
Negicco「What A Wonderful World」
2018年の15周年記念の4thアルバム「MY COLOR」から6年ぶりのフルアルバム。
7月発売のミニアルバム「Perfect Sense」が全体的に落ち着いた曲が多かったのに対し、今作はノリのいい曲が多い。
でもよく聴くと過去の失敗や後悔も受け入れて前向きに自分らしく生きていくような今のNegiccoだから歌えるような深みのある曲ばかり。
Negiccoは人間賛歌だと再確認しました。
以下、1曲ごとの感想。
1「まるばつさんかくしかくとわたし」
何が正解かなんて簡単に分からない世界。でもそれも悪くないよね、と受け入れて生きていく。個人的に、怒ったり悲しんだりしてもどうするべきか分からず悩んだ時に、ふと音楽を聴いてひとまずちょっと落ち着く、という経験がよくあるので、その時の気持ちの歌だなあと思った。「そうだ花を買いに行こう」は僕もよくやります。
2「I LOVE YOUR LOVE」
イントロからサビへの盛り上がり、間奏のラップまで、全編とにかくノリノリな曲。ライブで聴くと思わず体が踊り出す。歌詞をよく聴くと、Negiccoの成長のストーリーを表現しているのが分かる。結成16年目に突入した2019年の曲だが、3人が結婚、出産を経てもなお自分らしく生きる今聴くと、「君の代わりはどこにもいない」に新たな感動がある。
3「眩しくて可愛い!」
意味深長なタイトルに複雑なメロディ、今までのNegiccoにあまりなかった雰囲気。迷いながらも前向きに生きるNegiccoを歌っているのかな。「飛び出したエコバッグから今幸せのサイン」は、買い物袋から飛び出したネギ? でも子供の成長を見守る曲にも聴こえてくる。生活の中のささやかな幸せを「眩しくて可愛い!」と歌っているのかな。
4「私をネギーに連れてってⅡ」
2016年の「愛、かましたいの」のカップリング曲であり、Negiccoが冬に苗場で開催する同名イベントの主題歌「私をネギーに連れてって」の続編。元ネタの「私をスキーに連れてって」の通り、スキー場で広がる恋をロマンティックに歌う。connieさんは誰もが楽しくなれるポップソングのお手本のような曲を作るのが本当に得意。
5「午前0時のシンパシー」
コロナ禍真っ只中の2020年に発売。夜の横浜で撮影されたMVのように、都会の夜景の中、恋人とハイウェイをドライブするような、今までのNegiccoになかった都会的で大人な雰囲気で当時ファンを驚かせた。今聴くと、大人な自分とまだ若い恋をしていたい自分とのせめぎ合いの歌のようにも聴こえる。
6「終わらないGood Times」
connieさんお得意のディスコミュージックだが、全体的に洗練された音による落ち着いた雰囲気で、ダンスフロアの片隅で静かに音楽を聴いている大人の女性を思わせる。或いはそんな若い頃を思い出しているのか…かと思えばノリノリのクラップもあり(ライブが楽しそう!)、大人になっても相変わらず音楽が好きな自分を表現したのかも。
7「ポーカーフェイス」
個人的にNegiccoにポーカーフェイスというイメージがなかったのだが、実際聴くとそんな自分を振り切って微笑もうという曲。ただ明るいだけでなく、振り返れば失敗も後悔もあるけれど、焦らず生きて行こうという深みのある前向きな曲。「不器用な私で別にいいわ」はスピッツの「幸せは途切れながらも続くのです」に通じる名フレーズだと思う。
8「Walk With」
失敗したり泣いたり悩んだりしながらも走ってきたこれまでを振り返り、それでも今が正解だと思える。不完全な自分も年を取った自分も受け入れて自分らしく生きていく。まさに今のNegiccoだから歌える曲であり、Negiccoは人間賛歌だと実感。ちなみにMVは熊さんが新たに引き継いだ喫茶店Kaffaパルム(僕もよく行きます)で撮影、おそらく出産直後でMeguさんだけ不参加だが、しっかり彼女の存在も感じられるラストまでお見逃しなく。
9「あなたとNegi With You!」
アルバムを通して過去を振り返って前向きに歩き出すような曲が多かったが、ここにきて未来を向いて思いっきり駆け出すような超ポジティブソング!観客も声を合わせて一緒に歌えるような箇所もありライブで盛り上がること間違いなし!これからもまたNegiccoと楽しい時間を過ごそう!と言ってくれているようでファンとしては本当に嬉しい気持ちになります。
10「あなたとNegi With You!(reprise)」
「あなたとNegi With You!」のサビのワンフレーズがオルゴールのように流れる。楽しいアルバムの最後、或いは写真のアルバムの最後のページを閉じる時のような、今日はこれでおしまい、また楽しもうね!という優しい余韻を残す。