ポタ ポタ ツーっと 軒先濡らす
やる気のない 雨が降る
早朝覚醒 素面の三日目
浅い眠りに 幕を引く
ガタン ゴトン 寝室抜け出し
バッタン トイレのドア 閉める
そのタイミング 隣の部屋の娘より
スマホ LINEでメッセージ
“仕事に向う 電車賃貸してくれ”
¥320 細かな要求 千円札1枚
季節はずれのサンタクロース
帽子に隠して 受け渡し
我が家の三十路の 頂き女子
顔も見せずに 脛かじる
うっすら 街は朝ぼらけ
雨の強弱 タイミング
空き缶 まとめたレジ袋
両手に下げて 走り出す
細かい雨が 頭髪濡らし
そのストレスが 抜け毛を誘う
行って帰って 3分弱
出勤までは もう少し
テレビは oha!4
朝のフィットネス おはウォーク
宮崎さん 佐藤さん
ぴったり張り付く スポーツウェア
いやらしい目で 見ております
すっかり街は日が昇り
雨音 わずかに 弱くなる
ソファーに沈み 見上げた時計
一回りして 夜が来る
俺は今夜 酒を呑む
きっと この場所で
そのために 雨の中
会社に向かって 歩き出す
人っ子一人いないリビング
小さな声で
“いってきます”