goo blog サービス終了のお知らせ 

舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

シネ・ウインドで1977年の戦争映画『戦争のはらわた』を観て来ました。

2018-01-05 00:47:57 | Weblog


1/5(木)、シネ・ウインドで『戦争のはらわた』を観て来ました。



1977年に、イギリス・西ドイツが作った戦争映画で、現在、公開40周年を記念して全国各地でデジタル・リマスター版が上映されているということです。
監督はサム・ペキンパー、予告編を引用すると「“血まみれサム”の異名を持つペキンパーの傑作にして戦争映画の金字塔」とのことです。



シネ・ウインドでは12/30~1/5まで、まさかの年を跨いでの一週間上映。
しかも12/31、1/1はこの『戦争とはらわた』のみの上映だったという、シネ・ウインドは物凄いタイミングで物凄い映画を上映するなあ…と思いました。



ひとまず予告編はこんな感じです。







感想を書いていく前に、僕はそもそも戦争映画にあまり馴染みがなく、2017年の『ハクソー・リッジ』と『ダンケルク』という戦争映画の話題作をどちらも見逃してしまったような人間なのです。
ちゃんと観たことのある戦争映画は、それこそ2015年の『野火』くらいなもので…という、そんな人間の感想だと思ってください。

別に戦争映画を避けているわけではないんですが、積極的には観ないかな、くらいなんですよね。
そんなタイミングで、名作とされる戦争映画が上映されると知ったので、このチャンスに観てみよう!と思って観に行った次第です。



さて、そんなわけで戦争映画『戦争のはらわた』、どんな映画かと言うと、主役はドイツ軍で、ソ連との戦線に送られた彼らの泥沼のような死闘をひたすら描きます。
映画が始まると、おそらく実際の戦争の記録映像と思われる映像と、映画のために撮影している映像が交互に登場するので、映画を観ている側からすると、本物の戦争を観ている、という気持ちに一気にさせられました。



そんな映画『戦争のはらわた』を観た感想ですが、一言でまとめるなら、とにかく凄すぎて圧倒される映画でした。
単純にハッピーエンドな娯楽映画ではないから「楽しかった!」っていう感想では全然ないんですけど、役者さんたちの演技も、映像表現も、引き込まれてしまうストーリーも、とにかく熱量が凄まじくて2時間以上ある上映時間にスクリーンに釘付けになってしまい、なんかもう面白いとか面白くないとかそういうレベルじゃなくて、とにかくすごい…という感想しか出てこなくなるくらい、圧倒される映画でした。

まず、映画の中で戦争というものを表現するこだわりがとにかくすごい!
本物の戦争さながらのセットや、実際の爆発や戦車を使っているので、映像の迫力が凄まじいのです。

例えば、映画のわりと前半、爆撃が起こるシーンで、爆音とともに巨大な炎が立ち上り、その中で実際の人間(おそらくスタントマンでしょう)が、まるで本当に爆撃されたかのように吹っ飛んでいく様子がスローモーションでスクリーンに登場した時は、この映画は本当にすごいぞ…と思ってしまいました。
そんなダイナミックで迫力ある戦争描写だけでなく、例えば基地の中にいる人間のシーンで、基地の近くが遠くから爆撃されたという展開を迎えると、基地の中に置いてある様々なものが崩れてきて、人間達が次々と倒れるような、閉じた空間における間接的な戦争描写も本当に緻密でこだわりがすごいなあと思いました。

中盤くらいで登場する、物凄い人数のソ連兵たちがドイツ軍の塹壕に特攻してきて、同じくらい物凄い人数のドイツ兵たちと、画面上の至る所で同時進行で死闘を繰り広げるシーンも、まさかあれだけの人数が突然登場するとはまったく想像もしていなかったので本気でびっくりしました。
その後の、ソ連軍の戦車が何台も登場するシーンも、CGやセットではなく実際の戦車だからこその重量感がスクリーンから伝わってきていたなあと思いました。

とにかく、映画の中で本物さながらに戦争を再現する、その描写がとにかくリアルだし、役者さんたちの熱演も凄まじいので、戦争の暴力性が物凄くダイレクトに伝わってくるのです。
現代の映画では、CGでどんな派手な映像も可能になり、観客もそれに見慣れてしまいましたが、そんなCGなどとは比べものにならないくらい、実際にセットや爆発を使っているからこそ可能な、まるで本物の戦争を目撃してしまったような迫力がありました。

寧ろ、CGに見慣れてしまった現代だからこそ、CGなしで実際にここまで表現できるのか!?という感動と驚きが得られるとも言えるので、まさに今こそ観るべき映画なのかも知れません。
1977年にここまですごい映画が作られていたことにも驚きました。

そして、迫力ある映像表現もさることながら、役者さんの熱演やストーリーも本当に完成度が高いと思いました。
この映画のよく出来ている点は、極限状況に追い込まれてしまった状況下における人間が描かれていることです。

戦場という場所が、いかに、いつどこで誰が死んでもおかしくないくらい、暴力的で行き場のない極限状況かということは、さっきも言ったような戦争描写によって、これでもか!と伝わってきます。
それに加えて興味深いのは、戦争とは、階級という上下関係がはっきり目に見える形で人間を縛っている世界なのだということも、この映画では描かれているのです。

だからこそ、そんな状況に追い込まれてしまった人間たちの傲慢さ、残忍さ、無力さなどの本質が浮き彫りにされ、その様子は見ていて悪夢的でもあり、時にあまりにも笑えなさすぎて逆に笑うしかない!みたいな滑稽なものにも見えたりもするのです。
この映画は戦争映画だけど、同時に人間ドラマとしてもしっかり作られているし、人間をしっかり丁寧に描いていることで戦争の暴力性をリアルに描けている映画なのだと思います。

最初にも言いましたが、ハッピーエンドなエンターテインメントなどではまったくない映画なので、映画が進めば進むほど、状況は切迫していき登場人物たちは追い込まれていき事態は悪化していくという、とにかく救いのない映画です。
でも、だからと言ってもう観たくないという気持ちにはならず、とにかく最後までスクリーンに見入ってしまうような、とにかく見応えが凄まじい、そんな映画でした。



シネ・ウインドでは、本日1/5(金)の17:05からが最後なので、観たい方は是非!
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« さくらもみぢ、正月から熊谷... | トップ | 【シネ・ウインド オススメ映... »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事