虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

泥水を飲む役目

2021-07-07 18:51:27 | 小説
取引先の部長が
「うちの会社では、部長のところまでクレームが来ないんですよ。その前にみんな部下が処理してくれるんです」と自慢げに話している性格の悪い人がいる。

その会社は社内の雰囲気が暗幕で覆われているような独特なものだった。

みんな疲弊していた。

おそらく上司にクレームを報告すると余計に怒られるのだろう。

恐怖で押さえつけられていると推測できた。

私は尊敬する上司から
出世するほどに誰もが嫌がる相手との取引や苦情を引き受けろと教えられた。

部下のストレスを除去する上司でなければ信頼されないことを学んだ。

今でもその教えは正しかったと思っている。

今日も疲弊する苦情処理に自ら手を染めた。

メンタルはボロボロだ。

しかし、帰り際、みんなが心の底から「部長、お疲れ様です」と言ってくれたような気がした。

少しだけ癒された。



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