愛知県弥富市の中学校での、中学三年生が別のクラスの生徒に包丁で刺されたという事件で、こんな場合の常とう的手法としてスクールカウンセラーを派遣したという報道があった。私は、率直な疑問として、その中学校の状況も良く分かっていないスクールカウンセラーをいきなり派遣して、どんな効果があるのかと疑いを持っている。そのクラスで、生徒間でどんな人間関係があったのだろうか、事件を起こした原因・動機は何なのか、他の生徒は、この事件をどう受け止めているのだろうか、等が判らなければ、スクールカウンセラーとて万能ではなかろう。勿論、臨床心理学的には、犯罪の被害者若しくは関係者などの心理について、
① 精神的な反応として、・怒りやイライラを抑えることが難しい。・感情のコントロールがきかなくなる。・仕事や勉強に集中できない。・人や社会を信用できなくなる。・ささいなことから恐怖がよみがえる。・早く忘れてしまいたいと思う。②日常生活での問題点として、・仕事や学校に行けなくなる。・今まで普通にできたことができなくなる。・人に会うのがおっくうになる。③考え方の変化として、・自分を責めてしまう。・親や周りの人に知られたくない、話せない。・たとえ話せたとしても、分かってもらえないのではないかと考えてしまう。・同じようなことがまた起きるのではないかと不安になってしまう。・自分には何もできないと思ってしまう。(無力感)・将来のことが考えられなくなる。等が生じる可能性があり、それぞれの人によって様々な問題が生じる可能性もある。
したがって、専門家であるカウンセラーが、誰でも、このような場合には、そのような症状が起こり得るということを教師や生徒などに説明することの有効性はある程度はあるだろうが、かといって、スクールカウンセラーに丸投げ出来るものではない。当然、学校の担任などの教師が生徒のケアー面でのサポートをすべきであるし、何故、このような事案が発生したのかという検討も行うべきものだろう。三年生という受験を控えた時期に、このような犯罪の目撃者や関係者となって生徒の動揺は著しいものがあるだろう。こういったものは、事件当日や数日後ではなく、起こったことを比較的客観視出来るようになる、ある程度の日を経過した後にこそ心理的な影響が生じるかもしれない。そこまでのケアーが出来るのだろうか。