虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

インスタントラブ~彼女の知らない世界~

2017-05-02 18:03:34 | 小説


 彼女の人生・・・・・。高校中退、刑務所、夜の商売・・・。典型的な人生。彼女の周りもほとんどそうだった。夜の仕事をして、その店で客としてきていた男性と一緒になるパターンがほとんどだった。


 そして、出産・・・。夫は夜遊びやギャンブルばかり・・・。次第に夫婦喧嘩があたりまえ・・・。離婚・・・。シングルマザー・・・。実家へと戻る・・・。そんな人生が多かった。

 彼女にも言い寄ってくる男性はたくさんいた。いかにも男受けをするタイプでそれでいて性格もサバサバしていた彼女めあての男性も多かった。

 彼のようなタイプの男性と付き合ったこともなければ、言い寄られたこともなかった。

恋愛
好きという感情に理由はないかもしれない。
しかし、彼女は彼の世界にひかれていったのも事実・・・。

 彼と出会ってすぐの頃、彼女は彼のところへ遊びに行くと、彼はこれから一緒に行こうと彼女を誘った。



 その場所は図書館だった。彼女の今まで踏み入れたことのない空間に彼女は躊躇した。最初は苦痛でしかなかった。しかし、彼やその周りの人を見ているうちに、彼女はこんな世界もあるのかと思うようになった。

 「私、本なんて読んだことない人生だった・・・」
 「無理して俺につきあうことないからね。今のまま、やりたいことをしているのがいちばんだよ。俺だったそっちの世界のことは知らないし・・・」
 「私は男っていったら夜の世界で知り合うことしかなかったから・・・」


 「映画に行こう」
 「何観るの?」
 「なんだっていいし、宣伝みないで観るのもおもしろいかも・・・」
彼なりのユニークな映画の観方・・・。夜遅くのレイトショーに二人でよく出かけた。


 本と映画・・・・・。彼の世界は彼女にもまた新鮮だった。

 お互いの世界を魅力的に感じる二人・・・・・。二人の距離感の接近はこうしてもたらされたのだ。


1 コメント

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感銘をうけました。 (あやか)
2017-05-03 22:27:12
まったく違った世界に生きてきた男女のふしぎな出会い!
つくづく『赤い糸』というものをひしひしと感じます。。。。
人物描写が優れており、人間性に対して深い洞察力のある御作品だとおもいます。
お話も佳境に入ってきましたし、今後のストーリーの展開を楽しみにしています。
◎ところで、私自身のことを考えますと、この物語の男性とも女性とも、また別の全くちがったタイプだとおもいますね。また、ぜんぜん違う世界で生きてるって感じです。
それだけに、この二人の主人公の生き方と出会いに興味深いものをおぼえます。
                           あやか
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