のない出来事が重なった場合、警戒しなければならないことと、大切にしなければならないことがある。
警戒すべきはヒロイズムだ。
危機に乗じ、まるで自分が迅速な判断や決定をしたからこそ現状を救うことが出来る、あるいはできた、と印象づけることが可能になる。

今こそ戦略的に「やっている感」を醸し出す、ということだ。
これは独裁に通じる。

しかし、本当の危機の場合、リーダーの独断ではほとんどのことが解決しないのだ。
なぜなら、地域や組織によって危機が及ぼす影響の度合いやそのありようが異なるからである。

そこで大切なのは、地域や下部組織に決定権を預けながら密なコミュニケーションをとり続けることである。
この方法は危機を乗り越えたとき、誰の業績かわからなくなる。それが最良なのだ。
(下線は引用者)

誰の業績でもない。
多くの人が協力して乗り越えてこそ、次の危機に備えられるのである。
 
男性が陥りがちなヒロイズムに、男性も女性も警戒しよう。
民主主義とはヒーローを生まない政治の方法である。



いかがだろうか?
自分が「こりゃまいったな」と思うのは、今まで自分が身につけてきた社会に対する物の見方のベースに「ヒロイズム」が刷り込まれているなと思うからだ。

子どもの頃に見た「ウルトラマン」は言うに及ばず、今でも戦隊ヒーローものは連綿と続き、人気番組の座を占めている。
さらに、歴史の学習においても、王や大名の活躍譚、果ては幕末の志士・明治維新の重臣などなど、ことごとく「ヒロイズム」のオンパレードではなかろうか?
(考えようによっては、あの「金八先生」も形を変えたヒーローものかもしれない)
しかも、「民主主義はヒーローを生まない政治の方法」などとは、習ってこなかった気がするが、皆さんはいかがだろうか。

どこぞの知事や引退したはずの元知事が、テレビで以前の発言とは真逆のことでも平気でしゃべりまくり、期待されているという話を聞きながら、こりゃいかん!とパソコンに向かった次第である。


<LIN>


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